「誰とも話さず一日が終わる」──そんな働き方が当たり前になった時代に、職場から「成長の空気」が消えつつある。TIS株式会社が開発した自律型人材育成アプリ「Practice」は、2023年4月からの無償トライアルを経て、2025年3月3日に正式提供を開始。感情と経験に光を当てる独自のアプローチで、次世代の組織づくりに新たな可能性を提示している。本稿では、Practiceのプロデューサー 久保田博氏が語る『自律型人材』の本質から、次世代組織のあり方を紐解いていく。

  • (写真)TIS株式会社 産業公共事業本部 サービス・メディアビジネス事業部 プロデューサー 久保田 博氏

    TIS株式会社 産業公共事業本部 サービス・メディアビジネス事業部 プロデューサー 久保田 博氏

アフターコロナで失われた「成長する空気」

コロナ禍を経て、リモートワークは多くの企業で当たり前の働き方となった。とくに大学時代からオンライン授業に慣れてきた若手社員にとっては、「出社すること」がむしろ非日常となっている。一人暮らしの場合、朝起きてから仕事をして寝るまで、誰とも会話を交わさない日も珍しくない。

こうした環境では、職場の人間関係を育む機会が減り、些細なことでも気軽に質問できず、迷いを抱えながら仕事を進めるケースが増えている。結果として、これまで意識されることのなかった課題が浮かび上がってきた。その一つが、かつてオフィスに自然と存在していた「成長する空気」の欠落だ。

隣席の先輩の電話応対から学んだり、雑談の中で仕事のヒントを得たり、「あの人が頑張っているなら自分も」と刺激を受けたり──そんな日常の中のささやかな学びの機会が、今では激減している。

既存のやり方が通用しなくなりつつある今、新たな気づきや学びを糧にした挑戦が求められている。しかし、多くの人が「チームの一員である」という安心感すら得られず、居場所を見失っているのが現状だ。

この根深い課題に向き合うためには、単に働き方を元に戻すのではなく、時代に合った「成長の空気」を、改めて職場に設計し直す必要がある。

「自律型人材」とは、どんな人材なのか?

不確実性の高い時代において、多くの企業が育成の目標として掲げるのが「自律型人材」だ。しかし、その定義には誤解があると語るのは、TIS株式会社で自律型人材育成支援アプリ「Practice」のプロデューサーを務める久保田博氏だ。

「自律型人材と聞くと、何でも一人で課題を解決できる『エース』のような存在を思い浮かべがちです。でも、私の考えは違います。むしろ、子どものような存在こそが究極の自律型人材だと思っています。子どもは自分の興味関心に従って行動し、遠慮なく人を頼り、出来上がったものに対して素直に泣いたり笑ったりと、感情を表現します。誰もが子どもだった以上、そうした力は本来、誰の中にもあるのです」(久保田氏)

つまり、真の自律型人材とは「自分が何をやりたい人間なのか」を自覚し、その気持ちや価値観に素直に行動を選べる人のこと。かつての職場では、公私を分け、感情や価値観を抑え、指示に従うことが成功の秘訣とされていたが、今は違う。顧客満足や体験価値の提供が重要な時代に、満足や喜びや感動の薄い職場で、それらを生み出すことはできるだろうか? 感情や価値観を率直に表現できる環境こそが、これからのビジネスにおいて不可欠な土台となる。

久保田氏はさらにこう語る。

「実は、『成長しよう』という意志がなくてもいいんです。よい環境さえ整えば、人は自然と自律型人材へと変わっていきます」(久保田氏)

この考え方を中核に据えて開発されたのが、自律型人材育成支援アプリ「Practice」だ。

  • (写真)TIS株式会社 産業公共事業本部 サービス・メディアビジネス事業部 プロデューサー 久保田 博氏

問いかけと振り返りが、経験を「価値」に変える仕組み

久保田氏は、Practiceのコンセプトを「経験は宝石である」という言葉で表現する。

たとえば、ゲームで最初に出会う弱い敵を倒したとします。得られる経験値は少ないかもしれませんが、その戦いで覚えた武器の使い方が、森で木を切るときに役立ったり、敵と出会うまでに歩いてきた場所までの地図を作れるかもしれません。 一つの経験という原石も、リフレクション(振り返り)によって光の当て方を変えれば、さまざまな価値が輝き出すのです」(久保田氏)

ここで言う「リフレクション」とは、単なる反省ではない。Practiceの共同開発パートナーである一般社団法人21世紀学び研究所は、リフレクションを「自己を客観的かつ批判的に振り返る行為」と定義している。そして、それを久保田氏は「リフレクションとは自分の中に光を当てること」であると解釈するのである。

Practiceは、このリフレクションを誰もが習慣化できるよう設計されたアプリケーションだ。「あなたが大切にしていることは何ですか?」「想定していた結果はどのようなものでしたか?」「うまくいったことは何ですか?」といった問いかけに答えていくことで、自然と質の高いリフレクションが実践できる仕組みになっている。

