前回までのあらすじ】
初めての1人暮らしで、無謀にも内装を全部自分で作ることに決めた私。DIY物件専門の不動産サイトを通じて無事部屋を借りることができ、さっそく気に入ったフローリングもゲットしました。ただ、まだまだ考えること&準備することは山盛りです……!

借りたばかりの部屋。何度見てもすごい

壁はどうする?

フローリングを手に入れたことで、なんとか床はできあがりそう(=住めそう)に。よかった、よかった。さて、次は「壁」をどうするか。

壁は、生活していて最もよく目に入る超重要箇所です。一般的な賃貸住宅では白っぽい壁紙(しかも画鋲の穴すら許されない!)が貼ってあるケースが多いですが、せっかく好きにできるチャンスなので、自分にとっての「理想の壁」を考えてみました。

あぁ、憧れの「珪藻土」

自宅の珪藻土の壁

家探しの過程で見つけた、素敵な部屋を紹介するネット記事のなかで、壁に塗る素材として取り上げられていたのが「珪藻土」でした。

珪藻土とは、植物性プランクトンの遺骸が海底や湖底に沈殿して化石になったものです。耳慣れない素材でしたが、ネット記事の写真から伝わってくる自然な風合いに魅了されてしまいました。しかも調湿機能があるとのことで、梅雨のジメジメも冬の乾燥も、どちらも嫌いな私にはもってこいです。最近では、あっという間に水を吸ってしまう珪藻土のバスマットも人気ですよね。

珪藻土はDIYで塗れるのか?

「珪藻土って、どうやって壁に塗るんだろう? 自分でできるのかしら……?」

例によってわからないことだらけなので、再びネットで検索に次ぐ検索。どうやら、通常珪藻土は粉のような状態で売られていて、自分で水と混ぜ、捏ねてから塗るらしい。さらには塗るのには左官の道具が必要らしい。

「うぅ、なんか大変そう……。うーーーん、でもやっぱり、壁は絶対珪藻土がいいなぁ……!」

フローリングに続き、またしても難題にぶつかってしまいましたが、引き続きネットにすがって調べていくと、ワンウィルという会社が、あらかじめ捏ねた状態の「ケイソウくん」なるものを販売しているのを発見。すでに捏ねてあるなら塗るだけでいいから簡単そうだし、左官道具のレンタルサービス(有料)もあるし、ショールームでは無料のDIY体験までできる。しかも、なんとそのショールーム、実家から歩いて行ける距離! ほぼ奇跡!!

神様にお膳立てされているのかと勘違いするくらいの、ものすごい運命を感じつつ、会社の昼休みにひとり大興奮しながら無料体験を申し込みました。

人生初の珪藻土塗り体験!

ショールームにお邪魔すると、年配の男性社員さんがとても優しく出迎えてくれました。普段その体験に申し込んでくるのは、日曜大工をするお父さん達や、マイホームを購入するファミリーが多いそうで、女1人で乗り込んだ私に驚いていらっしゃるご様子。DIYしてOKな部屋を借りるということを説明して、いざ体験開始です。

そちらで習った珪藻土左官の手順は、ざっくりこんな感じでした。(※右利きの場合)

  1. 左手に左官専用の板(25cm四方くらい)を持つ
  2. バケツ等に入った珪藻土をヘラですくい、板の上に適量乗せる
  3. 板に乗った珪藻土を、右手に持った左官コテですくいとって、壁に塗りつける

進行方向側の端を2cmくらい浮かせた状態で、コテを左から右、右から左という順に動かすのがコツ。そうすると、すーっと気持ちよく珪藻土が伸びていきます。まるでスポンジケーキに生クリームを塗っているような、やみつき必至のとても気持ちのよい作業!

体験を終えて、「これは自分で塗れるな(しかも友達と作業したら絶対楽しい)」と確信し、「ケイソウくん」18kgの購入と左官道具一式のレンタルを決めました。

レンタルした左官道具(画像提供: ワンウィル)

ペンキも使ってみよう

こうしてすっかりファンになってしまった「珪藻土」ですが、壁全面に使うのはさすがにつまらないので、壁の一部には珪藻土ではなくペンキを塗り、「アクセントウォール」をつくることにしました。

アクセントウォールとは、壁の一部の面だけを別の色にして、部屋の雰囲気に表情をつける方法です。明るい色を使うと部屋が一気に華やかになりますし、暗めの色を使うとぐっと引き締まった大人な印象になります。

私は部屋の問題児「ブロック塀」を、いっそアクセントウォールにしてしまおうと決め、大好きなミントグリーンのペンキを購入しました。また、塗装のためのローラーや刷毛を用意したことに加え、天井を塗るために脚立もネットでレンタル(できることに驚きでしたが)しました。

当時参考にした本

残るは「人手」の確保のみ!

ゴールデンウィークと有給を組み合わせて1週間ほど会社から休みをもらうことに成功し、まずは自分のスケジュールをロック。また、1人で作業するのは寂しいし絶対飽きるので、毎日誰かしらが手伝いに来てくれる体制を作るべく、当初は一緒に旅行に行こうと計画していた友達3名を「旅行やめて、うち作るの手伝わない?」と半ば強引に誘い込み、都内に住んでいる親友や可愛い後輩にも声を掛けました。みんなで作業するためのユニフォーム用に、オレンジ色のつなぎもネットで注文して準備万端です!

3月上旬に普通の賃貸検索からはじめ、リノベ&デザイナーズ物件探しで挫折しつつ、DIY可能物件を見つけて契約し、手探りで材料や道具を調達して、ゴールデンウィークに引越し。この間、約2か月という目まぐるしさでした。そしていよいよ、素人のDIYがスタートします!

(つづく)

著者プロフィール: 木村かさね(キムラカサネ)

都内企業に勤める会社員です。初めてのひとり暮らしをきっかけに、自宅内装を全面的にDIYしたことが話題となり、これまでTVや雑誌等多くのメディアで紹介頂きました。