「人生100年時代をリードする日本生命グループに成る」をスローガンに掲げ、2017年度に中期経営計画「全・進-next stage-」をスタートさせた日本生命保険相互会社。その一環として、2019年にはカスタマーエクスペリエンスを向上させ、デジタル技術を駆使してお客様を広げるための「Next Value プロジェクト」を始動。2023年までに実現すべき目標と定めた「国内グループ生保の被保険者数100万名増加」「新契約・保全・支払手続きの8割をモバイル(ネット)で完結させる」の達成を目指し、その一環として全営業職員にスマートフォンを配付するプロジェクトを進めてきました。

ソリューション

全国約5万人の営業職員にスマートフォンの配付を決定。セキュリティと利便性の両立、およびIT部門とユーザーに負荷をかけない管理体制の構築を目的に、VMware Workspace ONEを採用。約9カ月という短期間で、営業職員向けに5万台、拠点長向けに2,000台、教育者用端末として1,000台のAndroidスマートフォンを配付し、運用を開始している。

導入前の課題

  • 顧客のニーズに応えるコミュニケーションチャネルの強化
  • 営業支援ツールとしてのスマートフォン導入におけるセキュリティと利便性の両立
  • ITスキルを問わず、誰もがストレスなくスマートフォンを活用できる環境の構築

導入効果

  • VMware Workspace ONEに搭載された代理加入機能により、膨大な数のスマートフォンを迅速に配付
  • シングルサインオン(SSO)の実装によりOSやアプリのログインを一元化し、ユーザーの利便性を向上
  • スマートフォンにWeb会議やチャットボットなどのアプリを配信し、顧客体験の向上を実現

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顧客のニーズに応えるコミュニケーションチャネルの拡充と営業活動の高度化に向けたデジタル活用

2024年に創業135年を迎える日本生命保険相互会社では、デジタル活用に関わるさまざまな取り組みを推進しています。2019年度からは、デジタル化と先端IT活用への取り組みを加速させる「⽇本⽣命デジタル5カ年計画」を始動。紙を使った手続きからデジタルへの移行などを進める一方で、営業職員向けにスマートフォンを配付し、顧客接点の強化と営業活動の高度化を図る取り組みに着手しました。日本生命保険 IT統括部 インフラ統括課長の舘山 豊 氏は、プロジェクトが立ち上がった経緯を次のように語ります。

  • 日本生命保険相互会社 IT統括部 インフラ統括課長 舘山 豊 氏

    日本生命保険相互会社
    IT統括部 インフラ統括課長
    舘山 豊 氏

「もともと営業職員向けにPCやタブレット端末を導入してきましたが、厳格なセキュリティ対策が施されており、社外のサービス等を活用した機能拡充が難しいという課題がありました。生活やビジネスにITが浸透したことで変化したお客様のニーズに応えるためには、新たな営業支援ツールを導入する必要があると判断し、2019年に営業職員向けスマートフォンの導入プロジェクトをスタートしました」(舘山氏)

非対面でのコミュニケーションやデータ利活用を可能とするスマートフォンの導入は以前から検討されてきましたが、セキュリティの確保が必要なことと、営業職員にとって新しいデバイスを出来る限りストレスなく利用することなどが導入の課題となっていました。舘山氏と同様、本プロジェクトを牽引したIT統括部 課長代理の片山 桂佑 氏は、「スマートフォンはお客様との接点となるデバイスとなるため、導入するうえではセキュリティの確保が不可欠でした」と振り返ります。また日本生命の営業職員は全国に約5万人が在籍しており、IT部門の限られたリソースで安全かつ適切に管理するための仕組みも構築する必要がありました。

