2019年に文部科学省が打ち出した「GIGAスクール構想」により、児童生徒向けに1人1台端末の配備と校内ネットワークの整備が実現した。
そして“アフターGIGAスクール”と呼ばれる次のステップに入った現在、教育DXを推進するために必要とされているのが、デジタル教科書をはじめとしたリッチな教育コンテンツを快適かつ安心して利用するためのネットワークの高速化と可用性の確保である。
そのためにも、国を挙げて重要性が叫ばれているのがネットワークアセスメントであり、その実施に当たっては国からの補助も受けることができる。
本記事では、アフターGIGAスクールの教育現場におけるネットワークアセスメントの必要性と、アセスメントを実施するにあたって有効なソリューションである「Cisco ThousandEyes」について、シスコシステムズの林山 耕寿氏に話を聞いた。
“アフターGIGAスクール”で重要性を増すネットワークの高速化と可用性の確保
文部科学省の主導で2019年にスタートした「GIGAスクール構想」により、全国の学校では児童生徒向けに1人1台の端末、校内ネットワーク等のICT環境の整備が行われることとなった。
そして現在は“アフターGIGAスクール”と呼ばれる次のステップへと進んでおり、学校現場ではGIGAスクール構想によって整備されたネットワークと端末を活用した新たな学習に向けた取り組みを進めている。
シスコシステムズの林山 耕寿氏は、「アフターGIGAスクールの取り組みを進めるに当たって欠かせないのが、ネットワーク環境の高速化や可用性の確保です」と強調する。
加えて、2024年4月からは、全国の小中学校等を対象に、小学校5年生から中学校3年生に対して英語のデジタル教科書の導入がスタートするのを皮切りに、デジタル教科書やデジタル教材の利活用が本格化していくこととなり、画像やアニメーションをはじめとしたリッチコンテンツが豊富に用いられるようになる。
「アフターGIGAスクールにおける様々な取り組みのみならず、2024年度からデジタル教科書の本格活用が行われるようになると、既存のネットワーク環境では負荷に耐えきれずに遅延が発生し、最悪の場合サービスへのアクセスができなくなるおそれがあります。そうなると学校での授業が円滑に進められなくなり、教育の質の低下にもつながりかねません。そのような事態を防ぎすべての学校で教育DXを推進していただけるよう、シスコシステムズとしては、ネットワーク環境の改善と最適化に向けた取り組みを提案しています」(林山氏)
ネットワークアセスメントに国が補助、利用する際の注意点とは?
アフターGIGAスクールを進めるに当たって直面するこのような課題を受けて文部科学省では、GIGAスクールで導入した通信ネットワーク環境の評価(アセスメント)を行うことを提唱している。
2023年2月3日に同省が発表した「通信ネットワーク環境の評価(アセスメント)の実施について(依頼)」では、各自治体の状況に応じた通信ネットワーク環境の整備について判断する際には、通信ネットワークのアセスメントが重要になるとともに、アセスメントの実施経費をはじめ、アセスメントによって発見されたトラブルに対する応急対応のための経費についても、GIGAスクール運営支援センター整備事業の補助対象とするとしている。
2023年度補正予算によるこの「ネットワークアセスメント実施促進事業」では、1校当たり最大100万円のうち3分の1について国から補助を受けることができる。しかしここで注意したいのが、具体的なアセスメントの項目までは示されていないため、依頼する事業者によって手法がバラバラとなってしまう点である。
「従来ながらの監視手法でアセスメントを行った場合、学校のLAN側だけを見ることになるため、真の課題にたどり着けない可能性があると危惧しております。恒常的にネットワークを可視化することで、ネットワークのボトルネックポイントを特定し、監視と評価を行うことがアセスメントでは重要となるわけですが、現在のネットワーク環境は多様化・複雑化が進んでいるためLAN側のみを可視化したのでは課題が見つからない事が多くあるからです。このためLANのみならず、回線を含めたWANさらには利用しているクラウドサービス側も含めて一気通貫で可視化し、どこにボトルネックがあるのか正しく見極める必要があります」(林山氏)
