「健康経営®」は、近年注目の経営手法であり、健康情報を管理して従業員の心身両面の充実を図り、100%のパフォーマンスを発揮してもらう取り組みだ。経済産業省の「健康経営優良法人認定制度」で評価される仕組みもあることから、企業価値向上につながるメリットもある。

健康経営を推進するには、健康診断やストレスチェックなどで得られる、従業員の健康に関するあらゆるデータを統合して分析・評価し、課題を発掘することが重要となる。本記事では、手探りで健康経営を推進する企業が多いなかで、どのようなアプローチが成果につながるのかを、事例を交えて紹介していく。

重要性が高まる一方、手探り状態の健康経営

生産年齢人口の減少を背景とした定年引き上げ措置によって、高齢労働者が増えている。しかし、若年労働者が減ることで活気のある労働力が減り、高齢者は健康に対してより気を配る必要があることも事実。従業員の健康状態が悪いと、病気による離職や日々のパフォーマンスの低下が起こりやすくなるため、企業の労働生産性低下が懸念される。そのため、従業員の健康維持・増進に取り組むことが企業に求められ、従業員の健康状態を管理し、生産性を維持・向上させる健康経営の重要性が高まっている。

その一方で、健康経営の進め方やその成果の把握に試行錯誤しながら取り組んでいる……という企業も少なくないようだ。多くの企業が健康診断やストレスチェックなどの法令義務に対応することに追われており、生産性向上やその先を見据えた「健康経営」の推進についてはまだこれからという状況である。実態として、企業内に膨大な情報が存在しながら、健康経営に必要なデータの適切な管理、活用方法の検討・整備が遅れているケースが多く見受けられる。

では、実際に健康経営をどう進めていけばいいのだろうか。ある企業にスポットを当て、健康経営にまつわる課題とその解決策を見ていくことにしよう。

A社の健康経営推進室が抱えていた課題とは?

5,000人を超える従業員を抱えるA社は、サステナビリティと新たな事業創出、それを担う人的リソースの確保を実現するため、トップダウンの方針が示され、健康経営に取り組むことに。現場の推進担当部署としてトップの号令を受け健康経営推進室が設置された。Aさんは人事部と総務部から選ばれた5人のメンバーとともに、全社の健康経営をけん引することとなった。

さっそくAさんは「健康経営」の施策を考えてみるものの、「いったい何から始めればいいのだろう」と悩む。そこで、まずは経産省が策定した健康経営ガイドブックを参照してみたところ、ファーストステップとして書かれていたのが「従業員の健康課題の把握」。具体的には、健康診断の結果、長時間労働の状況に関するデータ、メンタルヘルス不調者の状況、部署や業態などの相関をみて課題を抽出する必要があると記載されている。

そのためには、健康診断のデータだけでなく、労働時間、ストレスチェックデータ、従業員の人事データ(所属、業態、年齢ほか)など、多様なデータを集計しなければならない。データの管轄やシステムも多岐にわたるため、データを集めるだけでも気が遠くなる作業だった。しかもA社は全国に支社や事業所を展開しており、社員数が5,000人以上に上るため、データ量はかなり膨大であり、データを保管できる場所もなければ、管理しきれる人もいなかった。

なんとかデータ収集まで漕ぎ着け、ためしに分析しようとしたところ、あらたな障壁が立ちはだかった。集めたデータはそれぞれ異なる形式であるため、紐づけが容易にできない。また、分析しようにもどのような観点でデータを見て、健康課題を抽出すればいいのかがわからなかった。さらに健康経営推進室としては、こうした取り組みを進めたうえで、事業継続や人材確保といったトップが目指す経営上の施策を実現するため、評価軸を作って分析を行い、各種施策が経営においてプラスの効果を生み出しているかをしっかり見極めることも求められる。データ分析の経験がない5人のメンバーにとっては骨が折れる作業だった。

