いつでもどこからでも仕事ができるテレワークには、さまざまな導入メリットがある。実際にテレワークを導入・運用した企業では、働き方がどのように変わったのだろうか。本連載の最終回となる今回は、VDIシステムを導入してから10年以上が経過し、すでにテレワークの文化が社内に根づいたという日商エレクトロニクスの自社導入事例について、同社の日商エレクトロニクス サービス事業推進部 サービス推進課 課長補佐 藤森譲氏と同課の副島美希氏の両氏に話を聞いた。
すべての業務をVDIシステムで実施
日商エレクトロニクスがVDIシステムを社内に導入したのは、今から10年以上も前のことである。当時は、テレワークを導入して働き方改革を推進するという意味あいよりも、VDIシステムを取り扱う技術商社として、自社にソリューションを適用し経験を積むことが狙いだったと、藤森氏は振り返る。
「実際にVDIシステムを導入してみると、テレワークの有効性・利便性がわかってきました。ソリューションとしてお客様に提供するだけでなく、社内でも『これは使える』と評価され、徐々にテレワークを主体とする働き方に変わりました。現在は社員の約9割が、すべての業務をVDIシステムで行う環境になっています」(藤森氏)
日商エレクトロニクスはシトリックス・システムズの「XenDesktop」にてVDIシステムを構築・運用しているが、同社の特徴的な部分は、テレワークに利用するモバイルPCがすべて個人所有という点だ。VDIシステムと同時にBYOD(Bring Your Own Device)を実現するMDM(Mobile Device Management)システムも導入し、基本的にどんな機種を使ってもセキュリティ上安全な環境を構築している。
さらにスマートフォンは、場所を問わずに働きやすい環境を用意するため、各端末に内線番号が割り当てられているという。社員同士の連絡はどこにいても4桁の内線番号を回すだけでつながる仕組みだ。そのため、「通話の初めに『いまどこにいますか?』と聞くのがもはや習慣となっています」と藤森氏は言う。
VDI導入による「効果」と「分かったこと」
VDI環境を整備してから、日商エレクトロニクスの働き方は大きく変わった。いまでは場所に縛られない働き方が当たり前になり、オフィスレイアウトも自席を持たないフリーアドレス制を導入している。
ただしVDIシステムの運用にあたっては、上述にもあるように特にセキュリティ対策に気を使ったという。デスクトップは基本的にサーバ側で完結しており、端末側のローカルストレージにデータをコピーすることはできない。さらに、見逃されがちな「紙による情報漏えい」を回避するために、VDIシステムから印刷する場合は社内のプリンタにしか出力できない仕組みになっている。
また、ネットワーク構成にも工夫がある。社内随所に無線LANアクセスポイントが設置されているが、この無線LANは単なるホットスポットとして機能しているだけで、社内ネットワークとは完全に分離されている。そのため社内にいても社外に出ても、VPNにより同じ経路でVDIシステムに接続し、デスクトップにログオンしなければ社内システムには入れない。このような対策を講じることで、セキュリティを担保しているのだ。
またVDIシステムを導入・運用してから、わかってきたこともあるという。その1つがVDIシステムのサイジングだ。一般的には、技術職の社員のほうがシステムリソースを多く使い、事務職の社員や経営層は少ないと思いがちだろう。しかし、実際にはまったく逆であることがわかったという。
「例えば、ある事務職の社員は、業務に必要なアプリケーションをデスクトップ上にすべて起動した状態で仕事をしています。出社してデスクトップにログオンすると、Word、Excel、メーラー、業務システムのクライアントなどがすべて自動起動するように『スタートアップ』に設定されていたのです。また、ブラウザのタブをたくさん開いたままにしていることもよくあります。一方で技術職の社員は、自身の業務スピードという観点からもこうしたシステムに負担をかける行為をしていません。つまり、ITリテラシーの低い社員のほうがシステムリソースを多く使うので、それを想定した設計・サイジングが必要になるわけです」(藤森氏)
こうした経験から、VDIシステムのアセスメントサービスを提供する際には「きっとこうだ」という思い込みによる判断は絶対にしないという。客観的に現状の使い方を測定し、リソース設計を行うという日商エレクトロニクスの姿勢は、自社事例によって育まれたものなのだ。
テレワークに求められる労務管理
一方、テレワークの導入以降は労務管理の方法も変わってきているという。副島氏によると、日商エレクトロニクスでは人事部門がVDIシステムへのアクセス時刻の記録をチェックしているという。
「帰宅後や休日にもVDIへ接続し平日と同じように仕事ができてしまうため、会社としてガバナンスを効かせて時間外労働、無給労働が行われないようにしなければなりません」(副島氏)
生産性向上や人材確保を視野に入れ投資したテレワークが、思ってもみない方向に進んでしまうこともあるのだ。
「働き方改革に正解はありません。しかし、従業員がどのような働き方をしているのかを人事労務担当者は把握しておかなければならない責任が必ずあると思います。また、働き方改革が正しい形で進んでいるかを計る意味でも客観的なデータは重要です」(副島氏)
テレワークを導入している企業は労務管理が曖昧になりがちだ。さまざまな働き方が可能となる反面、従業員の働き方が見えなくなってしまう。そのため、労働基準監督署から改善要求や指導が入るケースもあるだろう。
自社事例で得た経験をもとにサービスを提供
労務管理に関しては本連載の第2回でも紹介したように、日商エレクトロニクスは2018年4月からテレワークに対応した労務管理支援サービスを提供している。
最近は企業事例だけでなく、例えば地域医療改革と医療現場の働き方改革を両立させるような社会基盤を変える事例も登場し始めているという。VDIシステムの導入は簡単なことではなく、それなりの初期投資も必要だ。だからこそ、豊富な経験・知見・ノウハウを持ったベンダーに依頼したいものである。
日商エレクトロニクスは、そうしたニーズを叶えてくれることだろう。
日商エレクロトニクスのHPはこちら
https://www.nissho-ele.co.jp/index.html
VDI導入・運用支援サービスはこちら
https://vdilab.nissho-ele.co.jp/
労務管理支援サービスはこちら
https://www.nissho-ele.co.jp/solution/working_time_management/index.html
※記事内の組織名称は2018年3月時点のものとなります
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