4月に入り、進級・新入学のシーズンを迎える。コロナ禍の困難な時期ではあるものの、小学校の入学に子どもと一緒に心躍らせている保護者もきっと多いことだろう。

一方で、「小1の壁」や「小4の壁」という言葉を耳にしたことはあるだろうか。小学校生活の中で、保護者や子ども自身が遭遇するさまざまな苦労や困難を指す言葉だ。

「小1の壁」は、子どもを保育園から小学校に上げる際に仕事と家事・育児との両立が難しくなること。「小4の壁」は、子どもの自我が発達し、劣等感を抱きやすくなることなどが主なテーマとなっている。

有名なのはこの2学年の「壁」だが、実は小学校生活にはこれ以外にもいろいろな「壁」があるかもしれない。そこで今回は、子どものいるマイナビニュース男女会員300人を対象にアンケート調査を実施。「小学校生活の中で、保護者として感じた『壁』や『困難』」などを聞いた。

  • 子どもの小学校生活の中で、保護者として最も大きな「壁」や「困難」を感じたのは何年生?

Q.今年度(令和4年度)中学1年生以上の年齢のお子さんはいらっしゃいますか?

「はい」(59.0%)
「いいえ」(41.0%)

Q.「小1の壁」「小4の壁」などが有名ですが、お子さんの小学校生活の中で、保護者として最も大きな「壁」や「困難」を感じたのは何年生の時ですか?

「1年生」(11.9%)
「2年生」(5.6%)
「3年生」(9.0%)
「4年生」(15.8%)
「5年生」(10.7%)
「6年生」(13.0%)
「特にない」(33.9%)

Q.前問で答えた「壁」や「困難」について、具体的に教えてください(自由回答)

■「1年生」

・「幼稚園と違い自分で登校するのに中々慣れず、毎日学校までついて行っていた」(46歳男性/その他メーカー/技能工・運輸・設備関連)
・「学校に通うこと自体が苦痛のようで、慣れるまで時間がかかった」(38歳男性/ガラス・化学・石油/事務・企画・経営関連)
・「共働きだったので、家の鍵を持たせることや家に子どもだけでいることに慣れるまでが大変だった」(45歳男性/設計/メカトロ関連技術職)
・「いま小1で学校に行きだしてからか、言葉使いや態度、ずる賢さ…..全てにおいてパワーアップしてる気がする。言うことも全くきかない」(40歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「上の子が小学校に入学した際、下の子はまだ保育園。それまで一緒に登園していたのに、弟は母と出かけるのに『なんで私だけ(別なの)?』。毎朝のように泣きわめいていました」(57歳女性/建設・土木/事務・企画・経営関連)
・「本格的な勉強への取り組む姿勢のクセづけ」(40歳男性/輸送用機器/技能工・運輸・設備関連)
・「友だちとなかなか和めずに、孤立して大変な思いをしたことがありました。今となっては良い思い出です」(58歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/IT関連技術職)

■「2年生」

・「子ども同士のけんかが多い」(32歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「学童にあずけていたが、子どもが嫌がって行かなくなるが、長期休暇は無理やり行かせたこと」(36歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「掛け算(九九)を覚えるのが大変だった」(50歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/技能工・運輸・設備関連)

■「3年生」

・「友人関係で気が合う合わないがはっきりしてきた」(39歳男性/不動産/営業関連)
・「小学校の生活にも慣れてきたところで、人間関係にいろいろと問題が生じました。当然友だちとの関係ですが、心配はしましたが学年が進むにつれて解消していきました」(48歳女性/食品/営業関連)
・「3年生の頃に良し悪しの判別の基準がずれた事があり、友だちと親に内緒で焚き火遊びをしたり、普通なら危ないと解っていることもやってしまった事があった」(45歳女性/その他/その他・専業主婦等)