さらに、成長支援の機能として「AIフィードバック」がある。キャリアコンサルタントや優秀な上司、紫式部や孔子、小学校5年生といった多様なペルソナのAIがコメントを返してくれるのだ。

「人間同士だと感情的になってしまう場面でも、AIは良い意味で無味乾燥に、的確なことを言ってくれますし、受け入れることが出来ます。それによって『自分のやったことは間違っていなかったんだ』と肯定されたり、『大昔の人々も同じことで悩んでいたんだ』と視野が広がったりします。AIフィードバックを参考にしつつ、人間らしいフィードバックを同僚に返す──そんなチーム内対話にも応用できます」

  • 上記リフレクションに対して下記のようなAIフィードバックをもらえる。

  • (図版)AIフィードバック例1
  • (図版)AIフィードバック例2
  • AIフィードバック①と②

  • (図版)AIフィードバック例3
  • (図版)AIフィードバック例4
  • AIフィードバック③と④

2025年9月には、より具体的な業務に紐づいた振り返りを支援する「経験学習」機能も実装された。大きなプロジェクトの実施から、「Excelの新しい使い方を試す」といった小さな挑戦まで、自発的な仕事を登録すると、「行動前の仮説」「結果」「振り返り」を問う一連のパッケージが提供され、経験から学びを得るサイクルを力強くサポートする。

  • (図版)経験学習画面1

    表示されたクエスチョンから入力したいものをクリックすると、リフレクション入力画面が表示される。

  • (図版)経験学習画面2

こうした経験学習機能の理論的支柱となっているのが、教育やビジネスの現場で注目される「AARモデル」と、Practice独自の「プラネットモデル」だ。

AARモデルとは、「Anticipation(見通し)」「Action(行動)」「Reflection(振り返り)」の頭文字を取ったダブルループ学習モデルで、変化の激しい時代に対応する力を養うためのフレームワークとして注目されている。

また、プラネットモデルについて久保田氏はこう語る。

「人は星、惑星のような存在だと思っています。光の当たり方で見え方が変わるだけで、光が当たっていない部分も確かに存在している。チームを太陽系だとすると、リーダーが放つ光(ビジョンや問いかけ)によってメンバーの一部が照らされ、その人らしさが現れていく。Practiceは、その惑星(メンバー)同士をつなぐ通信衛星のような役割を担います」

経験の蓄積が、チームの知になる──Practiceのインサイト検索

それでは、Practiceの導入によって、職場にはどのような変化が起きているのだろうか。

ある企業では、日報や週報が「言われたことをやりました」「頑張ります」といった定型的な内容に終始し、形骸化していた。上司が1on1などで部下一人ひとりの振り返りを引き出すには、多大な時間と労力が必要だった。

しかし、Practiceを日々活用し行動前の考えを問いかけることで、仮説思考が習慣化され、振り返りの質が劇的に向上した。さらに、管理部門の「作業の段取り」に関するリフレクションが、部署の垣根を越えてマーケティング部の参考になる──そんな場面も生まれている。個人の経験が、チームの資産へと変わる瞬間だ。

こうした暗黙知の資産化を加速させるのが、Practiceの「インサイト検索」機能である。たとえば「お客様と信頼関係を構築するためにはどうしたら良いですか?」と自然言語で入力すると、AIが課題を解釈し、社内に蓄積されたリフレクションの中からヒントとなる経験談を検索・提示してくれる。

  • (図版)インサイト検索画面

さまざまな生成AIサービスが急速に進化する中で、Practiceでリフレクションを身につけることは、AI活用の基盤づくりにもつながると久保田氏は語る。

「リフレクションは、本質を突き詰めていく技術です。たとえば『人に好かれたい』という漠然とした気持ちも、深掘りすれば『この人に、こういう場面で、こんな気持ちになってほしい』という解像度の高い願いが見えてきます。自分の願いを自覚し、言葉にできるようになる。これは、AIに対しても、人に対しても、本質的なオーダーを出すために必要な力だと思います」

「個性の魅力」が活きる組織のかたち──Practiceが描く未来

最後に、久保田氏はこれからのチームのあり方について、展望を語る。

「人的資本経営の重要性が問われていますが、社員自身が自分の価値(資本)を理解していなければ、そのポテンシャルは永遠に機能しません。明るさや優しさ、粘り強さといった、数値化できない個人の魅力までもがチームの中で発揮されてこそ、新しい価値が生まれていくのです」

こうした個人の魅力を引き出すために必要なのが、リフレクションと対話だ。Practiceは、それらをチームの標準機能として実装することで、組織の成長を支えるインフラとなることを目指している。

経験を丁寧に振り返り、言葉にする力こそが、自律型人材として育つための鍵となる。Practiceは、これからのチームにとって、新たな成長の土台となるだろう。

自律型人材育成アプリケーション「Practice」
https://www.cm.com/ja-jp/

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