Salesforceをもっと使いやすく──そんな現場の声に応えるのが「mitoco AI」だ。生成AIの力でSalesforceの価値を最大限に引き出すサービスとして、いま注目を集めている。自然言語による直感的な操作で、情報検索、データ更新、レポート作成までを一気通貫で支援し、現場の業務効率とデータ活用力を高める。本記事では、大手人材広告企業に勤めるSalesforceユーザーが実際に操作し、最新のアップデートで大幅に進化したmitoco AIの実力と効果を探っていく。

  • (写真)川崎 拓海氏

    大手人材広告企業に勤務する、川崎 拓海氏(仮名)。Salesforceの現場運用を担うマネージャーとして、mitoco AIの実用性を検証。

Salesforceの業務を変えるmitoco AI、注目の理由とは

Salesforceは、世界中の企業で利用されているクラウド型CRM(顧客関係管理)プラットフォームであり、営業やマーケティング、カスタマーサポートなどの業務を一元管理できる強力なツールである。生成AIの業務利用が進むなか、SalesforceでもAIアシスタントやエージェントを構築できる「Agentforce」が提供されており、業務の効率化と自動化を支援している。ただし、Agentforceはシステム開発作業が必要とされ、環境構築や利用までに相応の準備が伴う。そのため、導入を前向きに検討しつつも、Salesforceでより手軽に生成AIを利用したいという声も多い。そうしたニーズに応える形で注目されているのが、「mitoco AI」である。

mitoco AIは、テラスカイが開発・提供するSalesforce環境で手軽に利用できる生成AIサービスだ。2024年4月に提供が始まって以来、金融、自動車、機械メーカー、不動産、IT、リースなどといった業界でSalesforceユーザーを中心に採用が広がっている。

  • (図)mitoco AIの概要図
  • (図)mitoco AIのユースケース
<関連記事>
話しかけるだけでビジネスに必要な情報がすぐ手に入る"mitoco AI"―なぜ業務データからレポートを作成できる生成AIに、情報漏洩のリスクが一切ないのか

「mitoco AIを使えば、自然言語で直感的にデータを操作し、思いついたことをすぐにカタチにできる」──そんな評判に関心を寄せたのが、大手人材広告企業でSalesforceを活用する川崎 拓海氏(仮名)だ。営業職を経て、現在は組織全体を統括する部長として、Salesforceの管理と現場の業務改善に取り組んでいる。

同社では、Salesforceが提供する、顧客情報や商談履歴を一元管理できるクラウド型CRM「SalesCloud」を導入しており、川崎氏も営業担当時代から商談管理に活用してきた。しかし川崎氏は、「導入初期は組織内で十分な活用をできておらず、担当によってはただの"見積り登録マシン"としてしか活用できていない状態でした」と振り返る。現場の使い勝手を改善したいという思いから、システム部門に相談して管理権限を取得。現在はオペレーション部門の管理者としてSalesforceの企画・活用定着を推進する一方、経営陣や営業マネージャーの代わりに、それぞれの役職、部門によって必要となる情報を集約したレポートの作成を依頼される場面も多いという。

Salesforce活用をさらに高める、2つの改善ポイント

川崎氏がSalesforceを活用する中で感じている改善の余地は、大きく2つに整理できる。

まず1つ目は、顧客情報や商談、活動情報といったSalesforce内に蓄積しているデータが構造化されていることにより、レポート作成のハードルが高いことである。

「たとえば、前月の売上レポートを作成する際に、どういった業界からの受注が伸長しているかの情報を盛り込みたいとします。そのようなケースでは"商談"に蓄積されている売上情報だけでなく、その顧客がどんな業界に属する企業かといった"顧客情報"に蓄積されている情報をかけあわせてレポートを作成する必要があります。つまりどの情報がどのデータの箱に格納されているかを構造的に理解している必要があるのです。1パターンであれば難易度は高くないように思えますが、レポートに盛り込みたい情報のパターンは無数にありますので、結果的にほしい情報をうまく引き出せず、レポートの作成を断念する担当者が続出するのです」(川崎氏)

