「心が休まらない」「不安を感じる」など、忙しい現代社会においてメンタル不調を来す人は少なくないはず。本連載では、臨床心理士の松島雅美先生が心の仕組みをはじめ、メンタルを鍛える方法などを紹介していきます。

→連載 第1回目から読む:「メンタルが強い人」「弱い人」の違いとは?
→前回の話を読む:【意外に知らない】"心の疲労"は「脳の機能低下」が原因だった!?

  • メンタル不調を防ぐなら『前頭前野』を鍛えるべし! "タダで"できる心の整え方とは?

前回は、メンタルを作る「脳」の仕組みや、脳の最高司令塔の「前頭前野」の働きについて学びました。連載の第三回目では、メンタルを健康に保つために必要な「前頭前野の鍛え方」を知っていきましょう。

教えてくれるのは、Je respire代表取締役であり臨床心理士である松島雅美先生です。先生は、誰でも日常生活に取り入れることができる心のケア方法「メンタルブレス」を監修。この「メンタルブレス」は、心をケアするだけでなく、心が"スカッとする"ことを大事にしているメソッドなんだとか。

  • Je respire代表取締役であり臨床心理士である松島雅美先生

今回は、そんな心がスカッとするメンタルの鍛え方を勉強したいと思います。

■前頭前野を活性化するお手軽ストレッチ

良好なメンタルを保つにあたっては脳の一部である「前頭前野」を活性化させることが非常に重要だ、と前回私たちは勉強をしました。そこで、具体的な方法として『前頭前野』を元気にするための眼と首のストレッチを教えてもらいます。今すぐ実践できるので、ぜひそこのあなたもやってみてください!

「まずは手を前に出し、顔の高さに拳を持ってきたら親指を立てます。親指の先をじっと見つめたまま、首を左右、上下に振ります。そのとき、眼球の動きを意識してみるのがポイントです」

  • 手を前に出し、顔の高さに拳を持ってきたら親指を立てます。親指の先をじっと見つめたまま、首を左右、上下に振る

続いてのストレッチも簡単。次の4ステップを覚えましょう。

① 両手を肩幅より広く広げ、顔の30センチくらいのところに両親指を立てて、左右交互に見る
② 両親指を立てたまま両手を上下に広げ、上下交互に見る
③ 親指を立てたまま右手を右に、左手を左に広げ、斜め交互に見る。逆も同様に繰り返す
④ 親指が鼻の高さに一直線になるように、右手を体の前に伸ばし、左手を体の近くにくるようにひじ曲げ、前後になった親指を交互に見る

  • ストレッチ方法

これらはアスリートも実践しているストレッチなんだとか。やってみると、眼と同時に脳もスカッとする感覚があるはずです。1日3分でできるので、ぜひ習慣にしてみてください。

■子どもも脳を鍛えた方が良いの?

また先生いわく、大人だけでなく子どもも脳を鍛えた方が良いそうです。

「小さなときからゲームやスマホばかりいじっていると、物事を平面でしか捉えられなくなる問題が起こります。大事なのは立体や空間で遊ぶこと。奥行きがあって、広く眼を動かすことのできる遊びがおすすめですね。外で遊ぶことはもちろん、室内であれば、例えばカルタやボードゲーム、人生ゲームもいいですね」

このように、大人だけじゃなく子どもも、遊びを通して脳を鍛えることができるそうですよ。

「もちろん、デジタルが完全にダメなわけではありません。便利なものは生活に取り入れるべきですから。ですが、そればっかりになってしまうことが問題なので、私たち大人も気をつけるようにしてくださいね」

■鍛えたあとは『休息』も重要

最後に、前頭前野を活性化させたあとは、しっかり休めることもセットにして考えてほしいと、松島先生。

「脳を休める唯一の方法は、睡眠です。睡眠の質が悪いと、連動して脳の調子も悪くなってしまいますし、疲労回復がしづらくなってしまいます。眠れないのをそのままにしておくことが一番よくないので、睡眠の質をあげるためにはどうしたらいいか? ここでまた、連載一回目でもお話しした『自己決定力』を意識してみましょう。どんなことをすれば眠れるようになるか、自分の生活を振り返って考えてみてください」

健康なメンタルのために、質のいい睡眠は必要不可欠。あまり眠れないと思っている方がいれば、まずはこの章でお話ししたストレッチを日常生活に取り入れてみるのはどうでしょうか。

次回は、ここまで展開してきたメンタルと脳のお話をおさらいしながら、自己理解を深めるためにできることについて説明したいと思います。