街なかで時々見かける「信託銀行」。普通の銀行とどこが違うんでしょう。そもそも「信託」ってなんなのでしょうか。

信託銀行は普通の銀行の業務のほかに、「信託業務」を行うことができる

信託銀行は、預金や貸出、為替など普通の銀行の業務のほかに、信託業務を行うことができる点が、普通の銀行と違います。

「信託」というのは、ある人(委託者)が、自分の財産を信頼できる人(受託者)に託して、特定の人(受益者)のためにその財産を管理・処分してもらう仕組み。信託銀行は受託者に当たります。

信託銀行が行っている信託業務には、次のようなものがあります。

  • 遺言信託:委託者の遺言を預かり、委託者が亡くなったとき、遺言に基づいて遺産の処分や名義変更などを行い、相続人に分配する

  • 公益信託:信託された財産を管理・運用し、財産や収益を社会貢献のため、例えば奨学金や自然環境保護活動などに提供する

  • 特定贈与信託:重度の心身障害者の親族などから金銭の信託を受け、障害者が生活費や医療費に充てられるよう定期的にお金を支払う

  • 不動産の信託:信託された土地や建物を管理・運営し、収益を委託者(=受益者)に支払う。

このように個人が利用できるものだけでなく、

  • 企業や従業員が払った厚生年金基金の掛金を管理し、年金を支払う

  • 投資信託の各ファンドが保有する資産を管理・保管する

  • 企業の資産を運用する

など、信託はいろいろな形で幅広く使われています。

不動産仲介業務や、上場会社に代わって株主の管理などを行う証券代行業務も

さらに信託銀行は、不動産仲介業務や、上場会社に代わって株主の管理などを行う証券代行業務も行っています。株を保有していると、配当支払いの通知などが信託銀行から送られてくるのはこのためです。

今年の4月に、中央三井信託銀行と住友信託銀行が合併して三井住友信託銀行になったことで、銀行業務と信託業務の両方を行う銀行は、みずほ信託銀行、三菱UFJ信託銀行と合わせて3つになりました。「信託」という名前がついていないけれど、信託業務を行っているのが、りそな銀行。これは、合併した旧大和銀行が信託業務を行っていたことによるものです。このほかに、普通の銀行の中にも、遺言信託などを扱っているところがあります。

実は、上に挙げた3つ以外にも、「○○信託銀行」という名前の銀行もいくつかあるのですが、いずれも企業や投資信託の資産管理業務などがメインで、普通の銀行業務を行っていないため、なじみが薄いでしょう。また、銀行ではなく信託業務を専門に行っている会社もあります。

執筆者プロフィール : 馬養 雅子(まがい まさこ)

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。金融商品や資産運用などに関する記事を新聞・雑誌等に多数執筆しているほか、マネーに関する講演や個人向けコンサルティングを行っている。「図解 初めての人の株入門」(西東社)、「キチンとわかる外国為替と外貨取引」(TAC出版)など著書多数。新著『明日が心配になったら読むお金の話』(中経出版)も発売された。

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