韓国任天堂は17日、自社用のソフトウェアを不法提供したとして、Webサイトの運営企業とユーザーの告訴に踏み切った。

韓国任天堂はソウル中央地方検察庁に、ゲームプログラムの不法提供を通じて不当利益を受けていた、ウェブストレージやP2Pなどを運営する業者と、これらのWebサイトを利用してゲームプログラムを無断で掲示していた一部のユーザーに対し、刑事処罰を要請する告訴状を提出したと発表した。

韓国任天堂はこれまで、ゲームプログラムを不法提供していたWebサイトや利用者に対し、これらのの削除や取引行為の中断を要請してきたという。しかしいずれも要請に従うことはなかったことで、「韓国ゲーム産業のすみやかな正常化のため、これ以上不法行為を黙認することができない」と判断。今回の告訴に踏み切ったとしている。

告訴状で韓国任天堂は、「無断掲示者たちが正当な権利なしに任天堂のゲームプログラムを複製および転送したことで、任天堂のコンピュータプログラム著作権を侵害している」と主張している。

さらに「不法ダウンロードサービスの提供サイトは、自分たちの営業のために無断掲示者たちが正当な権限なしに複製したゲームプログラムを簡単に転送(取り引き)できるよう、(Webサイトの利用)条件を助長することで(著作権)侵害行為を共同で行ったり、これをほう助したりしている」と続ける。

2007年早々に、「ニンテンドーDS Lite」の販売とともに韓国市場に本格進出を果たした任天堂。日本でもヒットしている脳トレゲームは韓国でも人気を集め、既に同市場で確固たる地位を築いていたSCE Koreaの「PSP」と並ぶ携帯ゲーム機となったが、プログラムのインターネット上などにおける不正取り引きは後を絶つことがなかった。不正販売の市場が拡大すれば任天堂の利益にも当然影響する。今回の動きは、こうした現状を見るにみかねての措置といえる。

韓国任天堂ではゲームプログラムの不法複製による、被害総額を明らかにしていない。また「今回は(違反者は告訴するという)事実のみを明かすことを目的としているため、告訴した企業名は明かさない方針」であるという。不当利益を上げることを目的にした著作権侵害行為の常習者は告訴されるという事実を、業者やユーザーに知らしめることで、著作権保護への意識を高めたい考えだ。

韓国任天堂では今後も、不法複製されたソフトウェアはもちろん、これを複製するためのツールなども含め、すべての不法行為に対して刑事告訴も辞さない断固とした対策を講じるという強い意志を明らかにしている。