  • 日本生命保険相互会社 IT統括部 課長代理 片山 桂佑 氏

    日本生命保険相互会社
    IT統括部 課長代理
    片山 桂佑 氏

日本生命グループのIT戦略を担い、今回のプロジェクトにおいてもシステムの設計・開発を担当したニッセイ情報テクノロジー 基盤ソリューション事業部 インフラ企画ブロックの影山 祐気 氏も「PCやタブレット端末のように社内に閉じたツールとしてセキュリティを固めた運用では、お客様に対して最善の提案が行えない可能性があります。そこでセキュリティを確保しながら利便性を損なわないことを重要な目標と定めました」と説明。インターネットを使ったさまざまなサービスを提供するうえで、インターネットを介したクライアント制御、管理が行えることは重要な要件となりました。それらを踏まえて、デバイスの管理とユーザーの利便性向上の機能を有するソリューションの導入を検討したと語ります。

大規模導入実績とベンダー直接のシステムインテグレーションの支援が決め手となり、VMware Workspace ONEの採用が決定

短期間での導入が必要だった今回のプロジェクトは、異例のスピードで進められました。Androidスマートフォンの利用を前提とし、重視したシステム製品選定ポイントは次の4つです。

  1. 大規模稼働の実績と支援スキームを有すること
  2. OSアップデート・管理サーバのバージョンアップへの柔軟な対応
  3. キッティングの効率化(代理加入)や利用状況の可視化に資する機能を有すること
  4. シングルサインオン(SSO)機能を有し、ユーザーのストレスを低減できること

これらの条件を満たしたソリューションとして日本生命が採用したのが、VMware Workspace ONEでした。グローバルで豊富な導入実績を誇るVMwareの製品であったこと、管理者がセットアップ用のアカウントを使ってデバイスを管理対象に加えることができる代理加入処理に対応し、数万台単位のキッティングを効率的に行えること、SSOに対応しセキュアかつユーザーに負荷をかけない認証処理が可能なことなどが選定要因と影山氏。さらにシステムインテグレーションの支援として企画段階からヴイエムウェアに直接参画してもらえたことも大きかったと語ります。

「いくつかの製品を比較検討しましたが、VMware Workspace ONEが、MDMとSSOの機能を1つのプラットフォーム上で提供している、かつ我々の要件に合致したソリューションだと評価しました。機能面での優位性だけでなく、システムインテグレーション支援もポイントです。実績豊富なヴイエムウェアのメンバーに、システム企画やデザイン段階から支援いただけることは、短期間での導入が求められる状況のなかで採用の決め手となりました」(影山氏)

約9カ月という短期間で本番稼働を迎えることができた要因の1つは、ヴイエムウェアの強力な支援にあります。ニッセイ情報テクノロジー 基盤ソリューション事業部 インフラ企画ブロック チームマネジャーの山田 啓人 氏は、プロジェクトの流れについて解説します。

「開発自体は2019年4月からスタートし、従来のウォーターフォール型で進めてきました。ヴイエムウェアに伴走していただき、PoCを実施して実際に動かしながら開発を進められたことが、スピード感を持って取り組めた要因と実感しています」(山田氏)

  • ニッセイ情報テクノロジー株式会社 基盤ソリューション事業部 インフラ企画ブロック チーフマネジャー 山田 啓人 氏

    ニッセイ情報テクノロジー株式会社
    基盤ソリューション事業部
    インフラ企画ブロック チーフマネジャー
    山田 啓人 氏

実際、営業支援ツールとしてスマートフォンの導入を検討した当初は、全営業職員への配付は考えていなかったと山田氏。SaaSとして提供されるVMware Workspace ONEならば数万台の全層配付にも対応できると判断したと、手応えを口にします。

こうして当初の目標どおり、2020年1月からの運用を実現した本プロジェクト。まずは2020年4月に約3万台のAndroidスマートフォンが導入されます。その後コロナ禍の影響も受けて順次追加され、在庫機を含め合計約5.3万台がVMware Workspace ONEの機能を活用して営業職員5万人、拠点長2,000人、教育者用端末として1,000人に配付されました。

「セキュリティと利便性のバランスを意識し、ユーザーである営業職員にストレスを感じさせることなくセキュアで効率的な管理を実現するシステムを構築しました」と舘山氏は語ります。

