データとAIをビジネスに活かすための最新情報を紹介するイベント「TECH+ EXPO 2024 Summer for データ活用」が、2024年8月22日と23日の2日間にわたって開催された。 そうしたなか、株式会社SmartHR エンタープライズ事業本部 インサイドセールス本部の髙柳 真希氏によるセッション「人手不足時代における企業の成長に繋がる人材育成とは〜人事データを1箇所に『集めて』『見える』組織運営のススメ〜」では、人手不足が加速する現代において、企業が持続的に成長するためには、従業員全員の活躍が不可欠であることが強調された。セッションでは、人事データの活用(タレントマネジメント)により優秀な人材を発掘・育成する手法や、データ活用を実現するうえで最も重要となる人事データの一元管理と可視化について、詳しく紹介された。

  • (写真)株式会社SmartHR エンタープライズ事業本部 インサイドセールス本部 髙柳 真希氏

    株式会社SmartHR エンタープライズ事業本部 インサイドセールス本部 髙柳 真希氏

企業成長へと導く人材育成のあり方とは

セッションの冒頭で髙柳氏は、企業を成長させるためには、従業員が最も重要である点を強調した。しかし、多くの企業の現場では、この基本的な考えを実現することが難しいという現実がある。多くの企業からよく聞かれる悩みの声として挙げたのが、以下の3つだ。

1.若手の離職が多い
2.リソース不足で的確な育成ができない
3.カンや経験に基づく配置や異動しか行えておらず、適材適所の配置ができているか不安である

髙柳氏は次のようにコメントした。「これら3つの中でも特に多いのが、若手の離職率の高さに悩む企業です。若い従業員にできる限り長く安定的に働いてほしいというのは、ほとんどの企業に共通する願いです。しかしながら、リソース不足で育成に力を注ぐことが難しいのが現状ではないでしょうか。また、企業側が従業員のスキルやキャリア志向を把握できていないため、配置や異動を戦略的に行うことができず、適材適所の実現が難しいという課題も挙げられるでしょう」

ここで髙柳氏は来場者に向けて、「皆様の会社も同様の課題を抱えているのではないでしょうか?」と問いかけた。そして多くの企業が直面しているこれらの課題には、社会的な背景があるとして、日本の労働力人口と労働力率の推移を示すグラフを提示した。日本の労働力人口と労働力率はともに年々減少しており、今後もこの傾向が続くと予測されるという。

  • (図版)日本の労働力人口と労働力率の推移

「皆さんの会社でも年々採用活動が難しくなっているのには、このような社会背景が影響しています。今後、企業が生き残るためには、一人ひとりの生産性を高める人材育成がますます重要になるのです」(髙柳氏)

また、髙柳氏は「働くことへの価値観の多様化」も、人材育成において欠かせない要素であるとした。終身雇用の崩壊やコロナ禍を契機に、従業員の働くことへの価値観が大きく変わっている。リモートワークや子育てとの両立を重視する人もいれば、社会貢献やスキルアップを求める人もいるのだ。

髙柳氏は、「その人がどのような働き方を求めているのかを把握し、適切に育成することで、エンゲージメントを高め、長期的に成果を出してもらうことができます」と強調した。

このように、労働力人口の減少や働くことへの価値観の多様化という社会背景の中で、企業には、一人ひとりの生産性を高め、従業員が働きたいと思う環境を整えたうえで育成を行うことが求められる。

「それこそが、企業成長を叶える人材育成であり、それを実現するためには、従業員を知り、活かしていくことが重要となります」(髙柳氏)

人材育成に必要な機能を一気通貫で提供する「SmartHR」

では、企業は人材育成をどのように行うべきなのだろうか──その具体的な内容について髙柳氏は、クラウド人事労務ソフト「SmartHR」の機能を紹介しながら説明した。

SmartHRは、人材育成に必要となる、人事データの「収集」から「可視化(=蓄積)」、そして「活用」までを一気通貫で行えるプラットフォームであり、企業がタレントマネジメントを実施する際に欠かせない機能が揃っている。

  • (図版)SmartHRについての説明

アメリカの人事コンサルタント会社ロミンガー社の調査によると、人材が成長する要素の7割は業務経験から得られるものであり、2割が助言、1割が研修によるものである。これを踏まえ、髙柳氏は「良い育成を行うためには、一人ひとりの従業員をより豊富な経験を積める環境に配置することが重要となります」と強調した。

HR総研による「企業がタレントマネジメントを行う理由」に関するアンケート結果によると、実に39%の企業がタレントマネジメントを行う理由として「人材の適正配置」を挙げている。しかし、多くの企業が「誰を」「どこに」配置すれば事業貢献に繋がる「適正配置」になるのかがわからず、データに基づいた配置ができていないという課題を抱えているのが現状である。

こうした課題に対処するために、SmartHRには「配置シミュレーション」機能が搭載されている。この機能を使うことで、各部署の状況を可視化し、社員の詳細な情報を基に適切な配置をシミュレーションできる。