エンドポイントから利用サービスまでを一気通貫で可視化してアセスメントを実現する「ThousandEyes」
現在そしてこれからの教育現場において欠かせないネットワークアセスメントと、その実施に当たっての課題を踏まえて、有効な解決策を提供するのが、シスコシステムズのネットワークパフォーマンスモニタリングおよびトラブルシューティングソリューション「Cisco ThousandEyes(以下、ThousandEyes)」だ。
「ThousandEyesは、ネットワーク上のトラフィックとエンドユーザーエクスペリエンスをリアルタイムで可視化することで、ネットワークの問題を特定するとともに、それを解決するための手助けをします」と林山氏は説明する。
ThousandEyesは、クラウド環境、データセンター、エンドユーザーデバイスなど、さまざまな場所にエージェントまたはソフトウェアベースの監視エージェントを配置し、ネットワークトラフィックをアクティブに監視する。遅延やパケットロス、その他のパフォーマンス・メトリクスを測定し、何か問題が発生した際には通信経路上のどこで問題が発生しているかを特定することができる。
また、ネットワークの境界を超えて、契約先のプロバイダーや利用しているクラウドサービスまでのすべての経路をエンドツーエンドで可視化できるため、トラフィックフローや、経路上の潜在的なボトルネックを特定することが可能となる。
さらにThousandEyesは、エンドユーザーデバイスの観点からもネットワークパフォーマンスを監視するので、児童生徒が使うデバイスに影響を与えるようなパフォーマンスの問題についても特定することができるのである。
「収集したデータを視覚的かつ直感的に表示するリアルタイム・ダッシュボードの提供もThousandEyesの大きな特徴となっています。これらのダッシュボードには、グラフ、チャート、マップが表示されるため、ユーザーはネットワーク・パフォーマンス・メトリクスの監視やトラフィック・パターンの可視化、異常や問題の特定をリアルタイムで行うことができるのです」(林山氏)
そしてもう1つ、ThousandEyesの大きな特徴となるのが、このネットワーク経路を可視化する際に、使われているネットワーク機器のメーカーや機種の制限を受けないマルチメーカー対応であることだ。
「エンドポイント端末から宛先のクラウドサービスまで一気通貫で可視化できるのがThousandEyesです。特に教育の世界ではクラウドサービスの利用が非常に進んでいますが、ThousandEyesもクラウドベースのソリューションであるため導入の敷居が低いのも大きなメリットであると考えます」(林山氏)
これからのネットワーク環境でより重要となるのは?
全国の学校や自治体の教育委員会には、まずは気軽にThousandEyesを自らの環境で試してみることを強く推奨したい。
すでにThousandEyesを導入している教育委員会では、ThousandEyesを用いて日常的にネットワーク環境を可視化することで、常に高いレベルでネットワーク品質を維持することに成功している。
「ThousandEyesを利用してみることで、日常的な可視化の効果や、改善すべきポイントについて気づくことができるはずです。ユーザーが使いたい時に十分な満足度で使うことができるといった可用性の確保が、これからのネットワーク環境ではより重要になります。その可用性の確保にThousandEyesは大きく貢献することでしょう」(林山氏)
シスコシステムズとしても、フルスタック オブザーバビリティとして可視性の重要性を打ち出しており、そのための重要なソリューションとしてThousandEyesを位置づけている。
「今後、教育現場においてはインターネットを使ったクラウドサービスの利用が主体となっていくとともに、そこで用いられる教育コンテンツも画像やアニメーション、動画を多用するなど、ますますリッチになっていくことは間違いないでしょう。そうした際に、いかに快適にネットワークを使えるかが重要になってくるのです。当社の製品であれば、適切なネットワークアセスメントの実施をはじめ、課題解決のための最適なネットワークソリューションのご提供まで一気通貫で実現できますので、ぜひ一度ご相談ください」と、林山氏は力強く訴えた。
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