JR西日本と「大阪来てなキャンペーン実行委員会」は12日、「大阪来てな! キャンペーン」の一環で、「湘南色115系車両 リバイバル急行『鷲羽』特別運行ミニツアー」を実施。神戸駅から大阪駅まで運転され、大阪駅到着に合わせて報道公開が行われた。

  • 「湘南色」の115系で往年の急行「鷲羽」をリバイバル。神戸駅から大阪駅まで特別運行ミニツアーが行われた

大阪府、大阪市、大阪観光局で構成される「大阪来てなキャンペーン実行委員会」は、国内外から大阪へ訪れる人向けに、府内での滞在・周遊を楽しんでもらうため、「大阪来てな! キャンペーン」を実施中。キャンペーンの一環で行われた「湘南色115系車両 リバイバル急行『鷲羽』特別運行ミニツアー」は、「湘南色」(オレンジ色と緑色のカラーリング)をまとった岡山電車区所属の115系300番代(3両編成のD26編成)を使用し、国鉄時代に活躍した急行「鷲羽」に見立て、ヘッドマークも掲出して運行された。

急行「鷲羽」の前身となった列車は1956(昭和31)年に設定され、京都~宇野間を結び、宇野駅で宇高連絡船(宇野~高松間)に接続した。1960(昭和35)年に「鷲羽」と命名され、1966(昭和41)年に格上げされて急行列車となった。その後も関西圏と四国を結ぶ優等列車として活躍したが、1972(昭和47)年に山陽新幹線が岡山駅まで延伸を果たすと、関西圏から四国への輸送は山陽新幹線および新幹線と接続する快速列車が主役に。急行「鷲羽」は1980(昭和55)年に廃止された。急行時代は急行形電車153系・165系を使用しての運行だった。

「湘南色115系車両 リバイバル急行『鷲羽』特別運行ミニツアー」の列車は全車指定席で運行され、募集人数は100名。応募者は約3,500人で、倍率は約35倍となった。神戸駅の発車時刻は10時24分とされ、11時26分頃、大阪駅10番線のりばに到着した。

  • 「鷲羽」のヘッドマークを掲げた「湘南色」の115系。大阪駅10番のりばで約25分停車した

  • 車体側面に「神戸⇔大阪 新快速」のサボを掲出

  • 新快速が運行開始した当時のヘッドマークをイメージ

  • 国鉄時代の雰囲気を色濃く残す車内

  • 4人掛けのボックスシート

  • 貴重になりつつある和式トイレ

  • 使用時に点灯する「便所使用知らせ燈」

ツアーで使用された115系の前面には、往年の姿を再現すべく「鷲羽」と記されたヘッドマークが掲出され、大阪駅構内で存在感を示していた。車体側面のドア付近に「神戸⇔大阪新快速」と記したサボも掲出。1970(昭和45)年に運行開始した新快速の初代車両は113系であり、今回掲出されたサボの「新快速」と記した箇所も、113系に掲出したヘッドマークを意識したデザインとなっていた。

車内はドア開閉ボタンなど改造した箇所はあるものの、基本的には国鉄時代の雰囲気を色濃く残していた。115系はおもに岡山地区で活躍を続けているが、車内の座席を転換クロスシートに変更した車両もあるため、4人掛けのボックスシートは貴重な存在といえる。JR西日本管内の東海道・山陽本線で活躍した名車を紹介する中吊り広告も掲げられていた。

  • JR西日本管内の東海道・山陽本線で活躍した名車を中吊り広告に

JR西日本によると、岡山電車区所属の115系「湘南色」を使ったツアーは2023年8月にクラブツーリズムが主催した「大好評の115系で行く 山陽本線・東海道本線 姫路⇔京都日帰り旅」以来とのこと。岡山地区で新型車両「Urara」(227系500番代)の投入が進み、115系も置き換えられる予定だが、115系「湘南色」の活躍が少しでも長く続くことを期待したい。