Tiina Hanhiki氏(フィンランド)

11月に総務省主催で行われた「テレワーク国際シンポジウム」に出席した、フィンランド労働省でワークプレイス開発プログラムのプロジェクトコーディネーターを務めるTiina Hanhiki氏によると、フィンランドでは政府が年間1,500万ユーロの資金を投じて運営する「Tykes」と呼ばれるプログラムを通してテレワークの推進が取り組まれている。また、フィンランドにはテレワーク推進のための協会や団体はなく、すべて労働省の指揮のもとに行われている。「Tykes」が掲げているビジョンは、"持続可能な生産性を伸ばす"ことで、個人的な生産性のほかに、仕事に対する個人の満足度やワークライフバランスの実現も含まれている。

フィンランド政府がテレワークを推進する背景には、グローバル化の進行をはじめ、人口構成、ICTの発展などが挙げられる。このほか、フィンランドは国土が広い割に人口が少なく、人口密度が低いのが特徴で、新規雇用を地方でも創出するのが政府の課題のひとつとなっている。

フィンランドにおけるテレワークは、20%が正式な契約に基づくもので、80%が非公式なのが現状だという。2006年のテレワークの比率は労働者の15%にのぼるが、この数値はテレワーカーとして正式な契約に合意して行われる狭義の定義におけるもので、「テレワーは、ク2000年以降一般的な仕事のやり方として定着したので、数としてはもう把握できない。なんらかのかたちでテレワークを行っている、実質的なテレワーカー比率で言うと100%に到達している」とHanhiki氏は説明した。