進化する「SkyDrive」

MicrosoftのWindows Liveでは、数多くサービスを展開しています。その一コンテンツとなる「Windows Live SkyDrive(以下、SkyDrive)」は、ネットワーク上の保存領域をユーザーに提供するオンラインストレージサービスとして、2007年から提供されたサービスです。当初は「Windows Live Folders」という名称でしたが、しばらくすると現在の名称に改められました。翌年の2008年には一アカウントあたりが使用できる無償容量を5Gバイトから25Gバイトに拡大しています。Windows Liveフォトギャラリーとの連動機能が用意されたのもこの頃。

インターネット上の動向に素早く対応するため、Windows OS本体と切り離された開発チームは、Microsoft OfficeスイートをWeb上で使用可能にするOffice Web Appsとの連動機能や、ActiveXコントロールからSilverlightを用いたUI(ユーザーインタフェース)への変更など、SkyDriveにさまざまな改良を加えてきました。2011年6月には、それまで50Mバイトに制限されていた1ファイルあたりのサイズを100Mバイトに拡大。2012年4月には300Mバイトにまで増やしています。

このように少しずつ少しずつ便利になってきたSkyDriveですが、今年4月24日には大きな変更が加わりました。1ファイルあたりのサイズを2Gバイト(Web経由のアップロードは300Mバイト)に拡大しましたが、無償で提供される容量は7Gバイトに縮小。変更の理由として同社は「99.94%のユーザーは7Gバイト以下の容量しか使っていないため」と述べていますが、時限的措置として4月1日時点で4Gバイト以上を利用しているユーザーは、アップグレード操作を行うことで25Gバイトに拡大することができます。

この無償使用可能なサイズの変更に伴い、有料プランが用意されるようになりました。オンラインストレージの容量を有償で拡大可能になり、20Gバイトの追加は800円/年、50Gバイトは2,000円/年、100Gバイトは4,000円/年となっています。ギガバイトあたり40円の換算となりますが、これを高いと感じるか安いと感じるかはユーザー次第となるでしょう。

もう一つの変更が、Windows Vista/Windows 7およびMac OS X向けの専用クライアントを用意した点。同ソフトウェアにより、ローカルディスクの特定フォルダーとSkyDrive上のファイル間で自動同期が可能になりました。前述のとおりSkyDriveは、オンラインストレージサービスとしては先発組に含まれますが、近年の同サービスと比べると後塵(こうじん)を拝している感が否めなかったのも事実です。しかし、今回のサービス内容の変更や機能拡充により、第一線で活躍できる同サービスに生まれ変わったと言えるでしょう。今回は、新たに公開されたWindows OS向けクライアントソフトを使ったSkyDriveの活用術をご紹介します(図01)。

図01 新生SkyDriveの主な特徴

蛇足ですがSkyDriveの機能拡大で気になるのが、Windows Live Meshの存在でしょう。当社は他社を買収することで始めたサービスは2005年に名称をWindows Live FolderShareに変更し、三年後の2008年にはWindows Live Syncへと改称しています。サービスの内容も当初はWindows Liveフォト ギャラリーの同期対象などに使われていましたが、2010年にWindows Live Meshへ再び改称されました。公式サイトで述べられているとおり、Windows Live Meshは複数のコンピューター間でフォルダーの自動同期や、友人知人とのファイル共有といった機能が特徴的です。しかし既報のとおり、Windows LiveブランドはWindows 8の登場に伴い、発展的解消することになりました。統廃合を繰り返し、執筆時点での同社オンラインストレージサービスはSkyDriveに集約されることになります(図02)。

図02 Windows Live Meshでは、コンピューター間のフォルダー同期が可能です