2つ目は、データ更新のしづらさだ。営業担当者が情報をタイムリーに入力・更新するには手間がかかり、操作の煩雑さもあって更新が後回しになりがちである。

「過去の商談に新しい情報を追加しようとしても、レポートから直接編集できない項目もあり、1件ずつ詳細画面を開く必要があります。これが負担となり、入力をやめてしまう人も多いです」(川崎氏)

  • (写真)インタビューに応える川崎 拓海氏

進化を続けるmitoco AI、Ver.3.0で業務活用がさらに現実的に

mitoco AIはバージョンアップ速度が早いことが一つの特徴で、こうした現場の声を反映しながら急速に進化を続けている。Ver.1.0のリリースからわずか半年後の2024年11月には、社内データを活用できるRAG(Retrieval-Augmented Generation)機能を搭載したVer.2.0が登場。さらに2025年3月には、自然言語によるデータ更新やグラフ表示、高度な検索機能を備えたVer.3.0がリリースされた。

こうした進化について、川崎氏は「単なるチャットボットではなく、社内データを安全に活用しながら、検索・更新・共有まで自然な操作で行える点は、現場の業務に即した設計だと感じました。日常業務に無理なく組み込める仕組みが整っていると思います」と述べる。

また、セキュリティ面に関しても次のように評価する。

「生成AIに社内データを渡すことにリスクを感じる企業は多いと思います。mitoco AIは、Salesforceの標準オブジェクト(取引先・商談・活動など)をSalesforceプラットフォーム内で取得して表示しており、外部にデータ自体を送らない設計になっている点が安心材料になりますね」(川崎氏)

実際、mitoco AIは金融機関でも採用されており、厳しいセキュリティ要件にも対応。RAG機能を活用すれば、Salesforceのデータに加え、製品マニュアルや社内規定などのファイルも参照可能である。

では、川崎氏が抱えている課題に対して、mitoco AIはどのようにアプローチできるのだろうか。ここからは、Salesforceの利用シーンを想定したシナリオに沿って、川崎氏が実際にmitoco AIを体験した様子をお届けする。現場目線での評価を通じて、mitoco AIの具体的な活用イメージを探っていこう。

点在する情報を一括検索、社内共有もスピードアップ

「mitoco AIを活用して商談準備、見積作成、報告を行う」という想定のもと、3つの業務シーンに分けて体験が行われた。

シーン1:商談準備

まずは、商談準備の場面で、Salesforce上に点在する情報を自然文で検索し、必要な資料を効率よく収集する作業を行った。

mitoco AIは、RAG(Retrieval-Augmented Generation)による検索や、生成AIによるドリルダウン型の「更問い」に対応しており、Salesforce上の情報や社内資料を自然言語で簡単に検索できる。

たとえば、「従業員が100人以上の取引先を出して」「その商談は?」「その所有者は?」といったように、会話を重ねることで必要な情報にたどり着ける。過去の提案書や見積書などの社内文書もRAGを通じて検索可能だ。

  • (キャプチャ)mitoco AIが更問いに応えるようす

    自然言語による、オブジェクトを跨いだ更問いにも対応

Salesforceの上部メニューに追加される専用タブから、自然文で「商談を表示して」「提案中の案件を教えて」などと入力するだけで、情報収集が完了する。

「直感的に効率良く情報を探せます。検索履歴の保存やスケジュール実行も便利ですし、検索結果を同僚と共有できるのも大きなメリットですね」(川崎氏)

