モーショングラフィックスから映像加工ツールへ
Adobe After Effects CS3はパフォーマンスの向上、静止画を自在に変形して動画にできるパペットツール、3Dテキストアニメーション、Photoshop のように直接書き込めるシェイプツールなどの新機能が搭載されている。このなかで、もっとも目に付くのがパペットツールである。パペットツールは、例えば人物の写真やイラストがあった場合、操り人形のように腕や足だけを自在に曲げ伸ばしを行って、その動きを簡単にアニメーションとして設定できる。人物に限らず、図形でもテキストの文字列でもゴムのように引っ張って自在に変形させる動作をアニメートできるので、ビデオカメラで撮影しただけでは実現不可能な映像を製作することが可能となる。
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Microsoft Office 2004のクリップアートをPhotoshop経由でAfter Effectsに取り込み、パペットピンツールで引っ張れるポイントを指定する |
設定したピンを引っ張ると、ゴムのように伸縮させて静止画から躍動感あるアニメーションの製作ができる。この際メッシュを表示してオブジェクトの変形のなめらかさをビジュアルに確認できる |
After Effectsでさまざまな効果を設定する際、トライ&エラーを繰り返していると非常に手間がかかる。新機能BrainstormはAfter Effectsの各種パラメータを、複数画面でランダムに展開し、良い効果が見つかるまで視覚的に試すことができる機能だ。使用することで省力化に繋がると共に新たな発見もあるかもしれない。
Photoshopのようなシェイプツールを使用することにより画面上に直接描画を行ったり、マスクを製作することが可能になった。また、Photoshopと同じようにスタンプツールなども装備され、コラージュや補正を行うことができるようになった。しかもPremiere Proとの間でコンポジションをレンダリングすることなくリンクすることができるので大変効率がよいのだ。After Effectsをモーショングラフィックスのツールとしてのみ使用していたようなユーザもムービークリップの加工を行ってみたくなる機能といえるだろう。