新日本空調は創業時から一貫して空調設備の工事に携わり、オフィスビルや商業施設、病院、ホテルといった“ヒト”を対象とする空調と、データセンターや半導体工場のクリーンルームなど“モノ”を対象とした産業空調に寄与し、建築の基盤を支える存在として、多種多様な現場の施工データや、技術・品質に関わる豊富なナレッジを蓄積してきた。

  • 新日本空調の宣材写真

空調設備の工事にあたり、営業、設計、施工管理、購買、会計等の業務が膨大になるなか、同社ではこのほど基幹システムの全面刷新に臨み、NTTデータビジネスシステムズが提供する「imforce建設業統合基幹モデル」を採用した新システムが2024年4月に稼働した。

DXの土台となる基幹システム刷新プロジェクト

長期経営方針「SNK Vision 2030」の基本戦略の1つとして、デジタル変革戦略を掲げる同社。廣島雅則代表取締役社長は、同戦略における今回の基幹システム刷新の位置付けを次のように語る。

「デジタル変革戦略では、2021年度からの3年間をDP(デジタルパッチ)フェーズ、2024年度からはDI(デジタルインテグレーション)フェーズ、続いて最終のDX(デジタルトランスフォーメーション)フェーズという3段階を定め、デジタル変革に取り組んでいます。業務をデジタル化するDPフェーズの最後に新基幹システムを立ち上げ、今年度からデータ統合に取り組み始めています」

  • (写真)新日本空調株式会社 代表取締役社長  廣島 雅則 氏

    新日本空調株式会社 代表取締役社長
    廣島 雅則 氏

建設業界が直面する少子高齢化・人手不足といった社会課題、そして法改正で規定された働き方改革への対応を背景に、現場の業務効率化・負荷削減はもちろんのこと、データ活用の推進によるデータドリブンな意思決定の実現を目指す戦略であるという。

スクラッチ開発され、20年にわたり利用されてきた旧基幹システム

スクラッチ開発された旧基幹システムは、約20年にわたり、同社の事業に即したシステムとして熟成されてきた。

「旧基幹システムは、各部門のニーズを聞いてカスタマイズしてきたため、かゆいところに手の届く便利な機能が数多く備わっていました」

そう語るのは、今回の刷新を牽引する新システムプロジェクト室長の上田和弘氏だ。

  • (写真)新日本空調株式会社 執行役員  管理本部 副本部長 兼 新システムプロジェクト室長 上田 和弘 氏

    新日本空調株式会社 執行役員
    管理本部 副本部長 兼 新システムプロジェクト室長
    上田 和弘 氏

しかし、同社の事業に即しカスタマイズされてきたシステムには、さまざまな弊害があったという。

「例えば税制改正に際しシステムを調整する場合、その影響がどこに出るのか見定めるために、時間と手間、費用をかけ分析しなければいけなかったり、データコピーができず他システムとの連携には都度、CSVで出力するか、スクリーンショットを貼り付ける作業が発生し、操作性が悪くなったりしていました」と、廣島氏と上田氏は声をそろえる。

設備業、いわゆるサブコンの世界は、現場数が多い。同社でも数千件レベルの工事が常に動いており、膨大な案件を手作業でシステムに登録していくのは大変な作業だ。

「また、紙書類の運用が多いなか、印刷した伝票を上司が別システムで承認しなくてはいけないうえ、従来は基幹システムから利用したいデータを手軽に取り出せず、それぞれの顧客に応じた仕様に合わせるためのデータ加工も不可欠でした」(上田氏)

「現場では多くの時間が取られており、とにかく効率が悪いのが問題でした」と廣島氏も重ねる。

将来を見据えたとき、旧システムのままではいずれ立ち行かなくなる懸念が強くなったことから、システム刷新によるレガシー環境からの脱却を決断したと上田氏は明かす。

カスタマイズは最小限に、ERPパッケージを導入

旧システムで保守や改修に手間はもちろん相当なコストもかかったことから、刷新にあたりスクラッチ開発の選択肢は全く考えていなかったという。代わりに着目したのが建設業向けのERPパッケージだ。

