データ分析や生成 AI の活用等の分野において、Google Cloud を利用する企業・組織が増えている。九州を代表する通信事業者の QTnet でも、地域の DX 促進を掲げるうえで、人材育成・強化の観点からクラウドへの注力に乗り出した。この取り組みに、Google Cloud 専業クラウドインテグレーターの G-gen が提供する「 Google Cloud 認定トレーニング」が活用されている。本記事では、QTnet でクラウド事業の推進にあたる三小田 仁 氏と、G-gen 上級執行役員で Chief Revenue Officer(CRO)の黒須 義一 氏に、地方におけるクラウド活用の現状や普及促進の鍵について語り合っていただいた。
全国的にも広がり始めたクラウドの利活用
黒須氏:いま Google Cloud の利活用は確実に広がり始めています。Google Cloud はデータ分析や近年バズワードになっている生成 AI に強いというイメージが浸透し、G-gen へのご相談も生成 AI に関するものが増えてきています。当社では Google Cloud を中心とした技術ブログ「 G-gen Tech Blog 」を運営しており、Google Cloud について検索するとそのブログがかなりの確率でヒットします。ほかの IaaS を利用するお客様にも、データ分析や生成 AI となると Google Cloud が最適だとの認識が広まっているようで、そこをしっかりサポートできる当社にご相談いただくケースが増えていると思っています。
これまで当社でお受けしてきた案件はいわゆる東名阪地域が圧倒的に多いのですが、最近はその他の地域からご相談いただくケースが出始めています。おそらくですが、地方でもクラウドに興味を示す企業は当然あるものの、オンプレをメインとする SIer が多いため、企業のクラウドへの関心の高まりに、その受け皿となる事業者の対応が追いついていないというのが現状なのではないでしょうか。
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株式会社G-gen 上級執行役員 Chief Revenue Offcer
プラットフォームエンジニアリング本部 本部長
黒須 義一 氏 -
株式会社QTnet ネットワーク技術本部 通信サービス設備部
プラットフォーム計画グループ 兼 DX推進室 スペシャリスト
三小田 仁 氏
三小田氏:調査会社によると、2028 年の国内クラウド市場規模が 16 兆円を超えるという予測が出ています。九州はよく「 1 割経済」、つまり全国の 1 割を占めるといわれるように、2028 年には 1 兆円を優に超える市場規模に成長すると考えています。すでに現状でもオンプレよりクラウドを採用する組織が増えていますし、民間はもとより自治体や教育機関向けソリューションでは、入札時の要件に IT システムとしてクラウドが指定されることが増えてきています。
当社はもともと光ファイバー通信ネットワークを軸にデータセンターやソリューション事業を展開してきました。地域のインフラを担う責任ある立場としてこの状況に対応していかなければいけませんし、ポートフォリオをより充実させるという観点からも、クラウドに注力する方針で臨んでいます。
九州におけるクラウドの現状と企業が抱える悩み
黒須氏:今回、QTnet さんのクラウドビジネス強化と人材育成の文脈で当社提供の Google Cloud 認定トレーニングを採用いただいたわけですが、そもそもなぜ当社を選ばれたのでしょうか。
三小田氏:それはまさに先ほど黒須さんが言ったところで、Google Cloud について調べていると G-gen さんの Tech Blog に行き着くんですよね。ですから当社としては、Google Cloud といえば G-gen さんが第一人者だというイメージを持っていたことと、黒須さんが日本初の Google Cloud 公式ユーザー会「Jagu'e'r(ジャガー)」の代表をされていることもあり、Google Cloud ならやはり G-gen さんだなと。
黒須氏:九州地域で、クラウドを導入しようと考えても人材不足でなかなか進められないという悩みを抱える企業は多いですか?
三小田氏:多いですね。そうした悩みを持ちながら、解決策を見いだせない企業も多いと感じます。その点、私も Jagu'e'r の九州分科会の運営に携わっていますが、地域でクラウドの魅力や意義を伝える人があまりいなかったこともあるでしょう。だからこそこうしたユーザー会での人脈の広がりはとても重要で、当社の取り組みにおいてもそれを牽引する G-gen さんにお願いしようと考えました。
黒須氏:これまでの日本企業の IT に関する動きは、技術選択についても人材育成についても出入りベンダーの言うことをそのまま受け取り、採用するケースが主流でした。ですから、三小田さんのように自ら最適解を探って進められる人はそれほど多くなかったと感じています。私が Jagu'e'r を立ち上げたのも、IT について自走できる人が日の目を見る世界を作りたかったからで、そこを起点に G-gen を選んでいただいたとしたら本当にうれしく思います。
そのうえで、QTnet さんがクラウド推進の旗振り役になってくれれば、九州の企業のみなさんも「いよいよクラウドなのか」と思うようになるのではないでしょうか。ちなみに、現時点で九州における Google Cloud の浸透はどういった状況でしょうか?
