ベンダー各社が提供するBI(Business Intelligence)ツールには、さまざまな機能が実装されています。言わずもがなですが、選定時には「既存の人的・物的資産を考慮すること」が重要です。つまり、求める機能に加えて、今あるシステムとスタッフとの相性も考えるというアプローチです。

以下に具体的な選定方法の注意点を見てみましょう。

ツールタイプを意識する

現在のBIツールは大きく2つのタイプに分けられます。

一つは、昨今市場を席巻している「セルフサービス」タイプ、もう一つは「定型レポート」タイプです。

定型レポートタイプは一般に、キューブと呼ばれる分析軸を予め定義します。その分析軸の中でドリルダウンしながら詳細な内容や関連項目を確認することが可能です。

ただし、新たな分析軸で確認したい場合は、キューブを新たに定義しなければなりません。この作業はやや複雑で情報システム部門が担うケースが多いため、ユーザーが「別の軸で関連性を見たい」と思っても、それを見られるようにするにはキューブの定義作業を依頼しなければならないため、1週間程度かかることも少なくありません。

対して、セルフサービスタイプは、そうした課題を解決するべく登場したツーで、使う担当者が分析軸を自由に変えて数値の相関性を表示できるBIツールです。別の角度からの検証もその場でできる手軽さが最大の利点です。

一方で、扱うデータの種類が大量だったり、大人数でレポート画面を共有したりするようなケースはあまり向いていません。

BIに慣れ親しんだ企業では、経営会議などで業績を見る際は定型レポートタイプ、現場で現状を分析する際はセルフサービスタイプ、というかたちで使い分けるケースが多いようです。

4つの機能を理解する

BIツールの機能には大まかに4つのタイプがあります。これらは分析手法や対象、またアウトプットの傾向がそれぞれで異なっています。

まず、現状の問題点を分析するツールとしては、「レポーティングツール」や「OLAP分析ツール」があります。両方とも日々収集される膨大なデータから有意味なデータを抽出してビジュアライズする点は共通です。

前者は、主に定型レポートの出力で使われます。一方、後者はオンラインの画面で分析値を確認し、気になる部分をドリルダウンして詳細を確認できるなど、インタラクティブな操作が可能です。

それに対して、データを自動で解析し、統計学的手法などを用いて埋もれている関係性や将来予測などを提示するのが「データマイニングツール」です。大量のデータをすべて処理するものや、一部のデータから仮説を導きだすものなどいくつか種類があります。

また、「プランニングツール」というものもあります。こちらは条件を変えた場合のシミュレーションを行うツールであり、主に予算編成の合理性について試行錯誤しながら数字を用いて検証する場合などに多用されます。

インタフェースの使い易さをチェックする

多くのBIツールでは、専門知識のないユーザーでも比較的容易にデータを分析して、わかりやすいかたちでアウトプットできる点をセールスポイントに挙げています。そのため、特に自由度が高いツールに関しては、UI/UXすなわち、実際のオペレーションを担当するスタッフの操作性も考慮に入れるべきでしょう。

パソコンやスマートフォンのアプリケーションも同様ですが、よく使うツールの場合、利用者のリテラシーに合わせたインタフェースが実装されているかどうかは生産性に直接影響します。たとえ高機能なツールが導入されても、操作する人にとってわかりにくいメニューやコマンド配置になっていれば、使われない可能性が高くなります。

もちろん、多少の使いづらさには目を瞑り、研修などでフォローするという対応方法もあります。しかし、スタッフのストレスを抑えるためにも、なるべく分かりやすく学習の負担が少ないインタフェースのものを採用するほうが合理的な選択と言えます。

既存システムとの相性を確認する

すでに基幹システムが存在する場合は、そちらとの連携やカスタマイズについても気にする必要があります。

特にDWH(Data warehouse)や、ETL(Extract/Transform/Load)ツールを導入済みの場合、対応状況、検証結果を調べておくべきでしょう。

もちろん、分析系システム全体を刷新するという選択肢もあります。そちらの方がかえって総コストを抑えられたり、データを管理しやすくなったりするケースもあるので、広い目で検討していきましょう。

自社のシステムの強みを知ることから

BIツールはさまざまなベンダーから供給されており、その選定も一苦労でしょう。既存のシステムと操作するスタッフの技量も頭に入れ、その強みを活かせるBIツールの選定をオススメします。

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