ワーク・ライフ・バランスのコンサルティング会社 アパショナータ代表 パク・ジョアン・スックチャ氏

後半には、ワーク・ライフ・バランスのコンサルティング会社 アパショナータ代表のパク・ジョアン・スックチャ氏がコーディネーターを務めるパネルディスカッションも行われた。パネリストとして参加したのは、組織・人材マネジメント、人事制度、退職金・年金制度などに関するコンサルティングを提供するワトソンワイアットの代表取締役社長の淡輪敬三氏、高島屋代表取締役副社長の安藤温規氏、国内外でインターネットサーバーホスティング事業を展開するクララオンラインの代表取締役社長・家本賢太郎氏、明治大学情報コミュニケーション学部准教授の牛尾奈緒美氏、兵庫県理事で少子化対策本部事務局長を務める清原桂子氏の4名。産学官それぞれの立場から、ワークライフバランスへの取り組み事例や課題が報告された。

高島屋の安藤氏は「高島屋のワークライフバランスへの取り組み」と題して講演。百貨店という業態上、1831年の創業時から女性社員の採用が多い高島屋では、早くからワークライフバランスに取り組んでいる。安藤氏は「さまざまな顧客のニーズに応え、永続的に発展していくためには、有期雇用社員など、多様な働き方で構成されるチームとしての総合力が求められている。一人一人の働きがいを向上させるとともに、能力発揮の阻害要因を取り除くことで、個人の能力を引き出し、その力の集積がチームの力となり、企業の力につながる」とし、ワークライフバランスが企業の重要な戦略になっていることを明らかにした。

また、クララオンラインの家本氏からは、「クララオンラインにおけるワークライフバランスの取り組みについて」と題して、中小企業としての取り組みが報告された。家本氏は「大勢の社員を抱える大企業とは違い、中小企業では自社単独では難しい。しかし、大企業でできることではなく、中小やベンチャーでできることから始めていけばいい」と述べ、保育事業を手掛けるNPO法人との連携した取り組み事例などを紹介した。

明治大学情報コミュニケーション学部准教授の牛尾奈緒美氏は「働く人の意識変化とこれからの人的資源管理」と題して講演。私生活の重視や、仕事と家庭の両立への願望、長期勤続志向の低下など、労働に対する最近の若者の意識変化を学術的観点から取り上げ、「働く人の心をつかむためには、従業員重視の視点による人材管理が不可欠。ワークライフバランスへの配慮が生み出す価値に気付くべきときだ」と主張した。

そのほか、ワトソンワイアットの淡輪敬三氏は「多様性を活かす」と題して、グローバル企業として多様な国籍の人材を採用する立場から、兵庫県の清原氏は「ワークライフバランスへの兵庫県の協働の挑戦」と題して、阪神・淡路大震災の経験から得た、仕事と生活の両立の教訓がそれぞれ報告された。

パネルディスカッションのようす