ソニーがCESにおいて、米国市場向けに有機ELテレビを投入すると発表した。北米におけるテレビ事業が好調なソニーにとって、ソニーならではの製品が新たに加わったことになる。ソニーの北米市場戦略はどうなるのか。米ソニーエレクトロニクスのコンスーマープロダクトマーケティングエグゼクティブバイスプレジデントの栗田伸樹氏に話を聞いた。なお、取材は共同インタビューの形で行った。

米ソニーエレクトロニクス コンスーマープロダクトマーケティング エグゼクティブバイスプレジデント 栗田伸樹氏

--現在の北米における需要動向はどうですか。

昨年(2007年)11月、12月は大変いい結果が出ています。サブプライムローン問題の影響といった懸念材料もありましたが、10月以降のオーダーは減ることもなく、前年同期に比べて2桁の増収となっています。ほとんどのカテゴリが好調で、どれが悪いというのが難しいくらいです。とくに、液晶テレビは、46インチ、50インチの大画面モデルの売れ行きがいい。金額ベースでのシェアは確実に上昇しているはずです。シェアが発表されるのが待ち遠しいところです。

2008年に力を入れるのは、HDテレビです。CEAの発表によると、HDTVの家庭普及率は40%であり、それが2008年には55%にまで拡大すると予測されています。米国では、一家に3.2人が住んでいるのに対して、テレビは3.4台あるといわれています。人よりも、テレビのほうが多いのです。2009年2月にはアナログが停波するために、デジタル化、HD化に対する需要がより加速することになる。価格とのバランスが普及には大きく影響しますが、ソニーとしては、32インチのような価格帯のところで勝負するのではなく、大画面、高画質を差異化のポイントとして訴求していきます。低価格で展開するメーカーは、たしかに無視できる存在ではありませんが、そこに合わせるつもりはありません。52インチで3,000ドルを切るようになると、大画面テレビの普及に加速がつくでしょうね。

--プラズマとの差異化はできていますか。

1年半ほど前は、フラットテレビといえばプラズマ、というイメージが強く、「プラズマの液晶をください」という言い方すらもされていた(笑)。しかし、いまでは液晶の認知度が高まり、液晶は、プラズマの一部ではないこと、さらには液晶のベネフィットがなにかということも知られるようになってきた。画面に映り込みがないという点での液晶の良さが浸透しています。

北米の量販店店頭にもBRAVIAが数多く展示されている