仕事をリタイアした後に年金以外で備える、安心できる老後資金は「2,000万円」とも「3,000万円」とも言われる。とりあえずの目標額として「1,000万円」を貯めるために頑張っているという人も多いかもしれない。

そこで今回は、1,000万円以上の貯蓄額があるマイナビニュース男女会員227人を対象にアンケート調査を実施。「貯蓄1,000万円を達成するまでにかかった年数」など聞いた。

  • これからの人生、1,000万円で十分生きていけると思う?

Q.貯蓄額が1,000万円に達したのは何歳の時ですか?

「20歳未満」(2.6%)
「20歳〜30歳未満」(23.3%)
「30歳〜40歳未満」(42.7%)
「40歳〜50歳未満」(26.4%)
「50歳以上」(4.8%)

Q.貯蓄1,000万円を達成するまでに何年かかりましたか?

「5年以下」(26.4%)
「6年〜10年」(39.2%)
「11年〜15年」(17.2%)
「16年〜20年」(11.0%)
「21年〜25年」(2.6%)
「26年〜30年」(3.1%)
「31年以上」(0.4%)

Q.これからの人生、貯蓄1,000万円あれば十分生きていけると思いますか?

「はい」(4.4%)
「いいえ」(95.6%)

Q.なぜそう思うのか、理由を教えてください(自由回答)

■「貯蓄1,000万円あれば十分生きていける」

・「今後の日常生活に問題ないと思った」(30歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/メカトロ関連技術職)
・「最低限の生活ができればいいので」(41歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「もう今までの物質第一主義は終焉します。貯金が0でも楽しんで生きていくことができます。人類はお金の奴隷になりすぎた。もうこれを止めなければなりません」(51歳男性/その他/その他・専業主婦等)

■「貯蓄1,000万円あっても十分ではない」

・「算出したことはないが、2,000万円必要とどなたかがいっていたので、なんとなく1,000万円では不安があります」(37歳女性/ソフトウェア・情報処理/営業関連)
・「ちゃんと計画しないとこの先の物価、税金などの出費が今の水準から増加する可能性からして、十分ではない」(48歳男性/流通・チェーンストア/販売・サービス関連)
・「質素に生きている方だとは思いますが、老後、病気、介護のことを考えるととても足りない」(49歳男性/サービス/事務・企画・経営関連)
・「切りつめても、夫婦で250万円/年くらいはかかる。万一病気など不慮の出費が必要になったら、年金と合わせても足りないと思う」(59歳男性/医療・福祉・介護サービス/事務・企画・経営関連)
・「人生100年時代、1,000万円と年金だけでは病気もできない→足りない」(37歳女性/その他/専門職関連)
・「生活費と医療費、住宅費など、人生100年時代を考えると、生きるための最低限必要な金額は3,000万円以上だと思う」(53歳女性/その他電気・電子関連/事務・企画・経営関連)
・「年間生活費300万円としても、あと50年生きれば1億5,000万円必要で、全く足りません」(34歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「最低でも4,000万円、できれば9,000万円以上欲しいと思っている。利回り4%程度を想定しているが、それくらいないと老後が厳しいのではないかと感じているから。『2,000万円問題』の2,000万という目標設定は甘すぎると思う。1,000万は論外」(34歳男性/教育/専門サービス関連)
・「公私あわせた年金その他の収入と現状の年間支出とを相殺した場合、手元に残る金額では病気やその他想定外の支出を賄えないと思われるため」(59歳男性/教育/事務・企画・経営関連)
・「年金問題を考えると5,000万くらいかな」(48歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門職関連)
・「もらえる年金も少ないし、これからどんどん減らされると思う。もし大病したら、すぐお金が底を付いてしまう心配がある」(59歳男性/建設・土木/建築・土木関連技術職)
・「私たちの年代は年金をもらうというのは難しいと思うので、現役引退からの生活も考えると足りないと思う」(45歳女性/銀行/事務・企画・経営関連)
・「年金も将来どれだけもらえるかわからないし、年齢とともに病気にかかるリスクも高くなる」(56歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「年金も問題あるし社会保障も問題だらけ。今回のコロナを見ていても、政府もあてにならない」(59歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「国もコロナでたくさん支出してて、年金が将来どうなるか心配。貯蓄をもっと増やす必要がありそう」(59歳女性/その他/事務・企画・経営関連)
・「国の借金も多いので社会保険・税金・物価などが上がり、いくらあっても足りるかどうか」(55歳男性/不動産/その他・専業主婦等)
・「老後や子どもの教育費などを考えると全然足りない」(41歳女性/サービス/事務・企画・経営関連)
・「子どもが3人いるので、3人とも所帯をもち子どもが出来ると孫になるので、援助にぜんぜん足りません」(59歳男性/ガラス・化学・石油/営業関連)
・「子どももいないので、老後を考えるとホームなどへの入居にお金が必要」(58歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「年齢を重ねるごとに持病を多く抱えるのが普通で、医療費が生活費を上回る可能性も予想されるうえに、認知症を患えば介護費用が月々十数万円以上は発生するので」(58歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「自分に必要な年収があっての貯蓄額と考えます。そう考えて、生活のためでなく補助の役割額に過ぎないと考えます」(58歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「政府(財務省)が第2次ベビーブーマーを狙い撃ちして、年金支給年齢の繰り延べや給付水準の改悪、さらには増税などを通じて、死ぬまで働かせる政策をとることは間違いないから」(49歳男性/公益・特殊・独立行政法人/事務・企画・経営関連)
・「インフレもあり、現在の貨幣価値にあまり意味はないから」(44歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「やりたいこと、その他もろもろ、全く足りないと思います。無いなら無いなりに、やりようはいろいろあるとも思います」(55歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「自分は年金を決められた期間納めていなかったから」(59歳男性/サービス/その他・専業主婦等)

