「製品開発にこだわりをもっている、と主張しても、それがベンダのエゴによるこだわりだったら意味がない。あくまで顧客が欲しいと思う製品を提供することが我々の仕事」(高橋氏)、たしかに開発者が細部にこだわりすぎたマニアックな製品は、顧客の興味を引くことはあっても導入まで至ることは少ない。顧客の要望を適切に読み取り、それを製品に反映する - 言葉で言うのは簡単だが、実現するのは本当に難しい。だがNECにはそれを可能にする3つのバックグラウンドがある。

ひとつは販売店/パートナーとの密接なつながりだ。「NECが11年連続首位をキープできたのは、間違いなく、販売店との強固な連携に依るところが大きい」(渡辺氏)とその協業体制に絶対の自信を見せる。「マーケティングにおいて最も信頼できるソースのひとつが販売店からの意見。彼らは顧客の要望や市場のトレンドなど、変化の兆しを最前線で敏感に感じ取っている。水冷サーバもそういった販売店との協業によって生まれた製品。つねに販売店/パートナーと"一緒に作っている"という意識をもって製品開発にあたっている」(渡辺氏、高橋氏)。

また、ブレードサーバのように、顧客が「導入が大変なのでは」「運用が難しそう」といったイメージを抱きやすい製品などは、販売店による事前/事後の十分な顧客サポートが欠かせない。販売店に十分な知識をもってもらうためにも、密な連携は欠かせない要因となる。そのため、NECでは販売店やパートナーを対象にパートナー支援プログラムを用意し、セールスや技術情報により販売活動をバックアップしている。

2つめは冷却技術に代表されるようなNECが長年培ってきた技術力だ。水冷サーバ(110Gc-C)を例に挙げれば、限られたサイズの中で効率的なエアフローを確保する設計や、小型化した水冷ユニット、冷却効率を高めるコルゲートフィン(細かいひだ状で表面積を大きくとったフィン)のラジエータの採用など、独自色が強いサーバとなっている。ハードウェアベンダとしてこれまで積み重ねられてきた技術が、大きな差別化ポイントとなっているのは間違いない。

110Gc-Cの断面。水冷システムを採用しているのでCPU冷却ファンがなくなっている。左上部に見えるファンは通常動作時1500rpmという低速回転。環境温度が上昇すれば、自動で回転数が上がるしくみになっている

110Gc-Cの水冷ユニット。CPU冷却部分には熱伝導性の高い銅が採用されている。受熱部、ポンプ、リザーブタンクが一体化されてより小型化された。ラジエータはコルゲートタイプ。冷却液はプロピレングリコールを主成分にした不凍液

もうひとつ、国内ベンダならではの充実のサポート体制も同社の強みだ。同社は全国400カ所以上にサービス(保守)拠点をもち、迅速な顧客サポートを心がけている。また、Express 5800シリーズは、SMB(中堅/中小企業)においてとくに導入実績の多いエントリモデルの「Gモデル」(110Gc-C含む)、およびデータセンタ向けのiモデルに関しては、製造日より3年間無償保証としている(それ以外のモデルは1年間)。「迅速できめ細かなサポートを提供できるのも、やはり販売店とのつながりのおかげ」(渡辺氏)という。ともするとベンダから販売店への一方的な関係になりがちだが、同社にあっては「つねに双方向の関係」(渡辺氏、高橋氏)と断言する。「12年連続1位の自信は?」との問いに、「2007年も必ず1位に」(渡辺氏)と確信に満ちた答えが返ってきた。