変更管理は運用効率化の要
データベースアーキテクトのもうひとつの関心ごとが変更管理だ。たとえばそれはシステムの移行であったり、環境の変化に対する取り組みだったりするわけだが、11gは変更管理に力を注いだ点でこれまでのバージョンとは決定的に取り組みの方向性が違っている。
システムを構築する場合にせよ移行する場合にせよ、本番環境を想定した試験が欠かせない。しかも試験は本番環境に限りなく近くなければ意味がない。11gよりも前のバージョンを使う場合にはそれ相応に時間がかかるわけだが、11gで導入された「Real Application Testing」を活用するとこれを数日に短縮できる。実際の動作に限りなく近い試験を自動的に実施するためのツールで、11gの方向性を位置づけている特徴的なプロダクトだ。
IT予算のうちの7割から8割は、既存のシステムの運用管理にまわされている。つまり、BDAが注目しているパフォーマンス管理や変更管理に多大な予算がつぎ込まれているわけだ。11gが注目しているのはこの点だ。既存シスムの運用管理にかける予算と手間を削減し、その分を新しいシステム開発への投資にまわし、積極的にITシステムを活用していこうというわけだ。
10gと11gはOracleの戦略転換を示すプロダクト
OracleはDatabase 10gを発表したころから自社戦略を大きく転換し、エンタープライズ向けのプロダクトを包括的に提供し、すべてのソリューションを結合するべく買収戦略を開始した。5年間で買収した企業は37社。同社社員数は4万人から8万人へと拡大し、戦略通りにポートフォリオの拡充と買収したポートフォリオの連携に心血を注いでいる。
4年ぶりにメジャーアップデートとして公開されたDatabase 11gが、10gのように技術指向のプロダクトではなく、実際の使い勝手や運用管理における経費削減へ注力していることが戦略転換を如実に表している。もちろんデータベースは同社にとって重要なポートフォリオであり続けているが、5年前のように旗艦プロダクトというわけではない。ポートフォリオのひとつであり、使い勝手や全体の効率という面から見たひとつのプロダクトという位置づけまで変わっている。
Oracleはポートフォリオの拡充と、AIAに代表される統合プラットフォームの展開などから、より広範囲のノレッジをシームレスに統合することに注力している。エンタープライスシステムにおいてデータベースのみが特に注目されるという時代はどうやら終わりをつげたようだ。

