韓国のホスティング業者「今日と明日」は、デジタルカメラと撮影コンテンツが中心のコミュニティサイト「dc inside」のページビューが、1億1,000万/日を突破したと発表した。

元々はデジタルカメラ情報交換サイト

dc insideを運営するDigital Inside代表のキム・ユシク氏は、2006年末に「(当時検索ポータルで5~6位程度だった)empasに追いつきたい」と抱負を語っていたが、同社によると現在、empasのページビューは6,000万程度ということなので、この目標は既に達成したといえる。

ありとあらゆる情報を提供する検索ポータルに、コミュニティサイトが勝るという事実がdc insideの人気ぶりを物語っている。

dc insideは「Disital Camera Inside」の略語だ。このほか、「digital contents」「digital community」「digital commerce」といった意味もこめられている。

1999年のサービス開始当時、dc insideはデジタルカメラの性能や価格などについての情報交換の場、あるいは、撮影した画像を共有することを目的としたコミュニティサイトだった。

デジタルカメラという共通の関心事を中心とした、自発的な参加型のコミュニティサイトは、dc inside独自の雰囲気を作りあげ、固定ファンもついて成長を遂げていった。また、dc insideは会員登録制をしいていなかったため、誰でも簡単に画像を投稿したり、それに付いたコメントを閲覧できるなど、多くの人に門戸を広げていたのも人気を得た理由の1つかもしれない。

現在ではデジタルカメラに限らず、IT機器全般の情報交換ができるようになっている。現在、画像を共有できるスペース「ギャラリー」には、多くのカテゴリが設けられ、無数のファイルが投稿されている。

独自の言葉やキャラクターを生み出す

現在、韓国では「UCC (User Created Contents)」が大流行中。ユーザー自身が撮影・編集した動画像などのコンテンツを指すUCCは、ここ数年の流行現象だが、元々こうしたサービスを提供していたdc insideは、UCCサービスの老舗といえる。

流行以前からユーザーたちをひきつけていたのは、dc insideに多数掲載されているユーモラスな画像だ。偶然撮れたユニークな光景から、思わず笑ってしまう合成画像まで、その種類は豊富。ユニークな画像見たさにdc insideにやってくる人もいるほど、同サイトの醍醐味となっている。

投稿画像の加熱ぶりから「dc廃人」という言葉も生み出した。dc insideの画像に夢中になるあまり、同サイトに接続しっぱなしのdc廃人たちは、ここだけで通じる言葉も生み出し、その言葉が書かれたTシャツまで作ってしまうほどだった。

また、画像遊びはこれだけでは終わらず、子犬の「ケジュクイ」など、dc insideを象徴するような特有のキャラクターも生み出した。子犬のケジュクイは合成画像によく登場するのだが、竹にしがみついていたり、警官と一緒に敬礼していたりと、普通の子犬では考えられない動きをするという楽しいものが笑いを誘い、そして人気を得ていったのだ。

Googleとの提携によるサービスも

投稿画像といえばdc insideというほどにまで成長した同サイトは、2006年後半に複数の企業から100億ウォンを超える投資を誘致するなどして、事業拡大への資金的足がかりを整えた。

さらに今回の好結果を受けて、トラフィック増加に多大な自信をも得たようだ。今後の抱負として、同社は「2007年末までに1日のページビューを2億まで増やすこと」(Disital Inside)と、勢いづいている。

そのための戦略として、同社は新サービスの「ギャログ」を計画している。これはギャラリーとログの合成語で、たくさんの画像が投稿されているギャラリーや、画像につけられたコメントを、ユーザーが1カ所にまとめて閲覧できるようにするというもの。会員登録制をしいていなかった当時とは異なり、どんな会員がどんな画像やコメントを残したのかを、一貫して追うことができて大変便利だ。

サービス面だけでなく、他社との提携によって利益を上げていく戦略にも出ている。

2007年にはGoogleとコンテンツマッチング広告に関する契約を結んでいる。これは2007年3月に、同社のキム代表が米国のGoogle本社に直接足を運んで取り付けた契約で、現在この契約の詳細に関する協議が行われているところだ。

両社はこれを機に、今後、広告分野だけでなく幅広い分野での提携を進めるのではないかと予測されている。

ところでUCC流行の今、競合サイトもずいぶん増えた。empasも今や検索ポータル3位の「NATE」と合併、大規模体制で韓国のインターネット市場に臨もうとしている。さまざまな面で事業拡大を図っているとはいえ、dc insideの戦いもこれからが正念場といえるのではないだろうか。