矢野経済研究所は2日、携帯電話の法人市場に関する調査結果を発表した。それによると、2006年度の「法人向け携帯電話ソリューション市場」は2,365億円と推計された。また、法人市場における携帯電話は、音声通話としてだけでなく業務効率化のためのツールとしてさまざまなソリューションが展開されつつあると分析している。

調査によると、法人名義の携帯電話端末台数は約900万台弱(数字は、通信キャリア、法人向け販売代理店など17社からの聞き取り調査による推計)。キャリア別で見ると、NTTドコモが64.4%と最も高いシェアを占める一人勝ち状態。通信キャリアの中で最も早くから法人市場向けの販売に取り組んでいることや、大企業を中心とした導入実績を挙げていることがその要因と見られている。また、東海、北陸、関西など全国の地域ドコモ8社との連携で、地方企業にも導入を進めている。

KDDIのシェアはこれに続くが、数字は25.1%とドコモに大きく引けを取る。KDDIは、さまざまな業種/業態に対応できる法人向けソリューションを導入することで、これに対抗する姿勢を見せているという。また、"ホワイトプラン"の導入により個人契約数に回復の兆しが見えつつあるソフトバンクモバイル(シェア6.0%)は、定額制での通話料の安さを売りに中堅・中小企業へ攻勢をかけているという。狙いはウィルコム(同4.5%)も同様で、ここは大企業を得意とするドコモが取り込んでこなかった市場でもある。

調査では法人向け携帯電話ソリューション市場に注目、これを3つに分類し、次のように分析している(通信料金やハードウェアを除いた、アプリケーション開発とその保守運用が対象)。

「BtoB/BinBソリューション」は、グループウェアなど携帯電話で業務効率化を図るもので、携帯電話を使った在庫管理や受発注業務などが代表的。これはASPによる提供が多いため、1案件での金額規模は少ないと見られている。

「モバイルセントレックス」は、オフィスの内線交換機能を携帯電話で実現するシステム。法人市場が拡大する一つの要因となっているが、導入にかかる金額規模が大きく、まだ事例は少ない。

導入企業のさらに先のエンドユーザーを含めた「BtoBtoCソリューション」は、電子決済や顧客管理など携帯電話を使った企業のマーケティング強化や販売強化を目的とするもの。ドコモのおサイフケータイを決済に利用する企業などがこれに当たる。

これら3つを合計した2006年度市場規模は2,365億円と推計され、特にBtoBtoCは1,300億円と高い比率を占めている。ドコモのおサイフケータイ契約数は、2004年7月10日にサービスを開始後、2006年1月に1,000万、2007年3月に2,000万件突破と、1年間で倍増してる。