自動車事業と航空宇宙事業を展開するSUBARUは、社内カンパニー制を採用しており、航空宇宙カンパニーが後者の事業を担っています。
その航空宇宙カンパニーは近年、老朽化した基幹システムの刷新に取り組み、ERPへの全面移行を進めました。
背景としては、現行のビジネスモデルに沿った基幹システムに整備したい、紙やExcelで管理していたMRO(整備・修理・運用)領域の業務をシステム化したい、業務改善によって付加価値創出のための業務に社員のリソースを集中させたいという課題があったといいます。
SUBARU 航空宇宙カンパニーが新基幹システムへの移行を進めた過程や、それによって得られた成果は、どのようなものだったのかでしょうか。
課題背景
- 現行のビジネスモデルに沿った基幹システムを整備したい
- 紙やExcelで管理しているMRO領域の業務をシステム化したい
- 業務を改善して、付加価値創出のための業務にリソースを集中させたい
成果
導入ソリューション
プロジェクトの管理と購買、在庫、製造/MROの基幹業務をIFS Cloudで全面刷新
導入前の背景や課題
基幹システムとビジネスモデルに乖離
自動車事業と航空宇宙事業を展開するSUBARU様。社内カンパニー制を採用している同社においては、航空宇宙カンパニーが航空宇宙事業を担っています。同カンパニーは、「飛行機研究所」をルーツとする「中島飛行機」から続くモノづくりへの情熱を受け継ぎ、民間、防衛、ヘリコプターという3つの事業で日本の航空宇宙産業をリードしています。
近年、航空宇宙カンパニーは、基幹システムの刷新に取り組みました。既存の基幹システムは、1980年代から運用し続けてきたホストコンピュータ、そして2000年ごろに導入したERPの2つのシステムによって、原価管理を含む受注、購買、在庫、生産、顧客への出荷・納品などの業務を支えてきました。
選択のポイント
MRO領域も単一システムでカバーできるERP
課題を解決するための基幹システムの刷新には、ERPを用いることにしました。「システム規模などを考えると、スクラッチ開発は現実的ではないと判断しました」と同社の北 光一氏は言います。
複数のERPを比較し、最終的に同カンパニーが採用したのが「IFS Cloud」です。構築パートナーとしてはNEC(日本電気)を選定しました。
膨大な品目や取引先が存在する同カンパニーの調達業務に合わせやすいなど、要件に対する充足率はIFS Cloudが最も高かったと北氏は言います。「特に納品した航空機の修理、メンテナンスなどを行うMRO(Maintenance Repair and Operations)は、既存システムには機能がなく、紙やExcelで管理してきました。新基幹システムでは、ぜひシステム化したいと考えていたのですが、単一システムでMROもカバーできるのはIFS Cloudだけでした」。
一方、システムの構築を担当するNECについては、IFS Cloudに関する豊富な経験と知見を評価。「標準機能をきちんと理解していないと、アドオン開発が膨らみ、コストの増大をはじめ、さまざまな問題に発展するリスクが高まります。NECは、長くIFSの製品を扱っており、導入実績も豊富。実際、私たちが疑問をぶつけても、常に的確かつ素早く回答してくれ、安心感がありました」と北氏は続けます。
導入後の成果
生産性を向上し、付加価値を生む業務にリソースをシフト
IFS Cloudを採用したSUBARU 航空宇宙カンパニーの新基幹システムは、予定していた範囲の構築を終え、従来システムと並行稼働させながら全面移行に向けた取り組みを進めています。
「NECは、私たちの業務を深く理解した上で、IFS Cloudの標準プロセスへの適合の可能性を探ったり、業務変革のための提案を行ってくれました。また本番稼働後に当社が内製でシステムの修正やメンテナンスを行えるよう、スキルトランスファーにも熱心に取り組んでくれました」と和田氏は語ります。
新基幹システムに全面移行すれば、システム自体がモダナイズされて拡張性、柔軟性が向上するとともに、業務プロセスはビジネスモデルに沿ったものとなり、大幅な生産性の向上によって、多くの社員が付加価値を生むための業務にリソースを集中できる環境が整います。
「見込生産の対応が可能な仕組みになるため、部品の事前手配による納期短縮、情報を転記したり探したりする工数や時間の削減、品質情報のトレース、原価把握の細分化、IFS Cloudに集約されたデータによる迅速な意思決定など、さまざまな成果を期待しています。特に紙やExcelがベースだったMRO領域では、1年間で数億円のコスト削減効果が期待できると試算しています」と北氏は強調します。
同カンパニーは、本番稼働後のさらに次のフェーズとして、MES領域・サプライヤポータルの刷新を検討しているといいます。IFS Cloudを用いた新基幹システムは、SUBARUの航空宇宙ビジネスを新たな地平へと導く重要な基盤として、大きな役割を担っていきます。
NEC担当スタッフの声
期待されているノウハウを活かした支援を継続
NECは、製造業をはじめ、多くのお客様のIFS Cloudを用いたERP導入を支援してきました。SUBARU 航空宇宙カンパニー様の基幹システム刷新プロジェクトにおいても、その経験の中で培ったノウハウを最大限に活かしました。
例えば、NECはIFS Cloudに関するノウハウを集約した「標準業務テンプレート」を開発しており、そのテンプレートを活用したFitting型のシステム導入を提唱しています。具体的には、事前に業務運用にあわせたシステムの利用方法をドキュメントとして整備して、お客様にIFS Cloud導入後の新業務を具体的にイメージしてもらいながら、検討を進めます。そうすることで、現状の業務やシステム利用方法とは異なっても、IFS Cloudの標準機能で業務運用が可能なことを早い段階で理解でき、アドオン開発も抑えることができます。
またSUBARU 航空宇宙カンパニー様からは、アップデート対応におけるノウハウにも期待いただいています。IFS Cloudは、年2回のアップデートがありますが、そのアップデートの有効性、システムや業務への影響範囲をわかりやすくまとめ、今後の適切なシステム運用に貢献していきたいと考えています。さらに、今回一元化されたデータを活用した業務のプロセスマイニング、プロセス改善についても、NECならではのノウハウを活かしてサポートしていきます。
次のステップで予定されているMESやサプライヤポータルの導入についても、IFS Cloudによる高い価値を享受いただけるよう、NECは万全の支援体制で臨む構えです。
お客様プロフィール
株式会社SUBARU 航空宇宙カンパニー
所在地 | 東京都渋谷区恵比寿1-20-8 エビススバルビル |
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設立 | 1953年7月15日(創業:1917年) |
従業員数 | 単独 17,347名 連結 37,693名(2024年3月31日現在) |
事業内容 | 自動車事業と航空宇宙事業を展開。航空宇宙事業を担う航空宇宙カンパニーは、主翼などの複合材を含む航空機構造の開発・生産技術、ヘリコプター、無人機や高度なシステムインテグレーション技術など、さまざまなカテゴリーにおける高度な技術が強み。民間事業、防衛事業、ヘリコプター事業を通じて、多種多様な航空機を開発・生産している。 |
URL | https://www.subaru.co.jp/ |
[PR]提供:日本電気