こうした膨大かつ難易度の高い作業を5人の人力のみに頼って実行するのは厳しいと判断したAさんは、あるシステムの導入を検討した。

健康経営分析支援ツール・HM-viewer導入でA社が得た成果

Aさんが着目したのは、NTTテクノクロスがリリースする健康経営分析支援ツール「HM-viewer」である。

HM-viewerは、多くの大企業の健康管理を支えてきた実績を持つ健康管理システムHM-neoクラウド版の標準機能として提供されている。HM-neoは膨大なデータの保管と管理を得意としているが、HM-viewerはHM-neo内にある健康診断やストレスチェックなどあらゆるデータを従業員IDにもとづいて自動紐づけを行い、データを統合し、ダッシュボードで可視化してくれる。さまざまな項目で分析した結果について、部署別、拠点別、エリア別、年代別、男女別、残業時間別に、組織全体の健康状態の経年変化と傾向をグラフィカルに表示してくれるため、健康課題が見つけやすくなる。可視化したデータについては、各エリアの保健師も閲覧できるため、管轄事業所・部署の働き方やライフスタイルを加味した集計結果の考察、健康課題の特定、健康施策の立案がしやすい。

AさんはHM-viewerによる分析で多様なデータをかけあわせることで、以下のような課題を発見することができた。

・営業部が他部署と比較し高血圧者率が過去3年にわたり高くなっていた(人事データ・健診結果)
・月間残業時間が45時間を高頻度で超えている従業員の健診結果(総合判定)が一気に悪くなっている(勤怠データ・健診結果)
・30代の若年層で血糖軽度異常者が昨年に比べて急増している(人事データ・健診結果)
・関西事業所は、血圧の高い従業員が年々増加しており、そのうちの多くは肥満度が高く、運動習慣が少ないという傾向があることが分かった(人事データ・生活習慣データ・健診結果)

自社の健康課題が具体的に発見できたので、「食事改善の指導を行う」「残業時間を減らせるように業務改善を指導する」「生活習慣指導を行う」など課題を解決するための施策案を立てられるようになった。

その後、Aさんは保健師と一緒に健康施策の具体的な計画を策定し、一つずつ実行に移していった。課題と施策が明確に紐づいているため、経営層や従業員の理解も得やすく、施策も進めやすくなった。

その結果、次の健康診断では、自社の健康課題であった、高血圧リスク者率や血糖異常者率を軽減することができた。ダッシュボード化により、健康経営の指標がより明確になり、経営層も健康経営の手応えを感じているという。こうした改善を重ねていけば、健康経営のKPIでもある会社全体の労働生産性向上を実現できるだろう。

健康経営を進めていくうえで必ず通らなくてはならないデータの収集・集計・可視化と、その先の分析、そして経営にもたらす効果の評価。こうした取り組みを実際に担う総務人事などの部門では、他の業務も抱えながらも健康経営推進に割ける十分なリソースがないため、効率化させることが重要となる。また前述した通り、現場で従業員の健康を管理する医療スタッフや保健師もデータを閲覧できるため、健康経営推進室だけでなく、関係者全体で健康課題の特定、施策の実施、評価のPDCAを回せるようになる。HM-viewerを活用すれば、効率化はもちろん、健康経営促進に向けて有効な施策の立案と、その実行をもとにしたPDCAの実践、そして経営層へのエビデンスを伴ったフィードバックをより効果的に実行することができるのだ。

少子高齢化が進む現代において、従業員一人ひとりの健康を維持・増進させることで、労働力を確保し、事業継続力を高めることは企業にとって喫緊の課題となっている。そのためには、多様なデータをかけあわせて従業員の健康状態を解像度高く可視化したうえで、的を射た施策を打っていく必要がある。健康経営のファーストステップである健康に関するデータの収集・集計を効率化するHM-viewerは注目のソリューションといえるだろう。

※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

NTTテクノクロス株式会社
HM-viewer

[PR]提供:NTTテクノクロス