少子化対策・男女共同参画特命担当大臣 上川陽子氏

仕事と生活の調和を意味する"ワークライフバランス"の実現を目標に掲げるイベント「ワーク・ライフ・バランス シンポジウム」が16日、内閣府主催で行われた。

同シンポジウムには、内閣府・少子化対策・男女共同参画特命担当大臣の上川陽子氏が出席。開会にあたって登壇した上川氏は「今年は仕事と生活の調和の元年と位置づけ、政府においても積極的に推進していく。個々の企業のワークライフバランスへの取り組みは、単なるコストではなく、将来の成長につながる明日への投資。実現には、企業/組織の経営のトップがこれを重要戦略と位置づけ、強いリーダーシップで推進していくことが不可欠なので協力をしていただきたい」と挨拶した。

続いて、東京大学社会科学研究所・日本社会研究情報センター教授の佐藤博樹氏が「女性の活躍の場の拡大と働き方の改革: ワーク・ライフ・バランス支援の必要性」と題した基調講演を行った。佐藤氏は、『人事管理入門』(共著、日本経済新聞社)、『男性の育児休業: 社員のニーズ、会社のメリット』(共著、中公新書)などの著書を出版しており、おもに企業の人材管理を研究している専門家だ。2007年末に政府が策定した「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」と「仕事と生活の調和推進のための行動指針」をはじめに紹介し、それらが目指す課題は、

  • 男女共同参画(女性の活躍の場の拡大)"
  • 労働市場改革(女性、若年、高齢者の就業率向上)
  • 少子化対策(結婚・出産に関する希望の実現)

の3点にあると解説した。

1985年に制定された「男女雇用機会均等法」により、職場内における男女間の壁は法律上は撤廃され、以降、管理職に女性が起用される例も多くなった。しかし「女性管理職が多くなったが、定着率は低い。さらに、働き続け、一見活躍している女性を見ると、未婚や子どもがいない女性が多いのが現実だ」と佐藤氏は指摘する。また「元来、男性が外で働き、女性が家事/育児をするという働き方が前提になっているところに女性を活用しているだけ。女性にとっては、働きやすい環境にはなっても、活躍できる環境にまではなっていない。そうした環境は、男性にとっても決して働きやすい環境ではない」と続け、"働くのは男性"という前提をもとにした旧来型の働き方を見直す必要性を訴えた。