髙柳氏は実際にデモで同機能を紹介しながら、「部署や従業員の顔写真、役職、年齢、等級などを一覧で確認でき、部署全体の状況や個人のスキル、経歴、人事評価などの情報を基に、最適な異動や配置のあり方について検討できます」と説明した。

  • (デモ画像)SmartHRの「配置シミュレーション」機能

    SmartHRの「配置シミュレーション」機能 デモ画面

ここで注意したいのが、人材育成に効果的な配置を行うためには、従業員データが蓄積され、見える化されていることが前提条件となる点だ。しかしながら多くの企業では、人事情報が紙で保管されている、業務や部署ごとにデータがバラバラで統一されていない、データの記載方法に統一感がなくぐちゃぐちゃ、データのやり取りや取得のタイミングがまちまち、などの悩みを抱えている。このようにデータが「ばらばら・ぐちゃぐちゃ・まちまち」な状態は「人事データの三大疾病」と呼ばれ、そのままでは従業員のことが十分に把握できず、結局カンや経験に頼った配置や育成が行われることになってしまう。

この問題を解決するべく、SmartHRは「キャリア台帳」という新機能を今年2月にリリースしている。この機能では、従業員一人ひとりの情報を一元的に管理し、労務機能や人事評価、スキル管理機能などで集めた情報を1ページでまとめて確認できる。

「こうして従業員のスキル情報を可視化することで、客観的な評価に基づいた適正配置がスムーズに行える環境が整います」(髙柳氏)

  • (デモ画像)SmartHRの「キャリア台帳」機能

    SmartHRの「キャリア台帳」機能 デモ画面

さらに、SmartHRではデータ収集の効率化にも力を入れており、スマートフォンアプリを活用して、従業員が自分の情報を簡単に更新できる仕組みを提供している。給与明細の受け取りや雇用契約の更新、年末調整の手続きなどもスマホから手軽に行えるため、データ収集の漏れやミスの防止にもつながる。

髙柳氏は、「こうして集めたデータを蓄積し、見える化することで、個々の人材ごとの適切な育成や配置が可能になります」と、改めて強調した。

事例紹介:SmartHRを導入し、戦略的な人事・組織づくりを進める株式会社ツマミナ

セッションの最後には、SmartHRを活用して人材育成を成功させ、企業成長に繋げている株式会社ツマミナの事例が紹介された。ツマミナは、福岡市内を中心に24店舗を展開する飲食チェーンで、アルバイトや正社員を含めて約600〜700名の従業員を抱えている。年に3〜4回のペースで大規模店舗を新規出店しており、そのたびに従業員マスターデータの同期が課題となっていた。

この課題を解決するために同社が導入したのがSmartHRだった。SmartHRを活用する同社では、人事データをもとに、エンゲージメントサーベイを実施して従業員の声を聞き、戦略的な人事・組織づくりに取り組んでいるのである。面談では聞き出しにくい従業員の思いなども、サーベイ結果を活用することで効果的に理解でき、1on1ミーティングに役立てているという。

ある店舗の店長は、「夢や希望を持っている従業員に気づかされ、自分自身も新しい店作りに取り組むことができた」と語った。

今後の店舗展開においても、若い力が欠かせないと考えているツマミナは、従業員の思いや目標をしっかりと理解し、のびのびと力を発揮できる職場づくりを目指している。そのためにも、SmartHRのようなツールを最大限に活用しながら、従業員の笑顔が集まる組織づくりを行っていくのだという。

事例紹介の後に髙柳氏は、「皆さんがより働きやすい状態をシステムで叶えていこうと、日々SmartHRは機能改善などに取り組み続けていきます」と力強く語ってセッションを締めくくった。

  • (写真)「Tech+ EXPO 2024 Summer for データ活用」SmartHR 髙柳氏のセッション中の風景

    SmartHR 髙柳氏のセッションは多くの参加者の注目を集めた

人材育成にまつわる課題感の高さを改めて実感

セッション終了後、SmartHRの展示ブースにはひっきりなしに来場者が訪れていた。

「皆さんの課題感を直接聞きたくて、この場に立ちました」と述べた髙柳氏は、講演中も多くの参加者と目が合い、特に若手の離職に関する課題に強い反応を感じたという。これについて髙柳氏は、「転職が容易になり、キャリア形成に苦労されている方が多い印象です。働きやすい環境をどう整えるかが今後の企業にとって重要なテーマであると言えます」とコメントした。

「若い社員をどう育てていけばいいかという普遍的な課題の背景には、やはり人材不足があります。今回、当社ブースに立ち寄っていただいたお客様についても、大きな会社やこれから成長していく会社の方々などさまざまで、企業が直面する人材育成の課題に対する関心や、環境を変えていこうという意識の高さを改めて感じました。働きやすい環境は個々のライフワークや仕事への考え方で変わってきます。SmartHRはそうした声をしっかり聞きながら、個々がキャリアを発揮できる環境づくりをサポートするシステムを提供していきます。ぜひSmartHRを、皆さんの働き方を考える一助としてお役立てください」(髙柳氏)

  • 「Tech+ EXPO 2024 Summer for データ活用」SmartHRブースの様子

    「TECH+ EXPO 2024 Summer for データ活用」SmartHRブースの様子

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