米AMDは19日(現地時間)、デスクトップ向けの新プロセッサ「Phenom」シリーズを発表した。従来の「Athlon」シリーズはデュアルコアまでだったが、同社デスクトップ向けCPUとして初めてクワッドコアを実現した。「7シリーズ」チップセットと「Spider」プラットフォームについても併せて発表されている。
「AM2+」パッケージのPhenom
「Phenom」は65nmプロセスで製造される4コアCPU。パッケージは「AM2+」となり、HyperTransport 3.0やDDR2-1066などに対応した。新しい「AM2+」プラットフォームとの組み合わせが最適だが、これまでの「AM2」プラットフォームで利用することも可能。ただし、その場合のHyperTransportは2.0までとなる。
製造プロセスは従来と同じだが、アーキテクチャには様々な改良が加えられている。主な特徴は以下の通り。
- 1ダイでクワッドコアを実現
- HyperTransport 3.0に対応
- DDR2-1066メモリをサポート
- 共有型L3キャッシュを搭載
- Cool'n'Quietが2.0に進化
Phenomブランドの製品には、2way構成(8コア)が可能なハイエンド向けの「FX-80」シリーズのほか、クワッドコアの「9000」シリーズ、トリプルコアの「8000」シリーズが用意される。今回、発表となったのは以下の2モデルで、これらは全て4コア、9000シリーズのCPUである。
モデル | クロック | TDP | L3 | L2 | HT | 価格 |
---|---|---|---|---|---|---|
Phenom 9600 | 2.3GHz | 95W | 2MB | 2MB | 3.6GHz | 283ドル |
Phenom 9500 | 2.2GHz | 95W | 2MB | 2MB | 3.6GHz | 251ドル |
出荷はすでに開始されており、今後、上位モデルとしてPhenom 9900(2.6GHz)/9700(2.4GHz)も2008年第1四半期に提供が開始される見込み。価格は、9900が350ドル以下、9700が300ドル以下となる予定だ。また、Phenom 9600の"Black Edition"(倍率可変モデル)も今年中に発売されるということなので、オーバークロックユーザーは注目だ。
これまで、新CPUのブランド名称として「Phenom」という名前は公表されていたが、製品ラインナップについては当初の発表から若干修正がある。クワッドコアが「Phenom X4」、デュアルコアが「Phenom X2」とされていたが、デュアルコアはAthlonブランドで投入されることになり、代わりにトリプルコアが追加されている。
モデルナンバーも分かりやすくするために、X4などの名称は廃止。FXシリーズ以外では、4桁の数字だけで機能や性能を表すようになった。また今後の主力製品はPhenomとなるが、下位ブランドとしてAthlon(デュアル・シングルコア)/Sempron(シングルコア)の名称は存続されるようだ。
7シリーズ・チップセット
Phenomに対応する新チップセットとして、7シリーズ・チップセットが発表された。HyperTransport 3.0、PCI Express 2.0に対応するもので、エンスージアスト向けの「790FX」、ゲーマー向けの「790X」、メインストリーム向けの「770」がラインナップ。クワッドグラフィックは790FXのみで、790Xはデュアルまでの対応となる。
同社のチップセットとしては初めて65nmプロセスを採用しており、低消費電力を実現したことも特徴。TDPは10W以下ということで、同社はプラットフォーム全体での省電力性をアピールしている。
またオーバークロック機能として「OverDrive」ソフトウェアも用意。項目が簡素化された「Novice」モードと詳細な設定が可能な「Advanced」モードが用意されており、初心者から上級者までパフォーマンスのチューニングを試すことができる。また自動で設定する「Auto Clock」機能も用意されている。
今後、同社のチップセットとしては、DirectX 10世代の統合グラフィックチップセット「RS780」が2008年2月、モバイル向けの「RS780M」が同5月に発表される予定。
なお今回同時に発表された「Spider」プラットフォームは、CPUのPhenom、チップセットの790シリーズ、GPUのRadeon HD 3800シリーズで構成される。日本AMDでは発売を記念し、11月23日(金)に東京・秋葉原でイベントを開催するほか、ダイチャームをプレゼントするキャンペーンも実施する予定だ。