仮想的に施策評価を行うCAEが開発工程で導入されたことで、「解析」に要する期間やコストは大幅に圧縮された。しかし、多大なコストと期間を生じさせる「設計変更」の数を減らさなければ、開発プロセスは劇的には変わらない。ここでは、開発設計の初期にあたる基本設計段階からCAEを用いた解析を行う「フロントローディング」を取り上げ、開発プロセスの改善策を提示する。

フロントローディングとは

新たな製品を企画し、基本設計を詰め、詳細設計に臨む。そして出来上がった試作品を解析評価し、幾度もの設計変更を経て製造工程へ進行する……、製品をより完全なものとしてリリースするまでには、この「設計」「解析」「設計変更」のプロセスが欠かせない。

この「設計」「解析」「設計変更」というプロセスは、一般的に、詳細設計以降の工程に適用されることが多い。しかし、細かな仕様が固まってきた段階での設計変更には、再設計を行うため、相応のコストと時間を要する。開発工程が製造フェーズに近づくほど、設計変更で生じる “製品完成までに要するリードタイムの長期化、所要コストの増加” のリスクが高まるのだ。

そこで、開発設計の初期にあたる基本設計段階からCAEを用いた解析を行う「フロントローディング」が、今日の製品開発にあたっては求められている。

開発プロセスが進むほどに設計変更の容易性は下がり、設計変更で発生するコストも増加する。

開発プロセスが進むほどに設計変更の容易性は下がり、設計変更で発生するコストも増加する。万が一リリース後の「管理」の段階で設計変更が生じた場合には、リコールにもなりかねない。
資料提供:サイバネットシステム株式会社

フロントローディングを支える、ANSYS Discovery Live

フロントローディングとは、基本設計から詳細設計の初期フェーズにかけて行われる、製品の概念、方向性、設計案の評価である。予めこれらを評価することは、上の図にもあるように、後工程で発生する設計変更の数を減らすことにつながる。

ただ、概念や設計案を検証するというフロントローディングの性質上、同作業は「設計」と「解析」の目線を合わせ、それぞれ同時に進行することが求められる。「設計」「解析」はそれぞれが独立した作業であり、必要なスキルや使うツールも異なる。

では、どのように双方を複合してフロントローディングを行うべきか。サイバネットシステムが提供するANSYS Discovery Liveは、この課題に対する1つのアンサーといえる。

ANSYS Discovery Live では3次元CADのコマンドのひとつのように、設計画面上から解析・シミュレーションの実行、確認を行うことができる。たとえ「解析」のスキルを持っていなくとも、自分の中にあるアイデアを形にし、その妥当性を解析結果に基づいて評価することができる。

フロントローディングにあたっては、設計者であっても容易に解析ができる、「設計者CAE」とも呼ぶべきプラットフォームが必要だ。

フロントローディングにあたっては、設計者であっても容易に解析ができる、「設計者CAE」とも呼ぶべきプラットフォームが必要だ。ANSYS Discovery Liveは、この「設計者CAE」に求められる要素を備えている。
資料提供:サイバネットシステム株式会社

フロントローディングは、”最小限のコスト・期間” で “最良の設計” を実現するための手段であり、ANSYS Discovery Liveはこのフロントローディングの実践を支える強力なプラットフォームだ。もちろん、フロントローディングを経た詳細設計にあたっては、より本格的な設計ツール、解析ツールを用いる必要がある。ANSYS Discovery Liveは、ハイエンド解析ツールであるANSYS製品ラインとの高い親和性を持ち、統合解析プラットフォームであるANSYS Workbenchに環境をそのまま連携できる。開発プロセス全体にわたって、解析の資産が有効利用できるわけだ。

フロントローディングを支える、CAEカスタマイズ

フロントローディングを実現するためには、CAE業務の効率化も1つの手段となる。CAE業務で時間がかかっているのはどこなのか?作業の内訳は計算機が行う作業、人が行う作業に分類することができる。計算機が行う作業はハードウェア・ソフトウェアの強化で時間短縮が可能だが、モデル作成、解析設定、結果処理など人が行う作業は時間短縮が難しい。しかしここであきらめてはいけない。ソフトウェアの標準機能では対応できないテンプレート化されたメニューの設定や、作業の自動化などのカスタマイズを行うことで人が行う作業の時間短縮が可能だ。また効果は時間短縮だけではない、人的ミスを低減し作業精度を向上させることも可能だ。

定型操作を1つにまとめた構造解析ウィザードを利用することで少ない操作で操作ミスの低減がつなげることができる。

開発プロセスが進むほどに設計変更の容易性は下がり、設計変更で発生するコストも増加する。万が一リリース後の「管理」の段階で設計変更が生じた場合には、リコールにもなりかねない。
資料提供:サイバネットシステム株式会社

例えば先述のANSYS Workbenchでもいくつかのカスタマイズ作成例がある。解析テンプレート、Excelをインターフェースとした自動計算フォーム、専用ダイアログ、解析ウィザードなどだ。これらメニューはユーザー専用に構築することも可能な為、局所的なニーズに対応することもできる。フロントローディングを実現するための手段としてCAEカスタマイズの活用も武器として使えるわけだ。

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本稿でDLできる資料では、このANSYS Discovery LiveとANSYS Workbenchのカスタマイズを取り上げ、今日のものづくりにおける設計・解析の課題を解説し、その改善案を提示する。ものづくりに携わる方には、ぜひご覧いただきたい

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ANSYS Discovery LiveとANSYS Workbench を解説した2種類のホワイトペーパーがダウンロードいただけます。

  • 解析講座_設計者CAEに必要なもの
    ~フロントローディングの正体~
  • ANSYS特集_CAE業務の時間短縮
    ANSYS Workbench を利用した、解析作業の自動化、テンプレート化、ツール化

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