東京都交通局は11日、都営地下鉄浅草線の新型車両5500形の試乗会・撮影会を実施した。新型車両5500形は6月30日から営業運転を開始する予定。その後も新型車両を順次導入し、都営浅草線の全27編成を置き換える。

  • 都営浅草線の新型車両5500形が報道関係者らに公開された

5500形第1編成(「5501-1」~「5501-8」の8両編成)を使用しての試乗会は浅草橋駅からスタート。2番線ホームから発車し、引上げ線に入って進行方向を変え、都営浅草線を西馬込方面へ走行した。その後、馬込車両検修場で撮影会が行われ、既存車両5300形と新型車両5500形を並べて展示。「普通 西馬込」をはじめ、「アクセス特急 成田空港」「エアポート快特 羽田空港」「エアポート快特 押上」「特急 神奈川新町」「アクセス特急 上野」「普通 千葉ニュータウン中央」などの種別・行先が表示される場面もあった。

新型車両5500形の製造は総合車両製作所が担当。「sustina S13シリーズ」をベースとした車体長18m・片側3ドアのステンレス車両となった。運転最高速度120km/h(設計最高速度130km/h)、加速度3.3km/h/s、常用減速度4.0km/h/s、非常・保安減速度4.5km/h/sとされ、将来的に成田スカイアクセス線の走行も想定しているという。8両編成のうち1~3号車と6~8号車を電動車、4・5号車を付随車とし、既存の5300形(4M4T)と比べて電動車を2両増やした6M2Tの構成とした点も特徴に挙げられる。

  • 新型車両5500形の試乗会は浅草橋駅からスタート。車内はオールロングシートで、全車両にフリースペースを設置した

  • シートの背面部分は寄せ小紋、座面は亀甲模様を採用。座席端部の袖仕切りや連結部のガラス引戸、カーテンなどに沿線由来のイラストも取り入れている

  • 試乗会の後、馬込車両検修場で撮影会。「普通 / 西馬込」の他に「アクセス特急 / 成田空港」「エアポート快特 / 羽田空港」などの種別・行先が表示された

「日本らしさとスピード感が伝わる車両」をコンセプトに、外観は都営浅草線沿線とゆかりのある歌舞伎の隈取りを現代風にアレンジし、凛々しく躍動感のあるデザインとした。車内はオールロングシートで、座席幅は475mm(既存車両460mm)に拡大。シートの背面に寄せ小紋、座面に亀甲模様の柄を採用している。袖仕切りは大型化され、ガラス部分に江戸切子調の柄を採用した。カーテンや連結部のガラス引戸にも沿線由来のイラストを施し、落ち着いた和の雰囲気の中にも遊び心のある車内空間とした。

ユニバーサルデザインの考え方を取り入れた「人にやさしい車両」をめざし、車いす・ベビーカー利用者や大きな荷物を持った利用者向けにフリースペースを全車両に設置。ラッシュ時でもスムーズに乗降できるように、乗降口脇のスペースも拡大した。吊り手や手すりを増設し、荷棚を既存の5300形より約130mm低くして荷物の上げ下ろしを行いやすくした。ドア上に多言語対応2画面液晶モニターを設置し、訪日外国人向けに案内情報の充実も図る。

快適な車内空間の提供のため、冷房能力を強化し、空気清浄機能も採用。防犯カメラは1両あたり4カ所、天井部分に設置した。車外・車内ともに全照明をLED照明とし、次世代半導体素子SiCを採用したVVVF制御装置などで環境負荷低減も図った。新型車両5500形は6月30日から営業運転開始し、当面は都営浅草線内での運用となる見込みだという。

  • 都営浅草線の新型車両5500形の外観・車内