従業員の働きやすさを念頭に、多言語に対応するシステム導入を決意
1973年設立以来、グローバルダイニングは、多彩なレストランブランドを展開しており、イタリア料理のカフェ ラ・ボエム、エスニック料理のモンスーンカフェ、テクス・メクス料理のゼスト キャンティーナ、創作和食の権八などが代表的だ。 これらの店舗は、単なる食事の場ではなく、「エンターテインメントとしての食事」を提供することを目指し、舞台のような空間作りにこだわっている。
2025年3月19日には栃木県那須塩原市に「泊まれるフードホール」をコンセプトとした複合施設「那須パラダイスヴィレッジ」 がグランドオープン。権八(和食)、カフェ ラ・ボエム(イタリアン)、モンスーンカフェ(エスニック)など、グローバルダイニングの人気ブランドを含む多様な飲食店に加え、ホテル パラディソや、その他施設が集まった複合施設をオープンさせ、新たなビジネス展開を行っている。
そんなグローバルダイニングの従業員は以前から日本人以外の比率が高く、さまざまな国籍の人々が集まっているのが特徴的だ。海外からの来店客に対しては言語面でスムーズなやり取りができる一方、社内における情報共有などでは言語対応に気を遣う必要があったようだ。株式会社グローバルダイニング 情報システムグループ グループリーダーの吹上哲也氏は以下のように語る。
「1店舗あたり10人くらいが外国人で、合計20カ国以上の従業員が働いています。母語はさまざまですがほとんどの方は英語を理解できるので、英語と日本語に対応するシステムであれば問題なく使えます。しかし、以前利用していたグループウェアは基本的に日本語のみ。外国人従業員には頻繁に使う日本語だけを覚えてシステムを利用してもらっていましたが、バージョンアップなどでUIが少し変わっただけでも使いづらくなってしまうこともあり課題を感じていました」(吹上氏)
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株式会社グローバルダイニング 情報システムグループ グループリーダー 吹上哲也氏
英語UIのシステムを導入しようと考えたこともあったようだが、日本人従業員が扱いにくくなるのは避けたいため、多言語対応システムへの乗り換えを検討し始めたという。多言語対応以外の選定要件として、グループウェアのUIが大幅に変化しないこと、クラウド環境であること、適切なアクセス制限が行えること、運用費用面での負担が少ないことなどがあげられた。そしてさまざまなグループウェアを調べていくなかで、サテライトオフィスが提供するGoogle Workspaceに出合ったという。
「2011年、操作性改善のために何か必要だと考えていたところ、出会ったのがサテライトオフィスでした。従業員が頻繁に使うGoogleカレンダーや掲示板、アドレス帳などを提供していることに加え、豊富なアドオンを備えていたので、従業員が操作しやすい環境を構築できそうだと思いました。また、セキュリティを高められるシングルサインオン機能もあり、目的にばっちり合ったので、サテライトオフィスに決めました」(吹上氏)
同時期にワークフローシステムもリプレイスが必要になっていた所、「サテライトオフィス・ワークフロー for Google Workspace」で申請書の作成が内製化出来たことも決定の後押しになったようだ。
多彩なGoogle Workspaceの機能とアドオンを活用
同社では現在、Google Workspaceの機能としてGmailやGoogle Chat、Google Meetといったコミュニケーションツールを中心に、Googleカレンダーによる情報共有や、Google ドキュメントやスプレッドシート、スライドを使った共同作業も行っている。さらにGoogleフォームや、メモアプリ&ウェブサービスのGoogle Keep、タスクを管理できるGoogle ToDoリスト、データをレポート形式などに変換できるLooker Studio、クラウド型のデータベースサービスCloud SQL、AIを用いたノートサービスNotebookLMなども必要に応じて利用しているという。
