東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。

株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏((C) サコカメラ)


経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比-299円51銭となりました。

今週の高値は8月28日(金)の1万9192円82銭、一方、安値は26日(水)の1万7714円30銭。高安の値幅は1478円52銭でした。一週間の値幅が1478円となる値動きの激しい相場展開となりました。

具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。

8月24日(月)の東京株式市場は大幅に続落しました。先週末の米国市場はダウ工業株30種平均株価が-530ドルの1万6459ドルと、10カ月ぶりの安値をつけ、5月の最高値に比べ、下落率が10%に達しました。その他の海外市場を含め、世界同時株安の展開となるなか、東京市場も朝方から売りが先行しました。前場は中国市場のスタートを見極めるムードのなか、日経平均株価は1万9000円を挟んでのもみ合いが続いたものの、前場中ごろに上海総合株価指数が一時8%超の大幅安となったことで、東京市場も一気に売りが加速しました。全面安の流れとなり、後場に入ると、日経平均株価は一時、1万8400円台まで下落する場面もありました。8月11日からの下落率は11.5%に達しています。TOPIX業種別株価指数は、銀行、不動産鉄鋼、保険、空運、その他金融、その他製品、陸運など全33業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに5日続落となっています。

25日(火)の東京株式市場は大幅に続落しました。中国景気の減速懸念が続き、前日の米国市場ではダウ工業株30種平均株価が朝方に-1089ドルという過去最大の下げ幅を記録し、その後は-588ドルまで下げ幅を縮小したことからセリングクライマックスも近いとの見方が増え、東京市場でも朝方は底入れ期待が先行しました。前場中ごろに中国市場が始まり、上海総合株価指数が大幅安となったものの、その後、底堅い展開となったことから、日経平均株価にも先物主導で買い戻しが入り、プラス圏へと浮上しました。その後、後場に入ると今一度売りが入り始め、全面安の展開となり、結局、日経平均株価は-733円で大引けを迎えています。一日の値幅は1087円もあり、乱高下する値動きの激しい展開となりました。TOPIX業種別株価指数は、空運の1業種のみが上昇、倉庫、非鉄金属、鉄鋼、陸運、卸売、海運、水産、ゴムなど32業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに6日続落となっています。

26日(水)の東京株式市場は7日ぶりに反発しました。中国人民銀行による追加の金融緩和策を好感し、中国・上海市場が上昇に転じたことから、後場になって日経平均株価にも買い戻しが入りました。「安倍首相とオバマ米大統領がG7で連携して世界株安に対応することを確認した」との報道も好感され、終盤にかけて一段高となり、結局、日経平均株価は+570円で大引けを迎えています。TOPIX業種別株価指数は電力・ガス、保険、その他製品、その他金融、電気機器、証券、サービス、陸運、輸送用機器、倉庫など全33業種が上昇。日経平均株価、TOPIXともに7日ぶりの反発となっています。

27日(木)の東京株式市場は続伸しました。前日の米国市場でダウ工業株30種平均株価が+619ドルと、大幅高の展開となった流れを引き継ぎ、東京市場も朝方から買いが先行しました。日経平均株価は、前場の序盤に+433円まで上昇する場面もありました。ただ、その後は、上海総合株価指数の戻り鈍さと、為替もやや円高に振れたことから、日経平均株価は徐々に上値の重い展開となりました。終盤にかけて上げ幅を縮小し、結局、+197円で大引けを迎えています。TOPIX業種別株価指数は33業種のうち、食料品、保険、建設、精密、情報・通信、銀行、その他金融など29業種が上昇。一方、鉄鋼、海運、紙・パルプ、その他製品の4業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに続伸となっています。

28日(金)の東京株式市場は3日続伸しました。前日の米国市場が上昇した流れを引き継ぎ、東京市場も朝方から買いが先行しました。ほぼ全面高の展開となり、前場中ごろに中国市場が始まり、上海総合株価指数が続伸して始まると、日経平均株価は4日ぶりに1万9100円台に乗せました。後場に入ると、日経平均株価は一段高となり、一時、1万9192円(+618円)となる場面もありました。終盤になっても堅調に推移し、結局、日経平均株価は+561円で大引けを迎えています。TOPIX業種別指数は非鉄、鉄鋼、鉱業、卸売、石油・石炭、輸送、銀行など32業種が上昇。一方、空運の1業種のみが下落。日経平均株価、TOPIXともに3日続伸となっています。

来週の予定です。8月31日(月)には、7月分の鉱工業生産指数の速報値、7月分の自動車生産・輸出実績が発表となります。9月1日(火)には、中国で8月分の財新中国製造業PMI確報値が、米国では8月分のISM製造業景況感指数が発表されます。2日(水)には、ファーストリテイリングが8月分のユニクロ売上高を発表します。3日(木)は、欧州でECB(欧州中央銀行)理事会の結果発表、米国で7月分の貿易収支、8月分の非製造業景況感指数が発表されます。4日(金)には、米国で8月分の雇用統計が発表となります。トルコのアンカラではG20(20カ国・地域)財務相・中央銀行総裁会議が開催されます。いずれもぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。