記事の概要
本記事では、生成 AI 活用プロジェクトを推進している人に向けて、
- 生成AI活用プロジェクト進行の基本的な流れ
- 生成AI活用プロジェクトによくある期待
- 生成AI活用プロジェクトで直面しやすい課題
- 生成AI活用プロジェクトを成功に導くポイント
を紹介します。
生成AI活用プロジェクト進行の基本的な流れ
生成AIの活用においては、 PoC (Proof of Concept) プロジェクトから始めることが一般的です。
PoC とは日本語で「概念実証」を意味します。これは、新たな概念・アイデアの効果測定を目的に、プロトタイプを作成・検証することを意味しています。
PoC プロジェクトは、次のように進行します。
- ビジネス上の課題を特定
- (生成 AI による)課題解決方法の検討・構想
- PoC 環境の構築
- 効果測定
- 振り返り / フィードバック
生成AI活用プロジェクトによくある期待
続いて、上記のように進行するプロジェクトの中で、よくある期待を紹介します。プロジェクトオーナーや関係者からは、次のような期待が良く聞かれます。
期待内容 | |
---|---|
従来のシステム化では解決出来なかった、複雑なタスクを処理できる | |
専門的な知識が求められる、難易度の高いタスクを処理できる | |
常に誤り無く、正しく処理できる |
従来のシステムは、主に、ロジックを定義出来るタスクを、自動化するものでした。一方、生成AIは、「事前の定義化が難しいタスク」への応用が期待されています。
例えば「売上が1.5倍になる施策を検討せよ」といった、複数の正解が考えられる「1. 複雑な問いかけ」に対して、マーケティングや経営といった「2. 専門的な知識」を踏まえて、「3. 常に正しい」回答をすることが期待されています。
生成AI活用プロジェクトで直面しやすい課題
先述した期待から、プロジェクトマネージャーは次のような課題に悩まされることとなります。
- 生成AIへの期待が過剰に高くなる
- 誤回答の生成リスクが認知されない
本記事ではこれらの課題について、それぞれ詳しく解説します。
1. 生成AIへの期待が過剰に高くなる
生成AIの具体的な機能や限界はあまり認知されていません。
メディアや小説・映画でもよく取り上げられるテーマともあってか、「何でもできる」という期待を抱かせてしまうようです。
特に、生成 AI 関連技術に詳しくない職業・業種(エンジニア以外の職種)であるほど、非現実的な期待を持ちやすい傾向にあります。
2. 誤回答の生成リスクが認知されていない
直前の課題と関連しますが、生成 AI に対して、「システムだから間違えることはないだろう」という期待も散見されます。
しかしながら、生成AIは回答内容の正確性を担保しません。(正確性を高める技術的な仕組みはありますが、「常に正しい情報であることを保証する」ことは困難です。)
生成AIは何かしらのデータソースに基づいて回答を生成するものです。そのため、インプットデータに誤情報や古い情報が含まれる場合、誤回答が生成される可能性があります。(インプットデータを限定することで、精度を上げる手法も存在します。ただし、 Gemini や Chat-GPT のようなコンシューマー向けサービスの場合は、このリスクを回避できません。)
生成AI活用プロジェクトを成功に導くポイント
上記の期待と課題を踏まえて、生成AI活用プロジェクトを成功に導くためのポイントを4つ紹介します。
成功に導くためのポイント | |
---|---|
ステークホルダーの期待値をコントロールする | |
生成AIの活用要素事例を収集する | |
生成AIサービスの違いを理解する | |
生成AIが力を発揮しやすい領域で活用する |
1. ステークホルダーの期待値をコントロールする
各ステークホルダーは、以下のように様々な期待を持ちます。
ステークホルダー | 期待する内容 |
---|---|
経営層・意思決定層 | 大幅な業務効率化やコスト削減 |
現場社員 | 複雑な作業の自動化や負担の軽減 |
利用ユーザー | より便利で快適なインターフェース、新機能 |
これらの期待はいずれも生成AIで叶えうる内容ではありますが、これらの期待が非現実的な目標まで大きくなってしまうケースが散見されます。
プロジェクトを推進する際には、生成AIの能力を理解した上で、期待値を現実的なレベルに調整することがポイントとなります。
特にプロジェクトの初期段階、「2. (生成 AI による)課題解決方法の検討・構想」フェーズで意識したいポイントです。
具体的な調整方法としては、生成AIの現状と課題を具体的に説明することが考えられます。
後述するポイント「2. 生成AIの活用要素を収集する」を踏まえてデモンストレーションや事例紹介を行い、具体的な機能と活用方法のイメージを共有することが効果的です。
2. 生成AIの活用要素を収集する
生成 AI 関連のサービスは、日進月歩でアップデートが行われています。また、活用事例・ビジネスシーンもどんどんと拡大しています。
これらの情報を収集することで、期待値をコントールする際の説得力が増加します。自社の活用事例と類似する情報を積極的に探すことを推奨します。
特に技術者においては、新技術やアップデートによって「どのような課題が解決出来るか」という点を主軸に情報を収集すると良いでしょう。
当社ブログでも、生成 AI 関連に関する記事を執筆しております。ご参考ください。
G-gen Tech Blog - Generative AI(生成AI)記事一覧
3. 生成AIサービスの違いを理解する
ここまで「生成 AI 」と一口に述べてきましたが、この言葉が指す具体的なサービスは複数あります。
例えば Google の生成 AI については、エンタープライズ版の「VertexAI」と、コンシューマー版の「Gemini」の2種類に分かれており、この2つは別のサービスです。
大きく、次の点に差分があります。
名称 | アップデート頻度 | 利用バージョン | セキュリティ・ガバナンスの特徴 | |
---|---|---|---|---|
Gemini (旧称: Bard) |
比較的早い | 常に最新化される バージョンの固定は出来ない |
アクセス制限やデータ制限は不可 | |
Vertex AI | 比較的遅い | 特定のタイミングで最新バージョンが追加される バージョンは設定で固定化できる |
認証機能の実装が可能 利用データ・学習データの制限が可能 |
一般ユーザーや非技術者はコンシューマー向けのサービスである、 Gemini を利用しています。そのため、プロジェクトの成果物にも Gemini と似ている品質を求めることがあります。
プロジェクトをコントロールする上で、コンシューマー向けとエンタープライズ向けのサービスの違いを念頭に入れておくことを推奨します。
4. 生成AIが力を発揮しやすい領域で活用する
最後のポイントが、生成AIが力を発揮しやすい領域内で活用するように、利用領域を制御することです。
生成 AI が力を発揮しやすい分野は、新しい発想や切り口を見つけ出すこと。情報の整理や、構造化、要約などがあげられます。
反対に苦手な分野は、正確性が必要な問いかけへの回答、真偽を判別できない問いかけへの回答などとなります。
上記を踏まえて、生成 AI 活用を検討する際に、力を発揮しやすい領域や課題を選定することを推奨します。
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