「新システムではバージョンアップや機能追加、法改正への自動対応といったパッケージの恩恵を享受できるため、カスタマイズを最小限に抑え、パッケージ機能に仕事を合わせることで作業効率向上を実現しようと、運用フローの見直しから始めました」と上田氏。

およそ8社からパッケージの提案を聞き、操作性を含めて比較検討を進めた結果、必要な機能のほとんどが標準で網羅されていることに加え、設備業への導入実績があることを評価し、imforce建設業統合基幹モデルの選定に至った。

imforce建設業統合基幹モデルは、建設業に求められる引合から受注・工事・発注・支払、そして財務・決算まで広範囲の業務をワンパッケージでカバーできるソリューションだ。もともとはゼネコン向けに作られたものだが、サブコンでも便利に利用できるうえ、設備業向けのカスタマイズも柔軟に行える。

カスタマイズを最小限にする方針ではあるものの、機能改善が必要な部分はどうしても出てくる。例えば同社には、社内の事業部同士でもジョイントベンチャー(JV)を組む運用がある。ある地域で大きな案件を受注した際、その地域の支店だけではリソースが不足する場合に他支店から応援に行くといったケースだ。

「社内JVは当社独自の仕組みのためカスタマイズが必要になります。他社の提案ではカスタマイズが全くできないところもありましたが、imforce建設業統合基幹モデルなら対応できますし、JVの経験がある点も心強く思いました。また建築設備業を熟知されていることから、他社と比べて担当者とのコミュニケーションも円滑に取れ、プロジェクトがうまくいくと直感したことを覚えています」(上田氏)

組織横断チームで現場理解を深め、本稼働につなげる

新システムプロジェクト室が設立されたのは2021年10月のこと。先立つ4月、本プロジェクトのために同社へ入職したのが、本プロジェクトチームのプロジェクトマネージャーを務める吉野健太氏だ。

システム刷新の話は、廣島氏が前任のデジタル推進室長時代にスタートしていたが、吉野氏入職の半年後、システム刷新の専門組織として同室が立ち上がった。それを機に動きが本格化し、12月にimforce建設業統合基幹モデル選定が決まった。

吉野氏は「何ができ、何ができないのかを理解しなければカスタマイズの話もできないため、まずはimforce建設業統合基幹モデルを知ること、そのうえで、業務フローの見直しに対する現場での理解獲得を進めました」と振り返る。

  • (写真)新日本空調株式会社 管理本部 新システムプロジェクト室 課長 吉野 健太 氏

    新日本空調株式会社 管理本部 新システムプロジェクト室 課長
    吉野 健太 氏

営業、技術、購買、人事、経理など各部門の現場から社員を集めた組織横断チームを発足し、「パッケージに合わせることで仕事がしやすくなる」という理解を浸透させたことで、どうしても必要なもの以外はカスタマイズしないという当初の方針からブレることなく進めることができたという。

本稼働は2024年4月からと決定していたが、「NTTデータビジネスシステムズが当社の方針に寄り添い、できることとできないことを明確に伝えてくれたうえ、できないことについては代替案も提示してくれたため、計画通りの本稼働に無事つなげられました」と吉野氏。

“ワンチーム”でデータドリブンへの道筋を実感

本稼働開始後すぐに活用が始まり、パッケージに合わせた業務フローの見直しも順調に滑り出した。6月の第1四半期決算開示も無事終えられたという。

スクラッチ開発に要していたコストと比べて「半分程度」に減少すると試算し導入した効果は今後、数値計測を実施予定だが、現段階でも業務負荷が軽減され利便性が向上したのはもちろん、他システムとのデータ連携が可能になり、データがリアルタイムでつながっていく環境が整ったという。

最後に、廣島氏はこう語る。

「今後、サブコンの業務に対応する機能が標準化されれば、設備業界全体でパッケージ導入が進んでいくのではないでしょうか。また今回imforce建設業統合基幹モデルを導入したことにより、データドリブン経営に向けた道筋も見えてきたと実感しています」

デジタル変革の深化のステージに入った新日本空調の取り組みを、NTTデータビジネスシステムズも含めた“ワンチーム”でサポートしていく。

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