■総評

調査の結果、1,000万円以上の貯蓄があるマイナビニュース会員が貯金額1,000万円に達したのは、「30歳〜40歳未満」が42.7%で最多となった。「40歳〜50歳未満」は26.4%、「20歳〜30歳未満」は23.3%となり、「50歳以上」(4.8%)や「20歳未満」(2.6%)は少数派だった。

具体的な年齢で見てみると、上位から順に1位「30歳」(20.7%)、2位「40歳」(15.4%)、3位「35歳」(14.1%)、4位「25歳」「28歳」(各3.1%)となった。貯蓄の目標として、5歳ごとの区切りの年齢が意識されているのかもしれない。

次に、貯蓄1,000万円を達成するまでに何年かかったかを聞いた。最も多かったのは「6年〜10年」で、4割近い39.2%が回答。「5年以下」(26.4%)がそれに続いた。以下、「11年〜15年」(17.2%)、「16年〜20年」(11.0%)、「26年〜30年」(3.1%)、「21年〜25年」(2.6%)の順番となり、「31年以上」(0.4%)はほとんど見られなかった。

なお、この項目でも、貯蓄1,000万円にかかった年数として「10年」(22.5%)、「5年」(15.4%)、「15年」(11.0%)、 「20年」(9.7%)など区切りの良い数字が上位を占める結果となっている。

これからの人生、貯蓄1,000万円あれば十分生きていけると思うかを聞いたところ、「はい」は4.4%、「いいえ」は95.6%と、圧倒的多数が「貯蓄1,000万円では不十分」と回答した。

なぜそう思うのか、その理由を尋ねた。まず、「貯蓄1,000万円あれば十分生きていける」とする理由としては、「最低限の生活ができればいい」「年金で充分な生活」「今までの物質第一主義は終焉する」など、質素な生活をすればやりくりができる、とするものが多かった。

一方の、「貯蓄1,000万円あっても十分ではない」理由では、「年金・社会保障への不安」「将来の物価リスク」「長寿リスク」「疾病リスク」「国の将来への不安」「子どもの養育費」などが主なキーワードとして挙がっている。

多くの人が定年まで働き、年金受給を受けた上で、老後資金として「貯蓄1,000万円」で生きていけるか、という設定で考えているようだ。その上で、年金や社会保障が十分には受けられなかったり、インフレで貨幣価値が下がるなどした場合、とても「貯蓄1,000万円」では足りないと感じている。

また、世界的に見ても長寿の国であるだけに、自分が何歳まで生きるか、あるいは老後に大きな病気を患ったことを考えると、必要な貯蓄額は1,000万円どころではない、という声も多い。

具体的な数字として、「3,000万円」「4,000万円」「5,000万円」「9,000万円」 「1億5,000万円」などを挙げる人もおり、いずれも「1,000万円」とはかけ離れた金額だ。老後資金としての貯蓄は、最低でも「3,000万円」以上は必要、というのが多くの人のコンセンサスであるようだ。

長引く景気低迷に加えて、折りからのコロナ禍もあって、老後への不安を抱えている人は多い。「貯蓄1,000万円」はあくまでも通過点であり、老後資金としてはまだまだ不十分というのが、多くの人が持つ実感のようだ。

調査時期: 2021年5月14日
調査対象: 1,000万円以上の貯蓄があるマイナビニュース男女会員
調査数: 227人
調査方法: インターネットログイン式アンケート

※写真と本文は関係ありません