JR西日本の10月定例社長会見にて、新快速に導入する有料座席サービスの概要などが説明されている。新サービスの名称は新快速「Aシート」。2019年春頃、1日あたり上下4本の運転を基本的な計画として、現在は詳細な検討を進めているところだという。

  • 新快速にリクライニングシートの快適な座席スペースを設置

同社はこれまで、利用しやすい鉄道サービスの提供をめざし、新快速の段階的な12両編成化による着席機会の向上、通勤時間帯への特急列車の設定など、より快適に利用できるようにするための取組みを進めてきた。

新たに導入する有料座席サービスは、速達性・ネットワーク性・利便性といった特徴を有し、同社の近畿エリアにおける鉄道ネットワークの基軸をなす新快速に「快適性」という新たな価値を加えることで、通勤通学利用者から観光等での利用者、シニアや訪日外国人といった幅広い層の多様なニーズに応え、利用しやすい輸送サービスを通じて線区の価値を高め、「住みたい、行きたい」沿線づくりを進めることをねらいとしている。

この有料座席サービスを新快速「Aシート」と名づけ、ロゴマークも設定。快適性を表す「Amenity」の頭文字であり、新快速が走るJR京都線・JR神戸線(東海道・山陽本線)の路線記号アルファベット「A」、さらに関西弁の「ええ(良い)」も連想させるアルファベット「A」をモチーフに、快適なリクライニングシートの形状をイメージできるデザインとした。

  • 新快速「Aシート」は既存車両を改造し、12両編成の9号車に組み込む

  • 新快速「Aシート」のロゴマークも設定

車両は既存の223系1000番台2編成(2両)を改造し、12両編成の9号車に組み込んでの運転を考えているという。エクステリアイメージでは、車体側面の扉付近に新快速「Aシート」のロゴマークが掲出され、窓回りの色や窓下の帯色が従来の車両から変更されている。

車内の特徴として「テーブル付きリクライニングシートの設置」「内装や照明の改良」「有料座席と出入口付近を仕切る」などが挙げられ、落ち着きのある空間を提供する。着席定員は46名とされている。同社の在来線普通車では初という「各座席へのコンセント」(AC100V)も設置。多様なニーズに対応した「無料Wi-Fi」「荷物スペース」などの設備も充実させる。

発売方法は現金または交通系ICカードによる支払いが可能な「乗務員による車内発売」とし、着席料金は1回の利用につき500円(乗車券・定期券・回数券など別途必要)。利用者が自由に座席を選べる着席サービスとする。

  • 出入口付近と客室を仕切り、荷物スペースも設ける

新快速「Aシート」のサービス開始時期は2019年春、運転線区は琵琶湖線・JR京都線・JR神戸線(東海道・山陽本線)、運転本数は1日あたり上下4本を予定している。詳細は決まり次第、改めて発表するとのこと。10月定例社長会見では、「近年、お客様からいただくご要望や他社の取り組みを含めて、座って快適に移動したいというニーズの高まりのほか、車両に求められる機能が多様化してきていると感じています」「このたび導入するサービスのご利用状況や、お客様からいただくご意見を踏まえて、多様化するニーズにお応えできるサービスの充実に努めてまいりたいと思います」とのコメントもあった。