Trolltechは3日 (ノルウェー時間)、Mac OS Xの主要APIの1つCocoaに対応するGUIフレーム「Qt」のα版を初公開した。パッケージはGPLv2準拠のオープンソース版と、プロプライエタリな利用が可能な商用ライセンス版の2種類が提供される。
今回リリースされたCocoa API対応版Qt (以下、Qt/Mac Cocoa) は、Qt 4.4をベースにCocoaのサポートを加えたもの。動作環境はMac OS X 10.4以降、ソースコードのビルドおよびアプリケーションの開発にはGCC 4.0以降が必要。これまでMac向けQtはCarbonベースで開発されてきたが、AppleがCarbon APIの64bit対応を進めない方針を明らかにしたことから、64bitアプリケーションを開発できるようCocoa版の移植を進めていたもの。
今回の発表にあたり、同社エンジニアリング部門担当副社長のLars Knoll氏は、「これまでのQtをCocoa APIに移植する努力は、ようやくこの段階まで到達した。QtのMac向けサポートをCocoaの領域まで広げることは、主要なOSを対象にクロスプラットフォームの開発フレームワークを提供する"どこでもQtを"というTrolltechのビジョンを再確認するものだ」とコメントしている。
同社では、Qt/Mac Cocoaのβ版の公開時期を2008年夏に予定している。正式なCocoa APIのサポートは、Qt 4.5のリリース時に行われる見込み。