e200は米IPextreme経由で販売を開始

既にリリースされているが、Freescaleは米IPextreme経由でe200コアのIPの販売を開始した。もっともこれをFreescaleが販売、という言い方をするのは語弊があるかもしれない。FreescaleはあくまでIPextremeに対してコアを提供するだけで、これをXPackと呼ぶパッケージの形にして外販を行うのはIPextremeだからだ(図13)。

図13 XPackというのは、Freescaleの製品パッケージの総称である

FreescaleとIPextremeの間の詳細な契約条件は当然ながら公開されていないが、おそらくはe200コアをIPextremeが販売するごとに、Freescaleがある程度のライセンス料を受け取るのだろう。また、e200コアが広く使われるようになれば、プラットフォームの普及に弾みがつくわけで、これは悪いことではない。一方、IPextremeにとってみれば、従来同社が提供してきたIPコアは省電力のプロセッサコアや周辺回路、インタフェースなどだけだったから、e200がラインナップに加わったことでIPの充実化を図ることになる。

さて今回の契約ではe200z0/z1/z3/z6のほかにColdFire V2、Nexus 5001デバッグインタフェース、FlexRayコア(FRCC2100)がIPextremeに提供されることになっている。FlexRay関連では、IPextremeはNXPからもeVC(e Verification Component:FlexRayの検証ソリューション)の提供を受けており、これとFRCC2100を組み合わせることで効率の良いソリューションを提供するのが目的のようだ。すでにIPextremeはCANインタフェースのIPやBluetooth関連IP、NSのAMBA Peripheral Libraryなどをラインナップしており、ColdFireやe200をこれらと組み合わせることで、自動車関連向けを含む幅広い制御向けIPソリューションを提供できる。

さて、ここまでは公式発表の話である。以下はTechnology LabでIPextremeの担当者に聞いたことである。すでにFreescaleとIPextremeの間では、e200のみならずe300/e500コアの提供に関してもAgreementがが結ばれているそうだ。したがって将来はこのラインナップに加えてe300/e500も登場する「可能性がある」そうだ。

どうして「可能性がある」レベルなのかというと、これはコアの提供形態が異なるからだという。e200は完全に論理合成可能なソフトコアプロセッサとして提供されるから、IPextremeの従来のIPと同じように販売可能である。ところがe300は大半がソフトコアであるものの、レジスタファイルの一部などはハードマクロでの提供、e500に関しては構造が複雑なため、ほぼすべてがハードマクロの形で設計されているという。その結果、IPextremeとしてもソフトコアプロセッサとして販売することはできず、当初はハードマクロでの提供になるそうだ。

そのe300/e500であるが、ファウンダリはIBMもしくはChartered Semiconductorとなり、プロセスは90nm SOIもしくは45nm SOIになるという。SOIを使わないバルクCMOSでの提供、あるいは65nmプロセスへの対応をどうするかは今後の課題であり、マーケットの動向を見ながら検討するという話だった。ちなみにe500コアに関しては「Freescaleは今年は90nm SOIだが、2008年の第一四半期ないし第二四半期には45nm SOIの製品を出荷する」とはっきり明言しており、意外に切り替え時期は早くなりそうだ。e300/e500コアの提供時期は現時点では正確には決まっていないものの、今年末を目標にしているという話だった。