ユーザーが直接撮影・編集した動画や写真「UCC(User Created Contents)」が大流行している韓国。それは単にたくさんのサービスが登場して、多くの人が利用する、といったようなレベルではなくなってきている。

UCC動画を使った書類選考

SNS「Cyworld」を運営するSK Communications(以下、SKC)は、2008年2月卒業(韓国では2月に卒業式を行う)の大学生および大学院生を対象とした、インターンシップ募集を開始すると発表した。

これは1次の書類選考と2次の面接選考により選抜されることとなっているのだが、この書類選考においてUCCが利用されるのだ。

学生は1次選考のための必須提出物の1つとなっている「自己紹介書」として、書類ではなくUCC動画を提出しなければならない。提出といってもUCC動画をSKCに送りつけるのではなく、自身のミニホームページの動画フォルダ上にアップロードする必要がある。なぜならこれを審査するのは、Cyworldの会員たちだからだ。

アップロードされたUCC動画はCyworld内の動画コーナーにおいて公開され、これを見たCyworld会員はよくできていると思うものに投票する。より多くの票を得た人が多くの加算点を得ることとなり、1次試験突破に有利になるというわけだ。

実際にアップロードされている動画を見ると、ボランティアや海外研修といった大学生活の写真をBGMとともに紹介したり、大得意の料理を通じた本執筆やブログ開設などの活動を集中的に紹介するなど、プロではない人たちが作った動画にしてはなかなかのハイレベルだ。

SKCでは書類選考にUCC動画を採用した理由として「UCCによる自己紹介書は、情熱や創造性を持ち合わせたCyworld型人材の発掘に大きな助けとなる」と述べている。

人それぞれ異なる感性に甲乙をつけることは難しいかもしれないが、学歴などが列挙されているだけの書類よりはその人の活動風景をより深く知られる材料となりえそうだ。

UCCスターがネット広告に登場

動画ポータルの「mncast」を運営しているS.M.Onlineは、mncastの広告モデルとして、3人のUCCスターを起用したと発表した。3人は6月18日から1カ月間、mncastのインターネット動画広告モデルとして活動することになる。

モデルに起用された3人はいずれも、mncastに動画をアップロードすることでいちやくインターネット上の有名人になった人たちだ。

表情豊かに絶妙な口ぱく芸を披露することで有名な、別名「口ぱく王子」のチョン・ホソン氏。「4倍速でしゃべる男」としてテレビ出演まで果たした、早口名人のアン・ジュンソク氏。「キューティハニー」や「ストリートファイター」といったアニメーションやゲームの曲を高度な技術で弾ききる、女性ギター名人のハム・チョロム氏と、有名人たちはいずれも個性豊かなメンバーだ。

現在配信されている、UCCスターの動画広告。出演しているのは「口ぱく王子」ことチョン・ホソン氏

そんな彼らが出演する広告には、1人が1篇ずつ出演することで計3パターンが用意されており、mncastで動画を見た後、Flash広告として登場することとなる。

広告はmncast上で動画を見た後に放映される

mncastでは、今後も毎月さまざまなUCCスターを広告に起用していく方針で、「より多様な広告を作って配信する」(mncast)と述べている。

韓国では、UCCを単に共有して楽しむ段階を超え、求人の採用や広告の道具としても利用されるようになっている。UCCは一般の人が作るものであるだけに、当初は映像の質的な問題が懸念されてもいたのだが、今回のような活動が継続して行われていくことで、全体のレベルも少しずつ上がっていくことが予想される。