■「4年生」

・「学習に差が出始め、注視が必要な時期だと感じました」(41歳女性/サービス/専門職関連)
・「算数の図形や応用問題についていけず苦労していた」(41歳男性/輸送用機器/その他・専業主婦等)
・「勉強でつまずきやすくなる時期でもあり、学校生活でも不安定になりやすい時期なので気をつかい、子どもと向き合う時間を増やしました」(39歳男性/サービス/専門職関連)
・「教科の内容が細分化され始め、学習面において内容理解するのが困難になりつつ、親として子どもの傾向の対処が手探りだった」(48歳男性/鉱業・金属製品・鉄鋼/技能工・運輸・設備関連)
・「今まで仲良くしていたお友だちと合わなくなったり、苦手な算数につまづきがちで学校が嫌いになった時期があったこと」(42歳女性/サービス/事務・企画・経営関連)
・「大人の考えとなってきて、まじめに向き合うむずかしさがあった」(55歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/営業関連)

■「5年生」

・「反抗期が始まった」(35歳男性/農林・水産/公共サービス関連)
・「高学年になり、まわりが大人になっていき精神年齢が上がったが、子どもが精神年齢が低く悩んだ」(49歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「教科によって学習の理解度に偏りが出始めて、テストの結果が国語や算数などの重要科目がとても悪くなってしまいました。担任の先生からも頻繁に学習の遅れを指摘されて、本人もとても悩んでいました。学習の遅れが中学進学で、より他の生徒と隔たりができることがとても困難な状況になっていく事に、大きな壁を感じていました」(54歳男性/その他/技能工・運輸・設備関連)
・「友だち関係。グループLINE」(35歳女性/農業協同組合/営業関連)
・「女の子ならではのことがあった」(49歳男性/コンピューター機器/メカトロ関連技術職)

■「6年生」

・「反抗期。何を言っても怒ってくること」(48歳男性/建設・土木/事務・企画・経営関連)
・「自立してきて、反抗期のスイッチが入りました」(50歳男性/コンピューター機器/営業関連)
・「ちょうど思春期が始まり出して、親への抵抗が多くなりはじめた頃です」(49歳男性/総合商社/事務・企画・経営関連)
・「勉強とプライベートの両立について」(41歳男性/不動産/営業関連)
・「中学に上がるということで学力もそうですが、生活環境の変化もあり大変でした」(39歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「中学受験するのが当たり前の学校(小中持ち上がりだが、試験のある学校)だったので、勉強の定着に戸惑った」(47歳男性/専門コンサルタント/事務・企画・経営関連)

■総評

子どもの小学校生活の中で、保護者として最も大きな「壁」や「困難」を感じたのは何年生の時か、という問いに対して、最多は「4年生」で15.8%だった。以下、「6年生」(13.0%)、「1年生」(11.9%)、「5年生」(10.7%)、「3年生」(9.0%)、「2年生」(5.6%)の順番となる。ただし、「特にない」が3分の1以上の33.9%を占めており、割合としてはもっとも大きかった。

具体的な「壁」や「困難」について聞いたところ、大まかな傾向としては、「1年生」ではまず、「学校に行くことそのもの」が大きな壁であり、困難だったという意見が多かった。「2年生」以上から中学年にかけては友人関係・交友関係でさまざまな悩みを抱えていた、という声が目立つ。

中学年ではそれに加えて、難しくなった勉強に付いていくのがたいへん、という意見も多い。特に「4年生」では学習内容が高度化することもあり、保護者としては勉強の部分で気を揉む場面があるようだ。

「5年生」「6年生」では、学習面でのハードルがさらに上がる。これは特に、中学受験を意識している家庭にとっては大きな「壁」「困難」として意識されている。また、この時期は同時に「反抗期」や「思春期」を経験する子どもたちも増え、保護者は心身全般にわたるケアを求められる。寄せられたコメントにも、なにかとデリケートな子どもの扱いに苦労している様子がうかがえるものが多い。

「小1の壁」「小4の壁」などが有名となった「小学生の壁」問題だが、今回の調査では各学年に何らかの「壁」が存在していることがわかった。それぞれの「壁」に対して保護者の感じる「困難」は大きく、また対処の仕方はさまざまだ。だがその反面、この「壁」は子どもたちの成長の証であり、乗り越えた時により大きな喜びも待ち受けている。今回は、そんな感慨を抱かせる調査結果となった。

調査時期: 2022年3月23日
調査対象: 子どものいるマイナビニュース男女会員
調査数: 300人
調査方法: インターネットログイン式アンケート

※写真と本文は関係ありません