コンピュータといえば、「ディスプレイやキーボードなどの入出力装置を持ったPCみたいなもの」という、一種の連想ゲームを覆す新カテゴリの製品が、これまでPC文化を築き上げてきたMicrosoftから登場することになる。米Microsoftは5月29日(現地時間)、「Microsoft Surface」と呼ばれる新型のデバイス製品を発表した。

Surfaceの全景

Surfaceはリビングに置くようなテーブル上面にタッチスクリーン式のディスプレイが据え付けられたもの。ちょうど一昔前のゲーム喫茶にあったようなゲーム台をイメージしてもらえればいいだろう。Surfaceではタッチセンサーを用いて人の指の動きや近づけた物体を認識し、従来のようなキーボードやマウスのような装置なしにアプリケーションの操作を可能にする。同社ではSurfaceを家庭からオフィス、店舗、公共施設など、さまざまな場所でのコミュニケーションツールとしての活用を期待する。

リビングに置いたSurfaceは普通のテーブルと比較して違和感ない

Microsoftでは、Surfaceの特徴を「Direct Interaction」「Multi-Touch」「Multi-User」「Object Recognition」の4つのキーワードで表現している。マウス等の間接的なデバイスを使わず、「物をつかむ」といった直感的な動作をそのままSurfaceに対して与えることができる。画面のタッチに際しては、複数のポイントを何十カ所も同時に指定できる。画面が平型のテーブル上にあるため、複数ユーザーが同時に画面の内容を確認しつつ操作することが可能になる。

動作を直感的に、そのままSurfaceに入力できる

またIDタグやバーコードの埋め込まれた物体をテーブル上に置くことで、その物体が何であるかを自動的に認識することができる。例えばレストランでは、ワインのボトルやグラスを置けば、そのワインの銘柄の詳細や産地のバーチャルツアーを体験できるアプリケーションを起動させたり、小売店では購入前の商品をSurfaceのテーブルに置くことで細かい説明を受けるといったことも可能になる。

IDタグ認識機能を使い、Surface上に置いた商品を自動的に認識し、カタログを表示させる

Surfaceはパートナー企業を通して、当初は写真、音楽、コンシェルジュといった基本的なアプリケーションをカスタマイズ可能な形で提供していくという。同社によれば、カジノリゾートを経営する「Harrah's Entertainment」、Sheraton等の複数ブランドのホテルを世界規模で展開する「Starwood Hotels & Resorts Worldwide」、携帯電話事業者の「T-Mobile USA」などが、すでに最初のSurface導入ユーザーとして名乗りを上げているという。製品の提供は今年末を予定しており、それまでに上記に名前の挙がった企業傘下のホテルや店舗でSurfaceをいち早く見かけることができるかもしれない。

ホテル用のアプリケーションの例。Surfaceを通してそのままオーダーが可能

地図アプリケーションでレストラン検索も可能

なお、この製品は現在米カリフォルニア州サンディエゴで開催されている米Wall Street Journal主催の技術カンファレンス「D: All Things Digital」において、米Microsoft CEOのSteve Ballmer氏が現地時間で30日に登壇を予定している基調講演で紹介されることになる。また、米NBC TVの早朝のニュースコーナーでも大々的に紹介される予定だ。Wall Street Journalの報道によれば、この製品は同社会長Bill Gates氏指揮の下、Microsoft Researchで6年間にわたって研究されてきた成果だという。