5万人の営業職員にスマートフォンを配付するにあたり、代理加入やSSOの機能が重要な役割を果たす

全営業職員にスマートフォンを配付したことで得られたメリットは多岐にわたります。当初の目的となる顧客とのコミュニケーションチャネル強化はもちろん、社内コミュニケーションの活性化や、チャットボットの導入、さらには教育用コンテンツで勉強できるようになるなど、アプリの導入によりさまざまな成果を実現しています。

また、日本生命仕様に設定したスマートフォンを、新しく入社した営業職員にいかに早く配付できるかも重要なミッションのひとつでした。採用の決定に至った要素でもある代理加入の仕組みによって、管理者がデバイスを管理対象に加えられることから、膨大な数の端末をスピーディーに配布可能な点も大きなメリットです。

ユーザーの利便性向上という面で効果を発揮したのはSSOの導入です。「スマートフォンではOSのロック解除にパスワードが必要ですが、それに加えて各システムへのアクセスにもパスワードを入力するのはユーザーのストレスが増大してしまいます。その意味でも、VMware Workspace ONEでSSOを実装できたことは大きなメリットと考えています」と片山氏は語ります。

さらに顧客接点の強化においても確かな効果が現れており、本プロジェクトで実現した非対面のコミュニケーションチャネルはコロナ禍において、極めて重要な役割を果たしたといいます。舘山氏も、VMware Workspace ONEによって営業活動に役立つアプリの配信を管理できるようになったことは見逃せないメリットだと語ります。

日本生命グループが推進するDXの取り組みにおいて、VMware Workspace ONEのさらなる活用が期待される

前述したとおり、本プロジェクトが成功した要因の1つはヴイエムウェアによるシステムインテグレーション支援にあります。影山氏は「VMware Workspace ONEの範囲にとどまらない領域まで踏み込んで対応してくれたことが印象に残っています」とヴイエムウェアの支援に関する所感を語ります。

  • ニッセイ情報テクノロジー株式会社 基盤ソリューション事業部 インフラ企画ブロック 専門職 影山 祐気 氏

    ニッセイ情報テクノロジー株式会社
    基盤ソリューション事業部
    インフラ企画ブロック 専門職
    影山 祐気 氏

日本生命では、今後もITを活用した顧客向けサービスの拡充を図るとともに、職員の新たな働き方を支える環境を整備していく予定です。そのなかで、VMware Workspace ONEのさらなる活用と、様々なツールの導入を進めていきたいと、舘山氏は今後の展望を語ります。

「対面だけでなくリモートでのコンサルティングやデジタルでの手続き等、お客さまのニーズは多様化してきています。職員の働き方も同様です。今回は営業職員向けのプロジェクトですが、今後は全社的なデジタル化推進に向けた取り組みも加速させていきたいと考えています」(舘山氏)

営業活動を支援するツールとして、スマートフォンの配備に踏み切った日本生命。同社が目指すDXの実現においてVMware Workspace ONEが重要な役割を担っていることは間違いありません。単にユーザーやデバイスを“管理する”だけでなく、ビジネスを“サポートする”ための機能を備えるデジタルプラットフォームの構築を進める日本生命グループの今後の取り組みは注視していく必要がありそうです。

  • 集合写真

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●業界
Financial Services

●カスタマープロフィール
「お客様本位の業務運営」と「サステナビリティ経営」を企業理念に掲げ、保険の引き受けや資産の運用といった生命保険業を中心にビジネスを展開する日本生命保険相互会社。デジタル化への取り組みにも積極的で、日本生命グループのIT戦略を担うニッセイ情報テクノロジー株式会社との協業により、最新デジタル技術を用いた顧客サービスの価値向上、従業員体験の向上に向けた施策を推進している。

●ユーザーコメント
「もはやITの活用なしでは営業活動が行えない状況となり、スマートデバイスを運用管理する体制の構築は喫緊の課題でした。VMware Workspace ONEを導入し、セキュアで効率的な運用管理および営業職員とお客様とのコミュニケーションチャネルを強化できたことで、スマートデバイスを起点としたデジタル利活用促進のスタート地点に立てたと考えています」
――日本生命保険相互会社 IT統括部 インフラ統括課長 舘山 豊 氏

●導入製品・サービス
VMware Workspace ONE

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