感染PCから得られる情報で多大な収入

感染PC、すなわち肉鶏は、何日か使える物なら、ふつう国内で0.5元(約7.5円)から1元(約15円)で入手できる。半月以上使えるものなら、おそらく数十元だ。灰鴿子を操る黒客が1カ月に10万台の肉鶏を捕まえたと計算すると、1カ月で優に1万元(約15万円)は儲かる。これに、肉鶏上にあるQQ番号、ゲームマネー、口座番号などをネット上で売ればさらなる多大な収入が期待される。

ウイルスの背後にある各過程でこれだけの巨大な金銭的な収穫が得られるからこそ、無数の人間の欲望が集まり、闇産業チェーンがますます巨大、かつ強固なものになっていくわけなのだ。

こうした甘い果実が得られる産業チェーンを守るため、ウイルス作成者は、アンチウイルスソフトの追撃をかわそうとするだけでなく、技術面でアンチウイルスソフトに真っ向から勝負を仕掛け、堅いチームワークで結ばれたグループを形成している。

ゲームサイトを攻撃し恐喝、みかじめ料受け取り

トロイの木馬やワームなどを統合して作られた、ウイルスの王様と言われる「AV終結者」を例にとって見ると、その最大の特徴は、さまざまな技術の応用により、ウイルスの感染規模を拡大し、主なアンチウイルスソフトに対抗しようとしている点にある。

ネット応急処理センターの黄氏が明かすところによれば、最近は、医薬業界やゲーム業界へのウイルス攻撃が非常に多く、みかじめ料である保護費を支払わないと攻撃から免れないケースもある。黒客グループは、情報化投資をしたにもかかわらずまだセキュリティの弱い中国企業をターゲットに、その企業のサイトを麻痺させようとする。一部の企業は仕方なく保護費を支払いながら、辛うじてサイトを維持しているという。

昨年5月、中国国内のあるネットワークゲーム企業が、10日間にわたる猛烈なネットワーク攻撃を受け、サーバーが完全にダウン。同社が運営するネットワークゲームも営業停止にまで追い込まれ、3,640万元(約5億4,600万円)もの損失を出した。江西省の裁判所が審理をしたある恐喝事件では、容疑者が一部のゲームサイトを攻撃することで保護費を受け取り、2カ月間に1,200万元(約1億8,000万円)もの法外な利益を得たとされている。