Enterprise Manager 10g R3におけるもうひとつの大きな強化点がパッケージアプリケーションへの対応だ。Oracle E-Business Suite/Siebel CRM/PeopleSoft Enterpriseの管理が可能となっている。

ここでは「トップダウンアプローチ」と呼ばれる手法による効率化が図られている。

従来のトラブルシューティングでは、トラブル発生の報告を受けるとインフラストラクチャをこべつに調査する必要があった。これでは運用担当者の経験と勘に頼ることでのスピードアップが限界となる。

Enterprise Manager 10g R3ではアプリケーションの視点からのトラブルシューティングを実現している。トラブルが発生した際にはEnterprise Managerのアプリケーション管理から問題をドリルダウンして「上から下への」調査を行う。

「従来オラクルのエンジニアやパートナーが持っていた調査手順のノウハウをEnterprise Managerに実装した」と三澤氏。これによって運用担当者の経験や勘に頼っていた部分を減らすことができるとする。

現在はデータベースの層までしか"下る"ことができないが、「将来的には当然OS、つまりLinuxの管理も視野に入れている」(三澤氏)という。

R2では他社製品に対応したEnterprise Manager、今回は前述の強化に加え、Oracle Identity and Access Managementへの対応、ブラウザからのワン・クリックでOSからデータベースまでを"素"のマシンにインストール・セットアップ可能なベアメタル・プロビジョニング、アプリケーションのクローニングにも対応した。また、ITIL/COBITへのマッピングも可能だ。

Enterprise Managerは分断されたシステム、複雑なベスト・オブ・ブリードのテクノロジースタックを統合してシンプルに--というオラクルの思想を反映した統合管理環境となっている。一方でBEAもミドルウェアに限定した形ではあるがGuardianという強力な製品を投入する。もちろん、IBM Tivoliや日立のJP1といった従来からの製品群も強化を続けている。SOAが浸透すればこうした管理ツールの重要性がますます問われるだろう。