米Netgearは米国時間の1月6日、CES会場でプレス向け発表会を開催し、2008年のWireless-Nネットワーキング製品を発表した。テーマは「All Access Home」。ネットワークに詳しくない、ごく一般的な人たちでも複数のデバイスをつないだ無線ホームネットワークを構築し、無線LANを通じて家全体で高品質なデジタルコンテンツを楽しめるようにする。同社CEO兼会長のPatrick Lo氏は「家庭において、無線LANを暖房や電気のように利用できる存在にする」と説明した。

無線LANを導入している家庭はめずらしくなくなったが、集中管理されたデジタルコンテンツを家全体から安全に利用できるようにしている例は少ない。原因としてNetgearは、インタフェースの問題、複数の機器を結ぶネットワーク設定やストレージ管理の難しさ、安定した通信範囲の狭さなどを挙げる。それらの解決策として同社は、「Metamaterial」「Push 'N' Connect」「X-RAID」の3技術を08年のWireless-Nネットワーキング製品に投入した。

Metamaterialは、既存の無線LAN製品で最高クラスの通信品質・信頼性を内蔵アンテナで実現するスマートアンテナ技術だ。「アンテナが多いほど通信は安定するが、本体に収めると品質が悪化する。これまでデザインとパフォーマンスは両立しなかった」と製品担当バイスプレジデントのVivek Pathela氏。同社では、今後発売する無線ルーターのRangeMax Wireless-Nシリーズ全製品にMetamaterial技術を採用するという。「Push 'N' Connect」はWi-Fi Protected Setup (WPS)に対応した機能で、ユーザーはボタンを押すだけで無線LAN機器同士の接続やセキュリティ設定を完了できる。X-RAIDは、ネットワーク内のユーザーのデジタルコンテンツ利用に影響を与えずに、ストレージのホットスワップを可能にする独自技術だ。

CES向けに同社は18の新製品を用意し、それらの中からプレス発表会では「RangeMax Dual Band Wireless-N Router (WNDR3300)」、「HD/Gaming 5 GHz Wireless-N Networking Kit(WNHDEB111)」、「ReadyNAS Duo」の3製品が取り上げられた。

左からRangeMax Dual Band Wireless-N Router、Wireless-N Networking Kit、ReadyNAS Duo

ReadyNAS DuoのコンパクトさをアピールするLo氏

RangeMax Dual Band Wireless-N Routerは、レガシーな2.4GHz帯と802.11n (ドラフト)の5GHz帯を同時にサポートするデュアルバンド・ルーターだ。世代の異なる無線LAN規格をサポートする機器が家庭内に入り交じっていても対応できる。スリムな本体に8本のMetamaterial対応アンテナを装備し、Wireless-Nの機能も備えるため、他の無線との干渉を抑えて、高速なダウンロード、高品質なメディアストリーミング、スムースなオンラインゲーミングを実現するそうだ。

HD/Gaming 5 GHz Wireless-N Networking Kitは、ゲーム機やDigital Entertainment HD、NASなどに接続し、Wireless-Nの品質での通信を可能にする。6本のMetamaterialアンテナを装備。Push 'N' Connectで設定できる。

ReadyNAS Duoは、X-RAIDを採用したコンシューマー向けNAS。家庭やスモールビジネスにおいてデジタルコンテンツを一カ所で管理し、無線ネットワーク内で共有できるようにする。箱から出して、ネットワークに接続するだけで使用可能。PC、Mac、HDTV、IPセットトップボックスなどをサポートするほか、正面のUSBポートにデジカメなどを接続すると、自動的に画像などのファイルが転送される。

08年のWireless-N製品に採用される3つのテクノロジ

RangeMax Dual Band Wireless-N Router、Wireless-N Networking Kit、ReadyNAS Duoを一般的な家庭に導入した例

イベントではステージに、居間とベッドルーム、子供部屋を結ぶ無線LANを構築。HDコンテンツのストリーミング再生とXbox 360でのオンラインゲームを同時に行いながら、その最中にReadyNAS Duoの2台のHDDのうちの1台を抜き取ってみせたが、HDコンテンツの再生は少しも乱れなかった。