KDDIの2007年秋冬の携帯電話新商品は、「もっと、ケータイを。」が主題だ。端末の機能、サービス供給の態勢をいっそう整備することで、使いやすさ、利便性、楽しさをさらに向上させるのが目的だといえる。なかでも今回、同社が特に注力しているのは音楽コンテンツの領域だ。ソニーとの協力関係を強め、「au×Sony MUSIC PROJECT」を形成、従来の総合音楽サービス「LISMO」を刷新した。「着うたフル」をウォークマンに転送できるとともに、PC向け音楽配信サービス「mora」と「着うたフル」の連動が可能となるほか、「着うたフル」を ソニーのHDD搭載コンポ 「ネットジューク」と携帯電話との間で共有することができる。サービスの開始は12月以降となる予定だ。

ケータイ、パソコン、オーディオ機器連携の基盤となる統合ソフト「LISMO Port」

今回の新たな音楽施策の基盤としてKDDIでは、パソコン向けの統合ソフト「LISMO Port」を投入する。「LISMO Port」は、ソニーの音楽管理ソフト「SonicStage」を基本とした「LISMO」向け音楽管理ソフト「SonicStage for LISMO」、携帯電話データの管理ソフト「ケータイデータバックアップ」、「LISMO Port」データのバックアップソフト「LISMO Portバックアップ」を集約したソフトで、パソコンを介して、サービスに対応した携帯電話でダウンロードした「着うたフル」をウォークマンに転送することが可能になる。au携帯電話に保存している「着うたフル」、「ビデオクリップ」のバックアップ、CDからの楽曲読み込みなどもできるようになる。

また、レーベルゲートの運営する音楽配信サービス「mora」を、「LISMO Port」向けに新たに提供する「mora for LISMO」から楽曲をダウンロードできるほか、それらの楽曲とともに、au携帯電話でダウンロードした「着うたフル」、「ビデオクリップ」などを一元管理することが可能だ。そのほか、「LISMO Port」は、アドレス帳、スケジュール、フォト、ムービー、Eメールなどのバックアップ、「au Music Port」管理楽曲のデータ移行といった機能をもっている。

ネットジュークとの連携では、パソコンを介在させずに、「着うたフル」のバックアップ、再生ができるとともに、ネットジュークに貯めた楽曲を携帯電話端末に転送することが可能だ。また、ネットワークに対応したHDD搭載オーディオ機器で、パソコンを使わずに利用できる音楽サービス「Any Music」からダウンロードした楽曲を携帯電話に直接転送することもできる。

携帯電話、パソコン、ウォークマン、ネットジュークの間で音楽が円滑にやり取りされる

音楽が「商品」として供給される「窓口」は多様化している。「着うたフル」のように携帯電話による手段、パソコン+インターネットのほか、パソコンを使わず、HDDを搭載したオーディオ機器へ楽曲を直接ダウンロードする方法も出てきた。しかし、これまでは携帯電話で購入した楽曲を自宅のオーディオ機器や「ウォークマン」で楽しむことができないなど、携帯電話とオーディオ機器の間には垣根があった。今回のサービスでは、パソコンを使わなくても、サービスに対応した携帯電話でダウンロードした「着うたフル」を「ネットジューク」に直接バックアップして、「ウォークマン」で聴けるなど、ケータイとオーディオ機器を隔てる障壁に風穴を開ける試みだ。

今回の機器連携に対応した携帯電話は、W54S、W54SA、W56T。これら対応携帯電話に接続できる 「ネットジューク」は、NAS-D55HD、NAS-M75HD、NAS-M95HD。「着うたフル」を転送できる「ウォークマン」は、NW-S610/S710シリーズ、NW-A910シリーズ、NW-E010シリーズ、NW-A800シリーズ、NW-S700シリーズ、NW-S600シリーズ、NW-S200シリーズ、NW-E000シリーズ、NW-A600シリーズ、NW-A3000、NW-A1200、NW-A1000。

KDDIの高橋誠 取締役執行役員 常務 コンシューマ事業統括本部長(左)と、ソニーの吉岡浩 業務執行役員 SVP オーディオ事業本部長

KDDIの高橋誠 取締役執行役員 常務 コンシューマ事業統括本部長は「着うたフルのダウンロード数は2007年10月2日で、累計1億5,000万に達しており、我々と音楽業界は良好なコラボレーションができている。LISMOにより、ケータイとパソコンを組み合わせ、音楽の楽しみ方を変え、使いやすくしたのがファーストステージだったが、ウォークマン、moraとの連携で、ケータイ、パソコンだけの閉じた環境を開かれたものにして、あらゆる生活シーンで音楽を楽しめるようになった」と話している。

ソニーの吉岡浩 業務執行役員 SVP オーディオ事業本部長は「もっと、音楽とひとつに。」が今回のKDDIとの連携の軸であると指摘、「ソニーは高品質の音楽を多様な場で楽しめるようなサービスを提案していきたい」と強調、携帯電話経由でダウンロードした着うたフルをウォークマン、ネットジュークで共有できるようになり「音楽の楽しみ方がさらに広がる。KDDIとソニーはビジョンが一致している」と述べた。