表形式での編集が可能に、入力作業の手間を大幅削減

シーン2:見積作成

続いて、過去の提案資料をもとに見積書を作成しながら、Salesforce上の商談データをその場で更新する作業を体験。

mitoco AIでは、Excelライクなテーブルで検索結果を表示できる「フレキシブルデータテーブル」という機能を提供している。ヘッダーの固定、任意の行・列の固定、レコード件数表示、項目ごとのフィルタリングなどが可能だが、Ver.3.0では、フレキシブルデータテーブルをユーザーが直接、更新できるようになった。たとえば、提案中の商談の見積を表形式で表示させ、その表のフィールドに直接メモを書き込むこともできる。 この機能を利用すると、たとえば「提案中の見積を教えて」「金額を○○に変更して」といった自然文で、明細の確認や修正ができる。表形式のまま直接編集することも可能で、入力作業の手間を大幅に削減できる。

  • (キャプチャ)フレキシブルデータテーブルにプルダウンで直接編集しているようす
  • (キャプチャ)フレキシブルデータテーブルに直接入力で編集しているようす

    フレキシブルデータテーブル上で、データを選択したり編集したり、エクセルライクにデータを更新できる

「現在は弊社では、Salesforceを表形式で扱うためのツールを導入して、データ更新やデータ分析を行っています。こうしたツールを使うにはスキルも必要なので、ユーザーは管理者や分析担当者に限られていました。mitoco AIなら一般ユーザーでもExcelのように直感的にデータを扱えますし、特別なスキルも不要で自然文で操作できるのが魅力的です」(川崎氏)

グラフもヒートマップも自然文で自動生成

シーン3:報告書作成

最後に、商談データをもとに、円グラフや積み上げ棒グラフ、ヒートマップなどを自然文で生成し、報告書に活用する作業を行った。

mitoco AIでは、Ver.3.0からグラフにしたい条件を自然文で伝えるだけで、円グラフや折れ線グラフ、じょうごグラフなど様々なグラフを自動生成できるようになった。特に注目したいのが、Excelなどでも作成に少し手間のかかる、積み上げ棒グラフやヒートマップなども簡単に作成できることだ。 たとえば、「私の今期の案件一覧をだして」「そのリストをリードソースごとに円グラフで商談件数とその割合を教えて」「月別に製品別に商談件数を積み上げ棒グラフで表示して」「顧客軸で提案した製品をヒートマップで教えて」といった指示を出せば、グラフを使った説得力のある資料を簡単に作ることができる。

  • (キャプチャ)mitoco AIが円グラフを生成するようす

    グラフにしたい条件を自然言語で入力すると、円グラフや折れ線グラフ、じょうごグラフなど多様なグラフが描写される

なおRAGについても強化されており、従来はファイル内の文字だけを元に回答していたが、ファイル内の画像も読み取りが可能になった。また、ファイル全体や複数ファイルを横断した回答を生成する高度なRAG(GraphRAG)にも対応できるようになった。

「システムの構造を知らなくても、自然文で多彩なグラフを作れるのは大きな利点です。現場だけでなく全社的なデータ活用の促進にもつながると感じました」(川崎氏)

  • (写真)mitoco AIを操作する川崎 拓海氏

Ver.3.0の機能を一通り体験した川崎氏は、次のように総括する。

「生成AIの活用が進む一方で、実際にどの業務でどう使えばよいのか、具体的なイメージを持てていない担当者も多いのではないでしょうか。今回mitoco AIを体験してみて、営業現場の担当者としても、データ分析やレポート作成を担う管理者としても、非常に使いやすいツールだと感じました。社内で生成AI活用を推進するうえで、モチベーションを高めるきっかけにもなりそうです。今後、生成AIへの対応は避けて通れないと言われていますが、mitoco AIはその第一歩として最適な選択肢になりうると考えています」(川崎氏)

mitoco AIは今後も年3回のペースでアップデートが予定されており、将来的にAgentforceなどのAIの活用と定着化を見据えたステップとしても有効である。テラスカイはデモや体験会の提供も行っているので、まずは試してみてほしい。

関連リンク

[PR]提供:テラスカイ