遠隔地にある拠点を一括管理することを考慮し、早くからクラウドベースのグループウェアを採用
「おいしさをはこび よろこびを創る」という経営理念を掲げ、 「つぶあん入り生八つ橋 おたべ」や「京ばあむ」をはじめとした観光みやげ事業や、洋菓子ブランド事業、OEM事業を展開する株式会社美十。昨今では、ラ・テールやエピナールといったグループブランドや、沖縄マーケットへの進出など事業拡大を進めている。
同社では、こうしたマルチブランド戦略を支えるため、以前よりグループウェアの活用による業務効率化を図ってきた。当初は社内サーバーで運用するオンプレミス型の製品を利用していたが、ユーザーの使い勝手が悪く、サーバー障害で業務が停止するリスクもあったため、クラウドベースのグループウェアへの移行を検討。ワークフロー機能の活用など、さらなる業務効率化を目指し、IT環境の整備に着手した。同社のITソリューション導入・運用を担当する株式会社美十 情報システム部 課長の橋本 哲 氏は、当時の状況を次のように振り返る。
「店舗や工場、本社の管理部門など、業務形態が異なるスタッフが在籍する弊社では、ITが社内に浸透していないという背景もあって全社的な活用は進んでいませんでした。ただ、ITに抵抗を持たない若い世代従業員が増えたことや、経営層がITの活用について前向きだったこともあり、ツールやシステムを試しやすい社風は確立できていました。当時のグループウェアの刷新にあたっても、情報システム部主導で検討を行い、ユーザーの立場から製品選定を進めていきました」(橋本氏)
導入にあたっては多種多様なグループウェア製品、及びパートナーが比較検討された。全国に展開している店舗・工場を含めて、同社のIT環境は情報システム部が一元管理しており、運用・保守の負荷を考慮するとクラウドベースの製品選択は必然だったと橋本氏。「導入検討時には、災害時の事業継続計画、いわゆるBCP対策も急務となっており、その意味でもクラウドに移行したいという思いがありました」と話を続ける。
そして、さまざまな条件を踏まえて2011年に同社が採用したのは、サテライトオフィスが提案した「Google Workspace(当時の名称は「Google Apps」)だった。橋本氏は、採用の理由を“機能・サポート・コスト面での総合力”と説明。なかでもサテライトオフィスのサポート力を高く評価したと話す。
「弊社だけではないと思いますが、業務ごとの慣習、たとえばカレンダーは月曜日始まりなど細やかにカスタマイズできることも重要でした。サテライトオフィスはそうした要望を真摯に聞き、1つ1つ丁寧に回答してくれました。そこが採用の決め手になったと思います」(橋本氏)
また同社では、紙を用いた業務からの脱却を図るためワークフローシステムの導入も検討しており、サテライトオフィスがGoogle Workspaceのワークフローアドオンを提供していたことも採用を後押しする要因となった。「豊富なテンプレートが用意されており、それを参照にすればすぐに自社の業務に適用することができました」と橋本氏。サテライトオフィスのサポートもあり、組織ごとに異なる複雑な階層構造をワークフローに落とし込むことができたと喜びを口にする。
導入プロジェクトは、情報システム部に所属するメンバー3人が中心に推進。サテライトオフィスの密接なサポートもあり、カスタマイズや機能開発も含めてスムーズに進んだという。
Google Workspace+アドオンで情報共有の基盤を構築し、コロナ禍のコミュニケーション手段としても活用
このような経緯もあり、美十は2011年末というかなり早い時期からGoogle Workspace(Google Apps)+アドオンの運用を開始。「Google Apps」→「G Suite」→「Google Workspace」と名称が変わり、グループウェアとしての機能が拡充していくなか、ニーズに合わせてサテライトオフィスのアドオンを導入し、現在も活用を続けている。
効果的な活用がなされていない部署に対してグループメールアドレスを付与し、1つのアカウントを共有するといった利用環境の整備も進め、社員が約300名に増えた現在も、導入当初と ほぼ変わらない220アカウントのままで運用を続けている。橋本氏は「将来的には、全社員にアカウントを配付し、Google Workspaceをより効果的に使っていただける環境を構築していきたいと考えています」と、利用拡大を見据えている。
現状の利用状況としては、社内ポータルの構築によるグループ会社情報・社内情報の共有をはじめ、スケジュールや掲示板、設備予約といった機能を活用。ワークフローも構築され、本社の管理部門から店舗の接客販売スタッフ、工場の製造スタッフまで、多様な業務の効率化を支援しているという。
「ユーザーの反響としては、オンラインで各種承認やメールチェックができるようになったことを喜ぶ声が多かったと思います。たとえば稟議書の承認をすぐにほしいという場合に、これまでは上長が外出していて対応が遅れ、ビジネス機会の損失を招くことがありましたが、こうしたリスクはかなり改善されました」と、橋本氏は導入メリットに言及。またGoogle Workspaceは、2020年に緊急事態宣言が出されるなど、社会に大きな影響を与えたコロナ禍においても重要な役割を果たしたという。
「コロナ禍で対面のコミュニケーションが難しくなったことで、「Google Meet」の活用が一気に浸透しました。社内でその便利さが周知されたことで、コロナ禍が収束した後もビデオ会議は積極的に使われています。現在はChromebox for Meetingsも導入し、各拠点で利用しています」(橋本氏)
さらにサテライトオフィスが提供するアドオンの活用も拡大している。前述したワークフロー機能をはじめ、シングルサインオンや、誤配信防止・メール暗号化を実行できる「Active Vault」「Active gate」、標的型攻撃メール訓練サービスなど、セキュリティ強化に有効なアドオンを導入。さらに「遠隔サポート機能 for Help U」も導入し、各拠点の問い合わせ対応を効率化することに成功している。
「厳密にいえばアドオンではないのですが、Help Uを導入し、Google Workspaceと連携させることでリモートでの問い合わせ対応、特にPC周りのトラブルへの対応がスムーズに行えるようになりました。サテライトオフィスさんに弊社の要望に合わせたカスタマイズを施していただき、“かゆいところに手が届く”リモートサポートツールとして活用させていただいています」(橋本氏)
サテライトオフィスの支援を受け、ユーザー目線でのIT活用を促進していく
美十では、10年以上にわたり培ってきたGoogle Workspaceの運用ノウハウを活かし、今後もユーザー目線でのIT活用、DXを推進していく予定だ。
「入退社の管理や、AD連携、昨今流行の生成AIの活用など、Google Workspace+アドオンで実現したいことはたくさんあります。情報システム部としては、スマホアプリの使い勝手を向上させ、どこにいても簡単に情報確認や承認処理が行える業務環境を構築したり、Google Workspaceの掲示板機能を活用して営業資料の可視化を実現したりといった、ビジネスチャンスの拡大につながる施策を打ち出していければと考えています。また、将来的には弊社の基幹システムとの連携を深めて、さまざまなデータを自動で集約・活用できる仕組みの構築を目指していきたいと思います」と今後の展望を語った橋本氏は、サテライトオフィスへの期待を口にする。
「とにかくGoogle Workspaceは機能が多く、多数のアドオンも提供されているため、どの機能をどう使えばよいのかを把握することすら難しい状況です。効果的な活用を実現するための知識を身につけることも大変で、サテライトオフィスさんには、具体的な活用方法も含めた提案を期待しています。レスポンスの早さなど、サポート力の高さは十分に実感しておりますので、より踏み込んだ支援で、美十のDX実現に向けた取り組みに伴走していただければと思っています」(橋本氏)