これらと組み合わせて使っているのが、サテライトオフィスの豊富なアドオン群だ。業務を効率化する「サテライトオフィス・ワークフロー for Google Workspace」や、セキュリティ確保のための「サテライトオフィス・シングルサインオン for Google Workspace」、ユーザーにとって使いやすいUIで組織的な情報共有を助ける「サテライトオフィス・組織&グループカレンダー for Google Workspace」、「サテライトオフィス・掲示板/回覧板 for Google Workspace」「サテライトオフィス・組織アドレス帳 for Google Workspace」などを活用中。
「使い方の分かり易いものであってほしいという現場で働くスタッフの要望と、多彩な機能を便利に使いたい本部スタッフの要望があります。Google Workspaceとサテライトオフィスのアドオンを組み合わせることで実現できていると感じています。GAS(Google Apps Script)を使ってより使いやすいようにカスタマイズできるのもいいですね。昨年はレポート作成関連のコードを100本以上書きました」と吹上氏は自信をのぞかせた。
これら以外にも、社内ポータルは「サテライトオフィス・ポータルサイト」で構築したり、店舗業務のサポートとして「サテライトオフィス・セキュリティーブラウザ for Google Workspace」を活用している。
「サテライトオフィス・ポータルサイトは、日本語で構築しても簡単に十数カ国語に翻訳されるので、誰もがスムーズにチェックすることができて助かっています。また、Googleドライブガジェットを埋め込んで、各種規定が記載されたドキュメントだけを検索できるようにするなどの工夫もしています。セキュリティーブラウザは、店長不在時にアルバイトが対応しなければならない場合などに便利ですね」(吹上氏)
高い対応力と社内開発力でスムーズな活用を実現
「当初は800アカウントを導入しましたが、アルバイトを含む全従業員にアカウントを発行しようと方針を切り替えて、一時的に1300アカウントまで増加しました。ところがBYODで運用していることもあり活用が伸びなかったので、現在は絞り込んで400アカウントで運用しています。社員1人1アカウントのほかに、店舗の代表アカウントとパート向けアカウント、アルバイト向けアカウントという形式で、1店舗あたり3つのアカウントを発行しています」(吹上氏)
必要を感じていなかったり、うまく使いこなせなかったりしている現場に対して、無理やり使わせるのではなく、柔軟に体制を切り替えてきたようだ。また、従業員の要望を吸い上げて、GASなどを利用して調整することが功を奏し、導入後の従業員からの評判も上々の様子。
「直感的に使えるので現場から操作方法の問い合わせはほとんどありません。年に10件もないほどです。BYODなので個人アカウントと会社アカウントを混同してしまう人がたまにいますが、年に1件あるかないかです。多国籍な店舗スタッフでも問題なく利用できているのがとてもいいところですね」と吹上氏。当初の目的を達成できているようだ。
運用管理面や本社業務でもGoogle Workspaceの各種機能は活躍している。
「ハードウェアを自社運用すると設備投資が必要ですし、リプレイスのタイミングも考えなければなりません。それに加えてセキュリティ強化にも大きなコストがかかってしまいますが、Google Workspaceにすることで解消できるのはとてもよかったですね。また、現場でもドキュメントやスプレッドシートを利用することで同時編集が可能になり、情報共有や情報伝達が圧倒的にスピーディーになりました。生産性や作業効率のアップも感じられています。作業完了の連絡もChatやGmailで自動的に送信されるため、連絡忘れや行き違いもなくなりました」(吹上氏)
同社は多言語対応、旧システムに近い見た目で抵抗感のないUIの実現といった当初目標を達成したうえで、Google Workspaceの多彩な機能を積極的に活用し、業務効率化の手応えを得ている。
Google Workspaceとサテライトオフィスが提供するアドオンを組み合わせて、業務環境の改善を成功させているグローバルダイニング。「Google Workspaceはセキュリティが圧倒的に高いのも魅力です。それでいて扱いやすい。ファイル共有もしやすくPPAPからの脱却にも役立ちます。ただ、UIの部分で使いにくさを感じるので、サテライトオフィスのアドオンを組み合わせるのがお勧めですね。アドオン群は初期からかなりチェックしてきましたが、今後も便利なものがあれば活用したいです」と吹上氏は今後の展望を語った。