JR東日本は7日、上越新幹線の終電時刻を繰り上げると発表した。夜間工事の作業時間を拡大するため、2024年春から終電時刻を20分程度繰り上げる予定。タイヤ見直しの具体的な内容は決まり次第、改めて発表する。

  • 上越新幹線は2024年春から終電時刻を20分程度繰り上げる予定

現在、上越新幹線の東京~高崎間は下り「たにがわ477号」(東京駅23時0分発・高崎駅23時56分着)、高崎~越後湯沢間は下り「たにがわ417号」(東京駅22時28分発・高崎駅23時24分発・越後湯沢駅23時52分着)、越後湯沢~新潟間は下り「とき351号」(東京駅21時40分発・越後湯沢駅23時8分発・新潟駅23時52分着)が最終列車となっている。

東京駅を発車する下り最終列車に関して、北陸新幹線は同駅22時8分発(「あさま633号」)、東北新幹線は同駅22時44分発(「なすの281号」)だが、上越新幹線の下り最終列車はこれらの列車より遅い時刻に発車している。こうした状況もあり、終電から初電までの作業時間が短いことから、2024年春以降、上越新幹線の終電時刻を20分程度繰り上げ、作業時間の拡大を図るとのこと。上越新幹線と接続する在来線に関して、一部において利便性を確保できるよう検討する。

JR東日本は新幹線の安全・安定運行に向け、設備のメンテナンスを継続的に実施しており、その規模はのべ40万人、工事は年間5万件に及ぶ。東北・上越新幹線は開業から40年以上経過し、設備のリニューアルが必要な状況とされ、今後10年間でレール交換(約400km)・架線交換(約800km)等の工事が大きく増加する見込み。土木構造物(橋りょう・トンネル等)の大規模改修も計画している。

加えて、福島県沖地震が2度発生(2021年・2022年)し、いずれも復旧に時間を要したため、新幹線を地震から守るための対策工事を拡大。「線路の地震対策(レール転倒防止)」「トンネルの地震対策(剥落隆起防止)」「電柱の地震対策(折損防止)」といった工事を進める。

その一方で、生産年齢人口の減少にともない、工事の担い手を確保することへの厳しさが増している。JR東日本管内においても、10年前と比べて軌道工事従業員が約20%減少。今後も工事従業員の減少が続くと見込んでいる。2024年から「働き方改革関連法」が建設業にも適用され、JR東日本としても労働環境の改善を含めた鉄道工事の働き方改革を推進する考えだという。着実な工事推進に向けた対応として、大型機械のさらなる導入も進める。

JR東日本は2021年3月に在来線の終電時刻繰上げを実施しており、これにより施工効率の向上と労力軽減につながったと説明。上越新幹線の終電時刻を繰り上げ、作業時間の拡大を図ることで、鉄道工事における働き方改革を実現しつつ、増加するリニューアル工事や地震対策工事を着実に実施するとしている。なお、東北新幹線や北陸新幹線における作業時間拡大についても、今後の状況を見極め、引き続き検討するとのこと。