50 年近くにわたり日本企業の会計業務を支えてきた「GLOVIA」が Azure との連携を強化、検証が完了しすでに複数の企業様での採用が進んでいます。大手企業向けの「富士通グループ会計ソリューション GLOVIA SUMMIT」は 2019 年から自社基盤を用いた SaaS や IaaS での提供を行ってきました。ここにきて Azure との連携を強化する背景としては、顧客企業の間で Azure への利用ニーズが増していることや、Azure のさまざまな技術やサービスの利用によりさらにお客様に付加価値の高いサービスが提供できることがあるといいます。GLOVIA SUMMIT ビジネスを推進する富士通の開発元に話を聞きました。
50年にわたり日本企業を支えてきた 「GLOVIA 」
1975 年に開発され、50 年近くにわたり日本企業の会計業務を支えてきた富士通の統合業務ソリューション「GLOVIA」。中小規模から大規模までさまざまなシリーズをラインアップし、国産 ERP として日本企業のきめ細やかなニーズに応えてきました。なかでも、エンタープライズ向けに提供される「富士通グループ会計ソリューション GLOVIA SUMMIT」は時代の変化に合わせて、大規模高速処理、グループ管理、クラウドサービスなどさまざまな進化を遂げてきました。
GLOVIA SUMMIT の導入実績は 2022 年 9 月時点で 5,323 サイトに上ります。導入企業の規模は年商数億円から数兆円、従業員規模は数万人の大手企業が中心で、業種業態は、自動車、鉄鋼、電機、化学、流通小売、通信、サービスなど非常に多岐にわたります。グローバルビジネスアプリケーション事業本部 会計ソリューション事業部 部長 大金 拓郎 氏は、GLOVIA SUMMIT の特長についてこう話します。
「GLOVIA SUMMIT は富士通がもともと使っていた仕組みをパッケージ化した製品です。富士通の経理のノウハウが凝縮され、国産ならではの日本税制、商習慣に追随しているグループ経営情報統合ソリューションです。正確でリアルタイムなグループ全体のデータを基により正しく経営を判断することが可能で、確実にビジネスを成長軌道に乗せていくことができます」(大金 氏)。
GLOVIA SUMMIT がさらなる進化に向けて取り組んでいるのが Microsoft Azure との連携強化です。
「会計業務を取り巻く環境は大きく変わっています。そのなかで、Azure との連携性を高めることで、新たなユーザーニーズに応えていことを目指しています」(大金 氏)。
会計業務を取り巻く環境が大きく変化
大金 氏によると、GLOVIA SUMMIT を利用する大手企業の間でも基幹システムをクラウド移行する流れが加速しているといいます。
「数年前までは基幹システムはオンプレミスでの稼働が大前提でした。安定したシステムはオンプレミスを継続するお客様も一定数いる一方で、リプレースや新システムへの移行を機に、クラウドを選択するお客様はここにきて大きく増えています。個人的な感覚では 7 ~ 8 割がクラウドを前提にしていると感じます」(大金 氏)。
そうしたなかで“標準化”に対する取り組みも活発化しています。かつては会計業務において自社にあわせたカスタマイズを行うケースが多くありましたが、近年ではパッケージが提供する標準機能をできるだけ使う意向が強まっており、そのことがクラウドへの移行に拍車をかけているといいます。ただ一方で、標準化できない自社独自の機能を維持したいというニーズも強まっています。
「捨てきれない業務プロセスや標準化が難しい業務はどうしても残ってしまいます。そこで GLOVIA SUMMIT では、標準化しつつも柔軟にカスタマイズする仕組みも用意しています」(大金 氏)。
加えて、いわゆる「2025 年の崖」問題への対応にあたって、人材リソースが不足していたり、システムがレガシー化して DX などの取り組みの足かせになっていたりする企業もあるといいます。
既存環境からクラウドへ移行するにはIaaS に高いニーズが
こうした背景のもと、GLOVIA SUMMIT では顧客のニーズにこたえるアップデートを実施してきました。2019 年にはオンプレミスでの提供だけでなく、富士通のデータセンターからサービスとして利用できる SaaS 版の提供を開始します。また、顧客の要望に応じてプライベートクラウドやパブリッククラウド環境で IaaS として提供する形態もサポートしてきました。
グローバルビジネスアプリケーション事業本部 会計ソリューション事業部マネージャー 佐藤 昌斗 氏は、こう話します。
「SaaS は機能が標準化されているため、既存環境を移行することが難しい場合もあります。特に大手企業では独自業務が残ることも多く、そうした場合は IaaS が選定されます。SaaS は少しずつ増えていますが、現時点では IaaS への移行が大半を占めます。会計とはどの企業でも発生する共通業務ですが、それを支援する使命として、標準化を目指しつつもお客様のさまざまなニーズに対応することが大切だと考えています」(佐藤 氏)。
また、会計業務は企業取引情報が集まる最後の部分であり、周辺ソリューションとの連携性が大きなポイントになるといいます。
「お客様のシステムは、販売管理から製造・生産、経費精算など、さまざまなシステムで構成されています。それらシステムから得られる情報は最終的に会計システムに集まります。会計はさまざまな業務データが集約される場所であり、逆に言えば、会計システムはさまざまなシステムとつながることが大前提になっているということです。そのため、販売管理や経費精算などのシステムがクラウドに移行するならば、会計システムもクラウド上で相互につながっていくことが求められます。また、一方でオンプレミスのシステムともつながっていく必要があります」(佐藤 氏)。
