Mark IIIは重いか? 軽いか?

では操作性を見ていこう。ボディはさすがに大きく重い。最近はプロでも「EOS 5D」を使う人が多いが、これも軽さを求めてのことだろう。しかし、知り合いの「EOS-1D MarkII N」を使っているカメラマンに聞いたところ、「 Mark IIIはすごく軽い」と言われて少々驚いた。比較してみると、Mark II Nが本体1,225g+バッテリー(NP-E3)335g=1,560gなのに対し、 Mark IIIは本体1,155g+バッテリー(LP-E4)180g=1,335g。つまり200g以上軽くなっている。なるほど……、とは思ったが、やはり絶対的には重い。フィルムのプロ機(EOS-1v)のように、本体と縦グリップ部は分けられないものだろうか。

光学ファインダーは非常に広く、見やすい。視野角を実測したところ約25.1度(対角)だった。フルサイズ撮像素子の1Ds系には及ばないものの、MarkII Nの23.9度(実測値)よりも広いことが確認できた。やはり広いファインダーは気持ちいい。

シャッターボタンもいいフィーリングだ。正しく、滑らかに上下する。全押し時には少々重く感じるが、スポーツ撮影などにはこのぐらい重さがあったほうがいいだろう。ただ、シャッター音は大きめで、ミラーショックもそれなりにある。APS-Cの普及型一眼レフよりもミラーが大きいためだろうか。しかしボディが重いために、ミラーショックが撮像素子まで伝わらないように感じる。いずれにしても実用上困るわけではない。

ホールディング。持っているのが女性のため、カメラが異様に大きく見える

シャッターボタンは少し重めだが、動作感はとてもいい

手が小さいと、こういった操作はつらい。露出補正はサブ電子ダイヤルだけでOK

メニューはマルチセレクターはもちろん、電子ダイヤルでも操作できる

ファインダーは非常に広く見やすい。高速1D系では最大の広さ

[INFO]ボタンを押すと、カメラの状態が表示される

キヤノンには電子ダイヤルの操作が似合う

ボタン類はいつものとおり。背面に大型のサブ電子ダイヤルを備える最新キヤノン流だ。マルチコントローラー(十字キー)はEOS-1D/1Ds系としては初採用となる。液晶モニターが大きくなったため、従来モニター左に置かれていたデジタル操作系のボタンが、上下に分かれて置かれ、[SET]ボタンもサブ電子ダイヤルの中央に置かれることになった。といっても違和感はなく使えたし、それよりモニターが大きいことを喜びたい。

キヤノンのメニュー操作といえば、やたら長いメニューリストをサブ電子ダイヤルで一気に流し、項目を選択するという操作方法を思い出すが、それも昔の話。現在は横方向にグループ(タブ)を選び、縦にメニュー項目を選択する一般的な方法になっている。操作はずいぶんやりやすくなった。Mark II Nでは横方向の選択が[MENU]+サブ電子ダイヤル、縦方向が[SELECT]+サブ電子ダイヤルという方式だったのに対し、 Mark IIIでは横をメイン電子ダイヤル、縦をサブ電子ダイヤルで操作できる。これならばストレスも少ないはず。もちろんメニューはマルチコントローラーでも操作できるが、個人的には電子ダイヤルのほうが使いやすく感じた。

意外だったのは、クイックビュー(撮影直後の画像表示状態)からすぐさま拡大に移れないこと。[INFO]ボタンによる情報切り換えは可能だが、拡大する場合は再生ボタンで再表示しなければならない。このクイックビューからの拡大は、実はカメラ的には大変な作業らしく、一般向けのデジタルカメラではできないものもけっこうある。しかし、キヤノンの、しかもプロ用カメラでまだできないというのはちょっと意外な感じがした。

その代わりというわけではないが、キヤノンの色変更機能である「ピクチャースタイル」が独立したボタンに割り振られたことを評価したい。従来はメニューからピクチャースタイルを選択していたが、 Mark IIIでは一発で呼び出せるようになった。すでに色変更機能は、露出補正やピント位置と同じくらい重要な機能だと思う。高く評価したい。

撮影の状態でこのボタンを押すと、ピクチャースタイルのメニューが開く。他の機能にも割り当てられる

再生時の画面。RGB別のヒストグラムも表示できる。拡大は最大10倍まで

通常のメニュー。横に撮影や再生などのグループ(タブ)が並び、縦が各項目

ホワイトバランスは微調整が可能。オートでも設定できるので便利

Mark IIIでは新しく「sRAW」が設けられた。小さくてかまわないが、補正したい場合に便利

画像サイズごとに圧縮率(JPEG画質)が指定できる。標準はすべて「8」

頻繁に使うメニュー項目は、「マイメニュー」に登録すると便利

拡大表示は、通常、画面中央から始まるが、AFフレームから拡大することも可能。ピントンの確認にとても便利