「健康経営®」の推進が叫ばれるなか、多くの企業が健康経営に乗り出しながらも、現場の健康管理を十分に行えている企業は少ないのではないだろうか。その要因の1つが、現場で従業員の健康を指導する産業保健師・産業医が、健康診断などの膨大なデータをうまく管理できていないことだ。データが整理され健康管理の粒度が上がることで、働く環境や企業全体でどのような効果が生まれるのだろうか。本記事では、健康管理システム「HM-neo」を導入して健康管理業務の成果を上げたX社のケースを見ながら、健康経営に結びつく取り組みのヒントを紹介する。

健康管理が十分にできていないとどうなる?

従業員の健康診断は労働安全衛生法で実施が定められている。加えて2015年の同法改正で、常時50人以上の従業員を雇用している場合はストレスチェックも義務化された。健康診断を実施しない企業やストレスチェック実施後に労働基準監督署への報告を行わない企業は罰金が科される。

そもそも従業員を健康な状態で働かせることは、労働安全衛生法で企業に課された「安全配慮義務」だ。従業員の健康状態が良くないと生産性が落ち、ましてや人手不足のこの時代に人的リソースが足りず、企業としては事業継続のリスクやコスト面の負担にもつながってしまう。従業員の健康管理を徹底し、必要に応じて健康指導や環境改善を行えば、社員一人ひとりが健康な状態で働き続けられる環境の創出につながり、結果として従業員のエンゲージメントも上がっていくだろう。だからこそ企業にとって健康経営の実現は最重要事項であり、従業員の健康管理がその土台となることは間違いない。

現場で実際に従業員の健康管理を担うのが、産業保健師(以下、保健師)や産業医といった専門職だ。保健師・産業医は従業員に確実に健康診断を受けてもらうよう促し、そのうえで保健指導などを通じて従業員個々の健康維持・改善・増進に関わる業務に従事するのが本業である。ほかにも人事部の労働厚生部門や総務部などのバックオフィス部門も、健康診断業務には運営面からさまざまな形で関わる。加えて、昨今では組織内において上司が部下に対する良好なコミュニケーションや部下の健康を守るというラインケアも重要視されており、各企業でその取り組みが進められている。

健康診断結果のデータや健康診断の計画などは健康管理において重要な業務ではあるものの、保健師・産業医の本業はやはり従業員の健康課題の発見と、それに基づく保健指導だ。総務人事や各部署の管理職にしても、健康管理が本業ではないのは言うまでもないだろう。

そうしたなかで、健康データの集計や社内外への報告作業に時間がとられてしまうと本業に影響が出てしまう。ましてや、紙や表計算ソフトでデータ管理していると作業負担は大きく、従業員の人事異動などが伴うと、事業所間での従業員情報の引継ぎや管理業務をさらに煩雑にさせる。

その結果、健康診断の管理ミスが起こり、受診漏れも起きかねない。また、従業員個々の健康データがしっかり管理できていないと、健康指導が行き届かなくなってしまう。ひいては従業員1人あたりの生産性が下がり事業に影響を及ぼす可能性も否定できない。

では、健康管理はどのように効率化すればいいのだろうか。ここではX社のケースをもとに、その解決策を見ていくことにしよう。

「健康診断の運営で手一杯……」X社で保健師が直面していた課題

従業員1,000人を抱えるX社で保健師を務めるXさん。毎年健康診断の時期になると従業員全員の過去の健康診断結果のチェックや、漏れなく健康診断を受けてもらうための運用やスケジュール設定、各部署への案内といった業務に追われている。

従業員個々の健康診断やストレスチェックのデータは、基本的に紙で管理されており、事業所によっては表計算ソフトに入力しているところもあった。X社は1,000人もの従業員がいるため、紙や表計算ソフトベースではデータが膨大で取りまとめに時間がかかる。そもそもフォーマットが揃っていないことから一元管理ができず、健康診断結果の探索は常に大変な作業となっていた。

加えて、X社はいくつもの地方拠点を有しているが、健康診断の運営は本社が統括しているため、事業所を越えた健康診断結果のやり取りや部署異動の追跡にもXさんはかなり苦労していた。そこに手をとられしまったため、健康診断のスケジュール管理と周知もままならず、結果として健康診断受診漏れが発生してしまった。そうしてXさんは健康診断の運営業務で手一杯となり、本来なすべき各従業員の健康課題の発見や面談、健康教育などに時間を割くのが難しい状況となっていたのだ。

このような状況で、従業員の健康管理が全社的に行き渡らず、病気の発見が遅れたり、ストレスを抱えたりして休職する従業員もここ数年は増えていた。

健康診断前後の業務を効率化! 健康経営への第一歩となる-HM-neo

こうした課題の解決に向けて、X社ではNTTテクノクロスの健康管理システム「HM-neo」を導入した。HM-neoは、これまで紙や表計算ソフト、ほかシステムで管理していた従業員の健康データを一元的に集約・管理し、保健師・産業医や総務人事などの健康管理業務を効率化するソリューションだ。健康診断結果をシステム画面上で簡単に閲覧できるため、紙書類を保管するスペースは不要になる。

そのほか、長時間残業面談の記録など、健康診断・ストレスチェック以外のあらゆる健康データを1つのシステムで管理することが可能。集計・報告や健康診断・面談対象者の抽出、健康診断の受診漏れを防ぐ計画・スケジュール管理、従業員の業務歴を記録する機能なども搭載している。また、就業制限が必要な従業員に対し、申請から承認までHM-neo内で完結できるワークフロー機能も装備。健康診断の前後をトータルでカバーするため、“総合健康管理システム”と呼ぶにふさわしいソリューションだ。

X社では、HM-neoの健康診断の予実管理機能を活用し、健康診断の受診漏れをゼロにできたという。また、結果保管、面談記録といった健康管理業務をシステム1つで管理できるようになり、Xさんをはじめとする保健師の健康診断周辺業務を有意に効率化したことで、1人あたりの労働時間を年間約150時間削減できたという。

異なる拠点間で異動した従業員もしっかりトレースできるようになり、Xさんは本来の業務に充てる時間を生み出せるようになった。健康診断結果を基に健康課題を的確に把握して保健指導を行うことで、従業員の健康管理が行き渡り、会社全体でも生産性が向上したという。

さらにHM-neoには従業員自身が健康診断結果を閲覧できる機能や、上司が部下の健康データを把握してラインケアに活用できる機能も用意されている。X社では保健師が従業員の健康のために行う活動を強化できたのはもちろん、従業員自らが健康を意識したり、あるいは管理職が部下の健康への意識を高めたりといった効果も生まれた。長い目で見ると、こうした効果がX社の健康経営実現にもつながっていくはずだ。

HM-neoを提供するNTTテクノクロスでは、健康管理システムに関して30年に及ぶ多様な企業への導入実績を有し、さまざまなノウハウを培ってきた。そうしたノウハウを顧客に提供することで、健康管理業務の最適化に向けた支援を行っている。企業それぞれの事情に応じて使用中のシステムの運用見直しといった提案から、導入・運用のサポートまで展開している。X社と同じような悩みを抱える企業はHM-neoの導入を検討してみてはいかがだろうか。

※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

NTTテクノクロス株式会社
総合健康管理システムHM-neo

[PR]提供:NTTテクノクロス