こうしたクラウド対応や個別の業務ニーズに応えるために GLOVIA SUMMIT ではさまざまな機能を提供しています。具体的には、財管一致、大量明細データの活用、大量明細処理の高速化などです。
「財管一致は、財務会計と管理会計を一元管理できる仕組みのことです。財務会計と管理会計でそれぞれのデータベースを持つことなく、同一データで管理します。IFRS セグメント情報や、その他管理会計データの抽出も同一データで可能です」(大金 氏)。
Microsoft Azureとの連携性を高める狙いとは? さっそく企業での採用が進む
GLOVIA SUMMIT が Microsoft Azure との連携性を高める背景には、こうした特徴的な機能を Azure 基盤上で使いたいという顧客からのニーズが増えていることがあります。
「クラウドへのニーズはますます高まっており、特に注目しているのが Azure に対するニーズです。お客様が全社的なシステム基盤として Azureを選定し、その同じシステム環境のなかで GLOVIA SUMMIT を利用したいという声をよくいただくようになりました。例えば、ある造船業企業では、GLOVIA を稼働していたオンプレミス仮想基盤のハードウェア更改および Windows Server のサポート終了を機に 拡張セキュリティ更新プログラムやライセンス持ち込み特典が利用できる Azure への移行を決められました。アドオン部分の負荷分散機能が単一のサービスで解決できず構成変更を行った部分があるが、今後基幹システムのクラウド移行に伴うアプリケーションやデータ連携、データの利活用に向けての Azure データサービスの検討が進められると聞いています。また、ある大手小売企業では、 GLOVIA SUMMIT だけでなく、マーチャンダイジングシステムも Azure 上に移行されるケースもあり、データ基盤システムである Azure Databricksを用いることで、より密接な連携を実現できるのでは、と思っております」(大金 氏)。
もっとも、周辺システムとの連携方法や Azure の利用方法、GLOVIA SUMMIT との連携方法などは、顧客ごとに異なります。そのため、各社で異なるニーズに対応していく必要があったといいます。そこで重要なのが、マイクロソフトとの戦略的なパートナーシップとビジョンの共有です。
「マイクソロフトと富士通との間で将来的なビジョンや価値観に共通する部分が多かったたことがパートナーシップを後押ししました。マイクロソフトが提供するクラウドサービスと相互につながっていく GLOVIA on Azure の世界では、ビジネスがさらに拡大していくと見ています」(佐藤 氏)。
マイクロソフトとの協業により顧客への提供価値を高める
GLOVIA における Azure をはじめとする Microsoft Cloud 連携強化、マイクロソフトとの協業による目指す方向性としては大きく3 つあります。
1 つめは、Azure を基盤としてデータ分析領域などサービスの連携性をさらに高めることです。
「お客様の業務が多岐にわたる一方で、電子帳簿保存法やインボイス制度など会計にかかわる業務の電子化が進んでいます。こうした背景から、さまざまな業務をクラウドでつなげていくことが求められます。多くのシステムと連携して集めたデータをベースにした情報分析については、クラウドでの提供が可能になり、お客様の円滑な業務運用を実現できます。Azure Synapse Analytics、Azure Data Factory、Power BI などを使ったデータ分析などにも大きな期待を寄せています」(佐藤 氏)。
2 つめは、ソリューションの運用も含めてサービス化することでより広範囲なサービスを届けることです。
「今後 Azure のさまざまな技術やサービスを利用することにより、顧客にさらなる価値を提供できるようになります。たとえば、Azure Machine Learning、Azure Cognitive Services などの AI サービスを用いて、監査やデータ分析などの運用支援を充実させたり、チャットボットなどを設置したりして、お客様自身で運用中の QA を解決できるような仕組みづくりも検討しています」(大金 氏)。
3 つめは、世の中にあるクラウドサービスとつながる世界を実現し、顧客の課題解決に貢献することです。
「『2025 年の崖』問題のなかで、人材リソースの不足、システムのレガシー化など、今後、お客様の課題がさらに顕在化していきます。マイクロソフトと協業し、そうした顧客の課題を解消していきます」(大金 氏)。
GLOVIA と Azure の連携は顧客企業の取り組みを共同でサポートすることを中心に、すでに具体的な取り組みがスタートしています。今後は、 Azure Marketplace への登録の拡充やさまざまな Web サイトでの製品紹介、解説記事の展開など、既存顧客へのサポートにとどまらない展開をしていく予定です。2023 年 4 月時点では、Azure Marketplace には、グループ経営管理ソリューション「GLOVIA SUMMIT GM」、連結会計ソリューション「GLOVIA SUMMIT GC」の 2 製品が登録されています。
国産 ERP として顧客の声に耳を傾けながら進化してきた GLOVIA。Azure との連携をさらに強固にすることで、顧客への提供価値を高めていきます。
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