モバイルデバイスやクラウドサービスが当たり前のように業務でも使われるようになったいま、「ワークスタイル変革」や「ワークライフバランス」といった言葉が、企業の競争力と社員の働きやすさの双方を実現するキーワードとして注目されている。しかし、いつでも誰でもどこからでも仕事ができるようにするには、安心と安全の担保も絶対に欠かせない。

そこで本企画では、企業とITの関わりに詳しいジャーナリストの佐々木 俊尚氏に、いま求められる業務におけるIT活用のあり方や、その中で鍵を握る認証の理想的なかたちなどについて話を聞いた。第一回目は、佐々木氏から見た働き方改革の現状と、そこから明らかになってきた課題について解説する。

佐々木 俊尚氏

加速する働き方改革、一方で新たに見えてきた課題も

──ここ数年、日本企業の間でも「ワークスタイル変革」や「ワークライフバランス」の重要性が叫ばれ、モバイル端末などで社外から社内ネットワークに接続したり、業務用のクラウドサービスを利用したり、時間や場所にとらわれない働き方が当たり前となりつつあります。佐々木さんから見て、ITは仕事のあり方をどのように変えたと思いますか。

モバイルデバイスやクラウドサービスの普及などによって、明らかに仕事のあり方は多様になっていると感じています。それは一般的なビジネスパーソンがオフィスの外でも仕事をするようになったというだけではありません。例えば、かつて東京や大阪の大企業でバリバリと働いていて、結婚や出産などをきっかけに地方へとUターンした専業主婦の方なんかが、ネットを介して東京の企業のチームと同じ仕事に関わるといったケースも増えてきています。このような働き方は、クラウドソーシングサービスの普及と合わせて広がっていますね。

──IT化の進展によって働く環境の自由度が大幅に高まっているのがよくわかります。一方で、新たに生じてくる課題などはあるのでしょうか。

当然あると思います。なかでも懸念しているのが、ITリテラシーにまつわる問題です。先ほどの例のように、仕事のあり方が多様になったことで、チームとして仕事に参加する人間もまた、従来と比べて格段に多様化しています。そうなると、ある分野における専門性は高いものの、ITリテラシーはあまり高くないという人もかなりの割合でチームに含まれてくるんですね。従来であればITリテラシーの高い人々しか関わらないのが当たり前だったITやWeb関係の仕事であってもそうです。そのため、「このアプリを入れてください」とか「このサービスのアカウントを取得してログインしてください」などと伝えても、そもそもそれらの言葉が示す意味すらわからないとか、パスワードに「123456」のような安易な言葉を使用してしまうといった事態があちこちで生じているんです。

誰でも簡単そして安心・安全なアクセス環境に目を向けよ!

──そうした場合では、逆に仕事の効率を悪化させるおそれもありそうです。

確かにそうなのですが、企業にとって優れた人材の確保がどんどん難しくなっているいま、外部のリソースを上手に活用するということには、ITリテラシーの問題を補って余りある多大なメリットがあります。そのため今後企業には、ITリテラシーの低い人であっても、業務遂行に必要となるクラウドサービスに簡単かつ安心、安全にアクセスし、使いこなしてもらえるような環境の構築が強く求められてくるのです。

しかしながら、多くの日本企業の情報システム担当者は、なかなかそこまで踏み込んで考えようとはしていないのではないかと思えてしかたがありません。企業がそうした環境の構築を行えていないのは、従来の、オンプレミス型の業務システムをガバナンスの効いた限られた環境で使うといった「常識」から、脱却できないからではないでしょうか。

この問題について論じるには、そもそも「どうして企業にとってITは必要なのか」という根源的な問いに立ち返る必要があるでしょう。もともと企業におけるITというのは基幹業務を効率化するためのメインフレーム・システムが中心であり、情報システム部門もその運用管理のために存在していました。

しかしその後、様々なIT環境がオープン化され、さらにモバイルデバイスやクラウドサービスなどが普及したことで大きく状況が変わりました。もはや企業にとってのITは、単にバックヤードの仕事を効率化するためのツールにとどまらず、むしろビジネスそのものの価値を創出するような戦略的な存在となったのです。

そのため情報システム部門の役割も大きく変わり、企業の中心的な戦略の中にITを据えて、いかに活用するかを立案することが強く求められてきます。エンドユーザーに対し、従来のようにオフィス環境だけでITを使ってもらうのではなく、工場や店舗、倉庫などを含めた社内のあらゆる場所、さらには自宅やカフェ、新幹線での移動中といった社外のどこからでも、業務で使うITに簡単にアクセスして、安心、安全に利用してもらう環境を整えなければならないわけです。

──いつでも、どこでも、そして誰でも仕事ができるような、簡単で安全な業務アプリやクラウドサービスへのアクセス環境を実現するための「鍵」はどこにあると考えますか。

ずばり「認証」ですね。それも様々なアプリやサービスをワンストップで認証できるようにすることが、利便性と安全性のどちらの意味からも重要になってくるでしょう。実は認証の方法というのは相当に古くから皆が悩み続けてきたテーマなんです。


佐々木氏の話から、ワークスタイル変革をはじめとした新しいIT活用の実践には、簡単で安心、安全なアクセス環境が必要で、その実現には「認証」が重要だということが実感できた。次回は、その「認証」の課題と解決法について、佐々木氏に掘り下げて聞いていく。

パスロジからの紹介

様々なデバイスから、様々な業務アプリ/クラウドサービスに簡単かつ安心、安全にアクセスする環境を実現するのが、パスロジが開発、提供する認証プラットフォーム「PassLogic(パスロジック)」です。「PassLogic」は、トークンレス・ワンタイムパスワードをはじめとした色々な方式による「認証」と、クラウドとオンプレミスの両方に対応する「シングルサインオン」、「ActiveDirectory」や「LDAP」などとの「ID同期」、業務内容や役職などによりアクセス可能なシステムを振り分ける「アクセスコントロール」の機能をワンストップで提供します。

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PassLogicは、場所や端末を問わずに、クラウドまたはオンプレミスのアプリにアクセスする環境を提供する

最大の特徴は、トークンを使わず、ブラウザのみでワンタイムパスワード認証を実現している点にあります。その秘密は、独自の「パスロジック方式」。これは数字が記されたマス目状の表(乱数表)から、マスの「位置と順番(シークレットパターン)」に沿って、文字を抜き出してパスワードを判読する方式です。文字ではなく、マスの「位置と順番」を決めて覚えるだけなので、誰でも簡単に使いはじめられるのがパスロジック方式なのです。

「PassLogic」を使うと、ログインのたびに乱数表に記された数字がすべて刷新されますが、ユーザーしか知らないシークレットパターン通りに数字を抜き出すことで、毎回異なる安全なパスワードで認証を行うことができるのです。

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