三小田氏:現状ではやはり AWS 、Azure に続く 3 番手の位置づけですね。ですが最初に話が出たように、データ分析や AI 活用となると Google Cloud 、という認識も広がり始めていますし、実際に当社も Google Cloud を用いた生成 AI やデータ分析サービスを提供しているので、その点を今後さらに強調し、より普及させていこうとしています。
黒須氏:当社は創業以来フルリモートワークを推奨し、全国各地に社員が住んでいるので、まだクラウドが浸透しきっていない地方でも Google Cloud を広め、日本全体を元気にしたいとの思いで事業を進めています。顧客創造や収益向上を担う CRO の立場としても、福岡の地元の雄である QTnet さんが推進することは、Google Cloud にとって非常に強いアピールになりますし、本当に頼もしい限りです。
若手人材の育成にトレーニングを導入
三小田氏:その取り組みを進めるうえでもベースとなるのが、やはり人材です。当社では 2023 年からクラウドに関する人材育成をスタートし、Google Cloud 認定トレーニングを受けたり、認定資格取得者を増やしたりといった取り組みを進めています。2024 年度に入ってからは、とりわけ若手により実践的な力をつけてもらおうと、G-gen さんの協力をいただき、Google Cloud のソリューションを使いながら、実際の業務課題解決に取り組んでいる状況です。
今回、G-gen さんの認定トレーニングの対象としたのは 20 代半ばの社員が中心です。当社は九州電力グループの子会社で、親会社がインフラ系企業ということもあり、組織文化として安全性を求め慎重に動くところがあるので、その組織文化に染まっておらず、これから新たな分野にチャレンジできる人材を選定しました。トレーニングで重きを置いたのは、先ほどから繰り返し出ている、Google Cloud の最大の強みであるデータ分析と生成 AI です。市場背景を見ても、それらは当社が注力していきたい分野でもあります。
黒須氏:トレーニングに実施にあたり、まずは 2024 年夏頃から何度か打ち合わせをして、クラウド未経験の人であれば基礎的なところから学ぶのがオススメという提案を行いました。具体的なトレーニング内容を決めるうえでは PoC も実施しました。QTnet さんには会社の特性上インフラに強い人が多く、その辺には触れなくていいとのご要望を受け、三小田さんが言ったようにデータ分析と生成 AI にフォーカスする内容としました。トレーニングコース自体は Google が作ったものがあるので、基本的にはそれを提供するのですが、QTnet さんのご要望に応じて内容をカスタマイズした形で、2024 年 10 月に 2 日間の短期集中で実施しました。
Google のトレーニングコースをそのまま提供するのではなく、お客様の要望や実際の環境を踏まえ、市場の技術トレンドも見ながら内容を切り張りしたうえで提供することで、身につく度合いやその後の本業における活用にはやはり大きな違いが出てきます。当社は Google Cloud 認定の最上位パートナーとして、その点を得意にしています。今回でいえば、QTnet さんのビジネスの方向性をきちんと理解したうえで、まずは Google Cloud の基礎と機械学習や BigQuery などについて学んでいただき、さらに AI については Vertex AI のトレーニングが最適であると考え、Vertex AI Studio や Vertex AI Agent Builder のハンズオントレーニングを提案、実施しました。
顧客ニーズに寄り添いカスタマイズするプログラムの強み
三小田氏:やはり、自社のビジネスや自分自身の業務に応じて適切に選ばれたプログラムで学ばないと身につきませんし、そもそも興味が湧きませんよね。
黒須氏:そうなんです。当社はパートナーとして価値を提供する企業ですから、Google Cloud とお客様の間に入れる強みを活かし、よりお客様に近いところでプログラムを提案する責務があります。そこが当社のビジネス上の差別化ポイントにもなると自負しています。
今回は、社内にあるドキュメントを生成 AI で調べ、出力させるには Vertex AI が適していると考え、プログラムを組み立てました。そのうえで受講者のみなさんのなかに、Google Cloud っておもしろい、これを使って自分でどんどん学んでいきたい……、そんな火をポッと灯したいという思いを込めていました。
三小田氏:当社はもともとドキュメント文化が強く、多くが Excel や PowerPoint 、PDF 書類になっているため、それらを効率よく処理したいという要望に応えるトレーニングが若手にもうまくハマったと実感しています。プログラムが進むにつれて質問する人が増え、コミュニケーションが活性化していきましたし、トレーニング後も「すごくよかった」という反応を示していました。
現時点の成果としては、トレーニングを受けるまで Google Cloud について右も左もわからなかった若手が一通りの使い方を把握し、その先に受動的ではなく能動的に学んでいく姿勢が生まれたと感じています。加えて、ヒューマンエラーを低減するための AI を使った自動化の仕組み確立や、コールセンターの音声データを分析して FAQ を自動生成する取り組みをはじめ、さまざまな動きが生まれつつあります。
G-gen さんには当社のことを真摯に考えて提案をいただき、かつ要望に沿ってカスタマイズしたプログラムを提供いただけたことを感謝しています。そもそも G-gen さんはサポートが充実しており、問い合わせるとすぐに回答がきますし、いうまでもなく確固たる技術力を持っているので、高い信頼感を抱いています。実はいま当社から G-gen さんに 1 人出向しているのですが、そうした人材交流の観点でもつながりが深まっており、今後はさらに深いパートナーシップを結べることを期待しています。
黒須氏:当社としても、当然ながら自社の利益ではなくお客様の利益を何より第一に考え、今後も寄り添う姿勢で伴走支援を続けていきます。そのうえで QTnet さんとは、九州地域に Google Cloud をいっそう広げていくため、一緒に走っていきたいですね。