ThinkCentre史上最小となる4.5リッターの超小型筐体「ウルトラスモールフォームファクタ(USFF)」採用のデスクトップPC「ThinkCentre A61e Ultra Small」を発表し、同時にThinkPadも誕生15周年を迎えたレノボ。そのもの作りの姿勢と企業としてのあり方について、レノボ・ジャパン製品事業部担当執行役員の落合敏彦氏にお話をうかがった。

レノボ・ジャパン製品事業部担当執行役員の落合敏彦氏にお話を伺った

--「ThinkCentre A61e Ultra Small」はとても個性的な製品だと感じました。そのコンセプトを教えてください。

ThinkCenter A61e Ultra Smallのコンパクトさは、「デスクトップPCをもう一度机の上に戻そう」という当社の提案です。従来のデスクトップPCは、サイズが大きいためにデスクの下、つまりユーザーの足もとに設置されることが多かったのですが、光学メディアやUSBポートなどへのアクセスが増えてきたため、やはり机の上に置いた方が使い勝手がよいだろう、と。ただし、机の上に設置するからには従来のデスクトップPCよりもコンパクトで静音性が高く、排気も気にならないものを、と考えて、それらすべてを実現した新筐体を採用しました。

排気音についても、ファンの羽根の大きさや形状、回転数から発生する騒音レベルの研究を行い、ThinkPad T60の高負荷時程度の騒音レベルにまで抑えています。

ThinkCenter A61e Ultra Smallの社会的な側面としては、消費電力を約27%低減し、当社初のEPEAT GOLD取得や国際エネルギースターV4順守といった環境対応が挙げられます。これは、単純に当社の技術力や省エネルギーコンポーネントの採用を誇示するというエゴではなく、顧客企業も環境対応を気にする時代背景の中、当社としてはどのような形でそのニーズを満たせるか、という回答のひとつです。

また、ThinkCenter A61e Ultra Smallでは、光学ドライブとハードディスクなどは小型デスクトップによくあるノートPC向けのものではなく、通常のデスクトップ向けのものが採用されています。これは、ユーザーの使い勝手、コスト、メンテナンス性などを考えてのことです。ここにノートPC向けのものを使って業界最小筐体を実現することも可能だったのですが、いたずらに「最小」、「最軽量」といったうたい文句を追いかけるのではなく、購入後3年、5年といった長い期間、きちんとユーザーに使ってもらえるものを、という思想を反映したものです。

「ThinkCentre A61e Ultra Small」

--欧米と比較してノートPCを強く支持する日本市場において、他社が手がけない超小型サイズのデスクトップを投入するなどアグレッシブな製品展開を行っていますが、なぜ今でもデスクトップなのでしょうか? そのこだわりについてお聞かせ下さい。

3年ほど前に比べると、大画面モニタが普及したためデスクトップは使いやすくなったと考えています。以前は、15インチ液晶ディスプレイを備えたノートPCと15インチモニタを接続したデスクトップPCは使い勝手や作業性の面においてほぼ同等で、特に日本ではデスクが狭いという事情からほとんど持ち運びをしない「据え置きノート」という特殊なカテゴリが生まれたぐらいです。

しかし、ここ数年の液晶モニタの大型化、高解像度化をうけてデスクトップの作業性が飛躍的に向上しています。コールセンターでのデータ入力作業のようなPCを持ち歩く必要がない、または持ち出しを許さない業務では、省電力、かつコンパクトなデスクトップに、19インチなどのノートPCでは通常搭載しないサイズのモニタを接続することで、より快適にPCを使ってもらえるというのがデスクトップの利点でしょう。このように、以前よりもデスクトップとノートPCの棲み分けが明確になったため、ユーザーが求める用途に見合った形のものをほぼ同程度のコストで提供できるようになってきています。